無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」未来の海を支える「無人運航船」の実用化を目指す

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無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」は、世界に先駆けて内航船における無人運航の実証試験を成功させることにより、この分野の技術開発への更なる機運を醸成し、我が国の物流及び経済・社会基盤の変革を促進し、当該技術開発を支援しています。

無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の意義

現在、日本では、少子高齢化、人口減少が進んでおり、あらゆる分野で人手不足が進んでいます。
特に、船上でのハードな仕事を要求される内航海運の船員もその例外ではありません。内航海運の船員の半分以上が50歳以上であり、大きな課題となっています。
また、日本には約400の有人離島がありますが、朝夕の1日2便のみ航路が多数あり、生活航路として便数不足であるなど、離島航路の維持も喫緊の課題となっています。
さらに、海難事故の原因の約7割から8割がヒューマンエラーといわれており、事故減少が求められています。

無人運航船は、こうした社会課題の解決策の一つになると考えております。

また、今回の実証実験プロジェクトを通じて、以下を目指し、ひいては海事産業、関連産業の競争力強化、活性化につながることを期待しています。

  1. 関連業界の技術力の向上(異分野産業の参画も含む)
  2. 無人運航船にかかる国際基準化・標準化の先導
  3. 無人運航船への安心感(社会受容度)の向上(将来を担う子どもたちへの海事産業への夢を持たせることも含む)

「MEGURI2040」の意味とその思い

無人運航が実現することで、流通、人、コスト、交通などのMEGURI(循環)がよくなり、便利になる、そして2040年には国内を走る船の50%が無人運航船となることを目指しています。

2025年までに無人運航船の実用化を目指す

現在、自動車の分野を中心に無人運転の実証実験が進められていますが、海運については、船陸間の通信環境整備や障害物を瞬時に避けることが難しいなどの技術面、開発への莫大な資金が必要などの経済面から、これまで無人運航船の開発はほとんど行われていませんでした。一方で日本は、IoT、AIや画像解析技術をはじめ、世界的に高い技術を保持していることから、これらの技術を持つ複数の民間企業が共同で技術開発を行うことで、無人運航船にかかる技術開発を飛躍的に進められる可能性があります。

各コンソーシアムが「無人運航船」実証実験を準備中

画像:日本財団が支援する「無人運航船プロジェクトMEGURI2040」の5つのプロジェクト図。 1.無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランドデザイン~(日本海洋科学ほか29社)。実証実験地域は東京湾から伊勢湾。 2.内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験(商船三井ほか7社)。内航コンテナ船の実証実験地域は福井県敦賀市の敦賀港(つるがこう)から鳥取県境港市(とっとりけんさかいみなとし)の境港(さかいこう)。カーフェリーの実証実験地域は北海道苫小牧市の苫小牧港(とまこまいこう)から茨城県東茨城郡(いばらきけんひがしいばらきぐん)大洗町の大洗港(おおあらいこう)。 3.水陸両用無人運転技術の開発~八ッ場スマートモビリティ~(ITbookホールディングスほか4社・団体)。実証実験地域は群馬県吾妻郡長野原町(ぐんまけんあがつまぐんながのはらまち)の八ッ場(やんば)あがつま湖。 4.無人運航船@横須賀市猿島プロジェクト(丸紅ほか3社・団体)。実証実験地域は神奈川県横須賀市の猿島。 5.スマートフェリーの開発(新日本海フェリー三菱造船)実証実験地域は福岡県北九州市の新門司港(しんもじこう)。

2021年11月現在、5つのコンソーシアムは2021年度末の実証実験にむけて、新たな装備やシステム、技術、仕組みを開発中。日本が世界を牽引する産業としての成長が期待されています。今回の実証実験では、船舶交通が非常に多い海域の航行、長距離航行、大型船を用いた実証が世界初の試みとなります。

1.無人運航船の未来創造~多様な専門家で描くグランド・デザイン~

プロジェクト概要と開発状況

コンテナ船を対象として、無人運航システムを国内30社以上が集結して開発。オープンイノベーション体制で開発を進め、社会実装を目指します。緊急時には陸上から操船を可能とする陸上支援センターを千葉県の幕張に構築しています。

