東北を復興へ導く「ROADプロジェクト」
みんなのいのち

『釜石虎舞〜復興の舞〜』


釜石の人間を元気づけるには虎舞しかない。そう信じて、瓦礫の残る街で祭りを復活させた釜石虎舞保存連合会。そして、彼らの復興を願う思いをまつり応援基金でサポートした日本財団。震災後2回目の夏祭りを訪れた。

2010.10.01

「とにかく震災でバラバラになってしまった釜石の人を集めないと。ただそう思ったんです。そのためには、祭りを、虎舞をやらねばと開催に踏み切りました」 釜石虎舞保存連合会会長の岩間久一さんは、2011年6月頃を振り返りそう語る。

豊富な海の幸と歴史ある製鉄業が有名な岩手県釜石市。東日本大震災の津波により、港と街は壊滅的な被害を受け、死者・行方不明者の合計は1000人を超えた。この時期、多くの方が避難所暮らしや市外の親類宅などに避難を強いられていた。そんな中、岩間さんは釜石のコミュニティー崩壊を危惧していたのだ。

しかし、虎舞の虎頭や装束を始め、太鼓や山車の多くも倉庫ごと津波に流されてしまった。 そこで日本財団は地域伝統芸能復興基金から太鼓の購入費と山車の製作費など2327万2000円を支援して、祭りによるコミュニティーの活性化を後押しした。

※地域伝統芸能復興基金(まつり基金)についてはこちらをご覧ください。
『「まつり応援基金」で伝統芸能や祭りの復活を支援』

写真:釜石虎舞

釜石の人間を元気づけるには虎舞しかない!

そして、2011年7月17日に「釜石 夏の港まつり」が無事開催された。 「まだ瓦礫だらけだったので、こんな時にお祭りをやっていいのかと正直悩みました。でも、沢山の人が集まってくれて、子どもやお年寄りが手を叩き、涙を流しながら喜んでくれた。それで、やって良かった、やっぱり釜石の人間を元気づけるには虎舞しかないんだと思ったんです」(釜石虎舞保存連合会・事務局会計長 菅田靖典さん)

写真:震災の瓦礫が残る中、2011年7月17日に行われた「釜石 夏の港まつり」に集まった人々。

写真 今年3月に虎頭を製作する「一の鳥居」をオープンした岩間和二さんは、被災で伝統芸能の大切さを再認識したという。 「震災までの何年か、自分は虎頭を作っていなかったんです。でも、親父が作った虎頭が津波でほとんど流されてしまったのを見て、自分がやらねばとこの商売を始めたんです。祭りや伝統芸能は、一度途切れるとなくなってしまうものですから。去年は、みんな必死に祭りの準備をした。そして、祭りに来た人はふるさとへの愛情と地域の絆を感じた。今回の被災で、その地域にしかない伝統芸能の大切さをあらためて感じた人が多かったと思いますよ」

2012年7月16日に震災後2回目の港まつりが開催された。TUBEの熱唱ライブが行われるなど、多くの人を集めて今回も大盛況であった。
製作が進められていた山車もほぼ完成しており、10月の秋祭りにはお披露目の予定だという。

写真

ビデオ撮影・編集:木戸 正悟
写真:大沢 尚芳