感性を生かし、<br>ワクワクを生み出して<br>社会を変えていく

Works / People

感性を生かし、
ワクワクを生み出して
社会を変えていく

特定事業部 True Colors チーム 兼
インクルージョン推進チーム チームリーダー
※肩書は2019年当時のものです

青木 透

Toru Aoki

Profile

早稲田大学第一文学部卒業。シラキュース大学マックスウェル行政大学院(NY)国際関係学修士。2009年に入会後、海洋グループ、国内事業開発チームなどで、「海と日本プロジェクト」の立ち上げや在宅ホスピスプログラム、障害者アート事業など、数多くのプロジェクトを担当。2018年よりTrue Colorsチームに参画し、True Colors Festivalの立ち上げから携わる。趣味は運動、音楽、読書、妻と出かけること。

入会後のキャリアステップ

2009

入会、海洋グループに配属

「海と日本プロジェクト」の立ち上げや海洋教育事業を担当

2017

公益事業部 国内事業開発チームに配属

在宅ホスピスプログラム、障害者アート事業などを担当

2018

特定事業部 インクルージョン推進チーム兼True Colorsチームに配属

現在True Colorsチームリーダー

私の仕事

社会の意識を変えるには楽しいことから

日本財団は、過去数十年に渡って障害者の支援を行っていますが、僕が担当するTrue Colors Festival(TCF)は、障害等の多様な背景をもつアーティストと一緒にダンスや演劇などのパフォーミングアーツを作り、多くの方々に届けるプロジェクトです。今はチーム3名体制で外部の業者や団体と企画の中身を詰め、月に1度ぐらいのペースでイベントを開催しています。パフォーミングアーツを手段として、障害がある人に対する偏見を揺さぶり、あらゆる人が社会に参加できる環境づくりを目指しています。

どんな場や催しもそうですが、障害や福祉といった言葉が前面に出てしまうと難しく見えてしまい、参加者はそのテーマにアンテナの高い人に限られがちです。やはり難しいことや正しいことよりも、ワクワクすること、楽しいこと、感動すること、かっこいいこと、かわいいことなどに自分の時間を使おうとするのが人の性質だと思います。それを踏まえると、いわゆる「フェス」のようなかたちで多様性や障害と繋がる機会を作ることで、このテーマの当事者のすそ野を広げていく意味は間違いなくあると思っています。

前例のない国際的プロジェクトをゼロから立ち上げる

TCF立ち上げの当初、上司である担当役員からもらった指示は「せっかくやるのであれば数日間という単発の催しではなく、1年間の取り組みにしよう。毎月は無理でも、1~2か月に1回はイベントを行っていこう」ということでした。つまり規模が先に示されたので、コンセプトや実施体制の検討からスタートし、その後、イベントの企画や予算も固めていきました。

障害のあるアーティスト等、さまざまな背景をもつアーティストたちが主役となり多様なジャンルや会場で行われる1年間の芸術祭は、世界を探しても見つかりません。前例のない企画について、白紙状態から提案を出していくことは大変でしたが、刺激的なプロセスでもありました。また、結果的に規模が大きくなっていったことで何億円もの予算を管理するようにもなり、やりがいとともに責任を感じる立場にもなりました。

TCFは、これまでさまざまな催しに参加することが難しかった障害のある人たちにも多数参加していただいており、さまざまなフィードバックをいただいてます。人生の重みを感じるような意見もあり、それを受け取るたびに私たちに何ができるのか繰り返し考え、学んでいます。あるイベントで、何時間もかけてお越しいただいた車いすの方から「元気が貰えました。本当に来てよかった」と言ってもらえたことがありました。参加してくださる人がいて、そのような声がいただけることは、まさにこのプロジェクトのやりがいです。

また、このプロジェクトは、本当に広い裾野の方たちに関わっていただいて、初めて実現できています。もっと幅広く多くの人に関わっていただけるように、工夫を続けていきたいです。

「課題起点」で柔軟な発想とコミュニケーションが求められる環境

日本財団の仕事では、中央省庁や一般企業、NPO・社団・財団、テレビ・新聞といったメディアの方など本当に多様な業界・立場の人と、共通する目的のために何ができるのかを協議する機会があります。業界や立場を超えて連携するためには、それぞれの人に刺さるコミュニケーションを意識する必要があると感じています。大きな仕事をしようとすればするほど、業種やセクターを超えるボキャブラリーが要求され、結果的に語彙力や伝える力が育まれていくところが魅力のひとつと言えるかもしれません。

また、日本財団で企画を行う際は、間違いなく「課題スタート(課題起点)」でものごとを考えます。社会課題を解決する方法として、財団以外に誰の力が必要かを考えるところから始めて、色々な人に実際に関わってもらいます。つまり課題を軸にストーリーを構築・伝達し、さまざまな人を巻き込んでいくスキルを身に付けることが必須です。

パーパスやSDGs、ESG投資がビジネスにおける重要なトピックになっているとおり、社会課題を起点にして企画を構想する力と業界を横断できるような幅広いボキャブラリーを駆使したコミュニケーションスキルは、これからさまざまな業界でより有用になるのではないかと思います。

課題起点の発想と関連しますが、「私たちの活動によって、社会課題に関連してこんな変化が世の中に残りました」という結果の分析とコミュニケーションは、財団職員として最も突き詰めて考えなければいけない点だと思います。社会へのインパクトを明示することは日本財団だけでなく、非営利業界全体としての最大の課題でもあり、そこが一番面白いところでもあるとも感じています。


私から見た、日本財団

自分の想いや人間性を受け止めてもらえる場

僕は就職活動の際に、開発途上国やあまり多くの人が訪れないようなへき地に関われる仕事がしたいと考えていましたが、非営利という分野に限定してはいませんでした。日本財団の採用面接ではそうした思いや自分の就職活動の状況なども正直に話すことができ、面接をしてくださった役職員のみなさんに正面から受け止めてもらえたように感じました。いろいろと回り道をしてきたことやスキル以外のさまざまな面も含めて、採用プロセスの中でひとりの人間として見てくださった感覚があり、素敵な職場だなと感じて就職を決めました。

世の中を良くするために、熱く、フラットに語り合える

日本財団は、社会の現状に対する問題意識があり、少しでも良い方向に変えていきたいという人の集まりです。社会課題のような大きなテーマから組織の在り方のような身近なテーマまで、さまざまなトピックについて何ができるのか、熱く話せる人がたくさんいます。また、以前から役員や職員の立場を超えて議論できる文化がありますが、最近は組織内での関係性がよりフラットになってきているようにも感じます。ひらめきや想いをベースに企画を打ち立てられれば、立場を問わずに実現に向けて前向きに話し合える人たちがいる環境です。

就職活動中の方へのメッセージ

素直なモヤモヤや怒りが、事業のきっかけになる

世の中に対しておかしいとか、ここを変えたらみんなもっと気持ちよく生きていけるのにと思うことが日常生活でもたくさんあると思います。そのモヤモヤとか怒りみたいなものを大切にしてほしいです。それをどう変えるのかというのが課題解決、つまり事業の種になります。素直な感性をそのまま持ってきてもらいたいなと思います。

素直なモヤモヤや怒りが、事業のきっかけになる