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現在構築中の陸上支援センター
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実験に用いる749GT内航コンテナ船「すざく」
コンソーシアムメンバー(2022年1月時点)
1.(株)日本海洋科学(代表)
2.(株)イコーズ
3.(株)ウェザーニューズ
4.EIZO(株)
5.(株)MTI
6.日本電信電話(株)
7.NX海運(株)
8.(株)NTTドコモ
9.エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
10.近海郵船(株)
11.(株)サンフレム
12.(株)三和ドック
13.ジャパンハムワージ(株)
14.ジャパン マリンユナイテッド(株)
15.スカパーJSAT(株)
16.鈴与海運(株)
17.東京海上日動火災保険(株)
18.東京計器(株)
19.ナブテスコ(株)
20.日本郵船(株)
21.日本シップヤード(株)
22.日本無線(株)
23.BEMAC(株)
24.(株)pluszero
25.古野電気(株)
26.本田重工業(株)
27.三浦工業(株)
28.三井住友海上火災保険(株)
29.(株)三菱総合研究所
30.(株)YDKテクノロジーズ
  • 2.以下五十音順

2.内航コンテナ船とカーフェリーに拠る無人化技術実証実験

プロジェクト概要と開発状況

コンテナ船とフェリーを対象として、無人運航システムの開発を進めています。フェリーでは離着桟機能を含め、港内自律操船機能の実証実験に成功しています。また、コンテナ船ではドローンを用いた係船支援の開発も行っています。

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実験に用いる749トン型内航コンテナ船「みかげ」
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実験に用いる 1万トン超の大型カーフェリー「さんふらわあ しれとこ」
コンソーシアムメンバー(2021年11月時点)
1.(株)商船三井(代表)
2.井本商運(株)
3.井本船舶(株)
4.(株)A.L.I Technologies
5.MOLマリン&エンジニアリング(株)
6.商船三井フェリー(株)
7.古野電気(株)
8.三井E&S造船(株)
  • 2.以下五十音順

3.水陸両用無人運転技術の開発~八ッ場スマートモビリティ~

プロジェクト概要と開発状況

群馬県・八ッ場あがつま湖で、水陸両用船を対象として、無人運航するシステムの開発を進めています。自動車の自動運転技術を拡張し、水上での無人運航をできるようにしています。また、通信にはローカル5Gを用いて、陸上での監視・運転システムの開発も行っています。

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無人運航船として開発中の水陸両用船
コンソーシアムメンバー(2021年11月時点)
1.ITbookホールディングス(株)(代表)
2.(株)エイビット
3.埼玉工業大学
4.長野原町(群馬県)
5.(特非)日本水陸両用車協会
  • 2.以下五十音順

4.無人運航船@横須賀市猿島

プロジェクト概要と開発状況

横須賀の猿島にわたる小型観光船に無人運航を実現するシステムを搭載。3台のカメラから他の船を検出し、自動で他船をさけるシステムの開発などを進めています。

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実験に用いる船に搭載された無人運航のためのカメラとアンテナ
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実験に用いる船 シーフレンドZero
コンソーシアムメンバー(2021年11月時点)
1.丸紅(株)(代表)
2.(株)トライアングル
3.三井E&S造船(株)
4.横須賀市(神奈川県)
  • 2.以下五十音順

5.スマートフェリーの開発

プロジェクト概要と開発状況

新門司〜横須賀間を運航するフェリーを対象として、無人運航を実現するシステムを搭載した新造船を建造、開発を進めています。7月1日よりフェリーの有人での運航を開始し、無人運航のためのデータの蓄積を進めています。

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実験に用いる新造フェリー「それいゆ」
コンソーシアムメンバー(2021年11月時点)
1.三菱造船(株)(代表)
2.新日本海フェリー(株)
  • 2.以下五十音順

将来世代への啓発活動を通じた、無人運航船への理解醸成

日本財団は、無人運航船プロジェクトが描く未来を若い世代と共有していくため、出前授業を各地で開催しています。
今後の海事産業において、自動化技術はますますその重要性を増しています。この背景の中で、新しい船舶の運用における可能性が広がっています。最新の船舶自動化動向、機会、そして課題を学び、デジタル時代の海運および船舶の未来を共に考えていきます。

これまでの出前授業はこちら

配信アーカイブ

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お問い合わせ

日本財団 海洋事業部 海洋船舶チーム

  • 担当:青柳
  • メールアドレス:MEGURI2040@ps.nippon-foundation.or.jp