日本初メタバース空間で受刑者・少年院在院者への就労支援を実施収容地域に限定されない、新たな試みで社会復帰をサポート

日本財団は、受刑者・少年院在院者(以下、受刑者等)の社会復帰を支援する職親プロジェクトを推進しています。本プロジェクトは、受刑者等の再犯を防止するとともに、人々が犯罪被害に苦しむことのない社会を目指しています。
この度、本プロジェクトの一環として、法務省(東京都千代田区、法務大臣 小泉龍司)と連携し、受刑者等に対する就労支援策として、日本初となるメタバース空間での企業説明会等を2024年2月2日(金)に実施しました。当日は東京(日本財団ビル)及び大阪の2つの会場から飲食業や建設業全13社が参加し、受刑者等からは「入れ墨やピアス等があっても働けるのか」「必要な資格はあるのか」といった質問が出たり、清掃業に興味のある受刑者等が自らの綺麗好きをアピールするなど、積極的に発言をしていました。また、直接企業担当者と顔を突き合わせての面談ではなく、メタバース空間の利点を活用してか、寮の有無や給与面での待遇等、普段では聞きづらいことについても積極的な質問が出ていました。
参加企業からは、これまでの就労経験や仕事に活用できる特技等を尋ねる質問が出ました。面談を終えた企業からは「一度に多数の参加者と会話ができ、効率的であった」、「(対面でないことから、受刑者側の)参加者にプレッシャーが少なく、積極的な質問が出てよかった」といった声が聞かれ、一定の手ごたえと取り組み拡大へ向けた期待がみられました。

写真
受刑者らはメタバース空間の企業ブースを訪れ、企業の担当者が会社説明を行っていた=2024年2月2日、東京都港区赤坂の日本財団ビル
写真
メタバース空間の企業ブース

メタバース空間における受刑者・少年院在院者の就労支援の背景及びメリット

受刑者等が出所後、安定した生活を送るための就労支援には、これまで各企業が個別に各矯正施設を訪問する必要があり、企業側の負担も少なくありませんでした。この度のメタバースを活用した就労支援は企業にとっては物理的・経済的負担を減少させ効率よく採用活動等を行うことが可能であることが実証されました。また、受刑者等にとっても収容される地域に限定されることがないため職業選択の幅が拡大され、地元に帰って就職したり、罪を犯した地での人間関係を断ち切り新たな場所で再チャレンジをすることも可能となる、極めて画期的な取り組みです。

今後の取り組みについて

メタバース空間を活用した就労支援が広がることで、これまでのように職業選択の幅が狭く、自分の適性に合わない職種を選んでしまった結果、離職してしまい結果再犯に繋がってしまう、というリスクを軽減できると考えます。今回は試験的に関東圏の企業を中心に開催しましたが、2024年度からより本取り組みを本格化させ、全国へ展開予定です。また、今後は海外の司法制度に関する研究会や、今回のようなメタバース空間での企業説明会だけでなく、VRを導入し建設業の足場トレーニングや飲食業の調理訓練といった職業体験の機会提供等、幅広い取り組みを行っていきます。

日本財団職親プロジェクト研究会

日時 2024年2月28日
会場 TKPガーデンシティPREMIUM品川 ホール6A
(東京都港区高輪4-11-16京急第11ビル6階)
概要 ノルウェー王国法務警察省矯正局及び民事局(国家調停委員会)より講師を招聘し、同国における修復的司法の理念に基づく司法制度及び開放的処遇等についてご講演をいただくとともに、パネルディスカッションによる意見交換を行います。
申し込み 外部サイト【会場参加】日本財団職親プロジェクト研究会 申し込みサイト

VRを活用した受刑者等への職業体験(仕事フォーラム)の実施

日時 2024年3月8日及び3月13日
場所 喜連川社会復帰促進センター及び久里浜少年院 ※予定
概要 受刑者等を対象としたVRによる建築業及び介護行の職業体験の実施
備考 実施形態及び取材の可否等は現在調整中となっておりますので、追ってご案内を差し上げます。

職親プロジェクトについて

日本の検挙人員は2004年389,027件から減少し続けている一方で、再犯者率(1年間の逮捕者のうち、犯罪件数が2回目以上の者)が1996年27.7%から2016年48.7%まで下がることなく上昇を続け、罪を犯した人のうち、約2人に1人が再犯をしている計算です。また、再犯者の70%が無職で、再犯時の有職者に対し無職者の数は約3倍の人数になっています。日本財団では、再び罪を犯すことを防ぐため、また犯罪で悲しむ人を増やさないため、全国12箇所に職親プロジェクトの拠点を設置し、職業訓練や教育支援、インターンシップや採用面接会を実施しています。

関連リンク

お問い合わせ

広報に関するお問い合わせ

日本財団 経営企画広報部 広報チーム

  • 担当:勢川
  • メールアドレス:pr@ps.nippon-foundation.or.jp

事業に関するお問い合わせ

日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム

  • 担当:中谷