第5回自殺意識全国調査 調査結果

日本財団は全国の男女約 1万4千人を対象に5回目となる自殺意識調査を行いました。対象を前回調査の15歳~79歳から、18歳~29歳の若年層中心に変更しており、死にたいと願い自殺を考える「希死念慮」を経験した人は、前回の15歳~19歳の「約3人に1人」から「約2人に1人」と、一概に比較するのは難しい面がありますが、増加傾向にあると思われます。性被害経験のある人の希死念慮経験は7割を超え、中でもトランスジェンダー・ノンバイナリー※1など性的マイノリティの人がより多く性被害を受けている実態も明らかになっています。希死念慮や性被害について、「誰にも相談しなかった」人は3~5割を超え、各種支援サービスの認知向上や社会全体で支える雰囲気・仕組みづくりの必要性も改めて浮き彫りにされています。

  • トランスジェンダー:出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人
    ノンバイナリー:性のあり方が男性か女性という性別二元論にとらわれない人。英語圏では主に「ノンバイナリー」や「ジェンダークィア」といった言葉が使われ、日本語圏では主に「Xジェンダー」が用いられている。
    (参照元:LGBTQ ガイドライン 多様な性のあり方の視点から 第2版(外部リンク)

調査結果の詳細は、以下のURLからご覧ください。

第5回自殺意識調査 結果概要

若年層の希死念慮(回答者数14,555人)

  • 希死念慮経験あり 44.8%
  • 希死念慮経験なし 55.2%

性被害経験が希死念慮にあたえる影響

  • 性被害経験あり(回答者数2,148人):希死念慮経験あり76.4%、希死念慮経験なし23.6%
  • 性被害経験なし(回答者数12,407人):希死念慮経験あり39.3%、希死念慮経験なし60.7%

性別ごとの性被害経験(回答者数14,685人)

  • 全体:性被害経験あり15.3%、性被害経験なし84.7%
  • トランスジェンダー・ノンバイナリー・その他:性被害経験あり36.3%、性被害経験なし63.7%
    • 「トランスジェンダー・ノンバイナリー・その他」は、本調査中で性自認に関する設問(あなたは今のご自分の性別を、出生時の性別と同じだととらえていますか。)で、「別の性別だととらえている」「違和感がある」「答えたくない」を選択した者を指す。

希死念慮・性被害経験の相談経験

  • 希死念慮:誰にも相談しなかった56.6%
  • 性被害経験:誰にも相談しなかった36.8%

公的サービスの認知度

  • 希死念慮経験あり(回答者数6,474人):支援サービスを耳にしたことがない42.2%
  • 性被害経験あり(回答者数2,155人):支援サービスを耳にしたことがない53.5%

調査背景

日本では1998年以来、年間自殺者数が3万人を超え続けていたことを受け、自殺対策基本法の制定等の取り組みが強化されました。その結果、2010年以降自殺者数は連続して減少してきていましたが、依然として日本の自殺率は15.7%と先進7カ国(G7)で突出して高く、とりわけ若年世代(15~39歳)の死因第1位が「自殺」なのは日本だけ※1です。また、2020年には10年間減少を続けていた自殺者数が増加に転じ、警察庁・厚生労働省は、令和3年は令和2年と比較して、経済・生活問題、家庭問題、その他、勤務問題が増加したとしています※2。日本財団では、こうした中で改めて若年層の自殺意識について把握するため、今回自殺意識調査を実施しました。

これまでの調査結果は、以下のURLよりご確認いただけます

今後の予定

日本財団は2016年より、自殺意識調査だけでなく、未成年の自殺率が最も深刻な長野県における「子どもの自殺危機対応チーム」の設置やゲートキーパー養成講座を実施する団体への支援など、自治体やNPO法人等と連携しながら、様々な自殺対策支援を実施してきました。
今後も、生きるための包括的な支援を受けられる、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指していきます。

調査概要

調査目的
  1. 若年層の自殺要因の把握
  2. 性被害の実態と自殺念慮の関係把握
調査手法 インターネット調査
調査対象者
有効回答数
全都道府県18歳~29歳
14,819人
集計・分析方法 全国的傾向を把握する目的で『平成20年国勢調査』に基づく人口構成比に合わせてウェイトバック集計を行った
調査期間 2022年11月10日(木)~2022年11月18日(金)

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