日本理解促進プログラム諸外国との協力関係づくりに向けて

背景と目的
グローバル化の進展に伴い、世界各地で日本の文化や社会に対する関心が多様な形で広がっています。一方、各国の大学における日本研究や地域研究の体制は縮小傾向にあり、研究人材の継続的な育成が課題となっています。こうした状況のもと、日本の歴史、文学、思想、社会制度などを多角的に学術研究の対象とする意義が改めて認識されています。日本財団は、ロンドン、ストックホルムに拠点を置く関連財団をはじめとする組織と連携し、海外の大学や研究機関で日本理解を担う人材が、高度な日本語運用能力や専門的知識を身につける機会を支援しています。中長期的には、日本研究を通じた国際的な知的基盤と人的ネットワークを形成し、相互理解に基づく持続的な国際関係の構築に寄与することを目指しています。
また、こうした学術的な日本研究の支援に加え、関連団体と連携し、伝統芸能や身体文化を通じた国際的な文化発信を行うことで、日本社会や価値観への多面的な理解の促進を図っています。
支援領域
1. 日本研究支援
1.1 英国における日本研究奨学金プロジェクト
(The Great Britain Sasakawa Foundation Studentship)
英国は、世界の日本研究の中心拠点の一つですが、近年英国では日本研究を行うセンターや大学院へ進む日本研究課程の学生が減少しています。このことから、2008-2012年にかけて英国12大学に13講座を設置し、講師の雇用費用を支援。うち11講座については、大学の財源で継続しています。
2013年からは、日本研究を行う修士および博士課程の学生に対し、奨学金を提供しています。これまで計224名を支援してきました。フェローの中には、研究課程に在籍している人も多くいますが、企業、研究機関、国際機関、政府機関など、様々な就職先でキャリアを歩み始めている人たちがいます。


1.2 北欧諸国における現代日本研究支援
(Scandinavia-Japan Sasakawa Foundation Programmes)
日本と北欧の関係強化を目指し、北欧5カ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド)の大学において現代日本研究講座の講師雇用費を5年間支援するほか、現地の大学に在籍する博士および修士課程の学生を対象に訪日研究に係る費用を助成しています。
2017年の事業開始以来、計9大学の9名の講師ポストならびに博士課程者19名と修士課程者7名を支援してきました。


2. 日本語学習支援
2.1 アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター日本財団フェローシップ
(Inter-University Center for Japanese Language Studies, IUC)


本事業では、日本研究に従事する海外出身の大学院生を対象に、日本研究に求められる高度な日本語能力を身に着けてもらうことを目的として、毎年20名に対し、横浜に拠点を置くアメリカ・カナダ大学連合日本研究センター(IUC)の10か月間の上級日本語プログラムの受講に係る授業料および生活費を含む奨学金を支援しています。これまで246名を支援し、その多くは現在も欧米を中心とした大学で研究課程に在籍し、研究に取り組んでいます。
3. 日本語・日本研究を支える制度的基盤(基金)
基金事業の位置づけ
日本財団は、重点事業による支援に加え、海外の大学・研究機関等に基金や恒常的枠組みを設置し、日本語教育・日本研究・文化交流を中長期で支える基盤形成に取り組んできました。これらは設置先が主体的に運営しており、地域の実情に応じた形で日本理解の促進に寄与しています。
3.1 二国間財団等による日本理解支援
- グレイトブリテン・ササカワ財団(英国)
設立:1984年/拠出額:約9,500,000ポンド
日英の相互理解を目的に、文化・教育・人物交流、日本研究等への助成を実施。 - スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団(北欧)
設立:1985年/拠出額:43億円
日本と北欧諸国の相互理解と協力関係の強化を目的に、学術・教育・文化交流を支援。 - 笹川日仏財団(フランス)
設立:1990年/拠出額:40億円
日仏両国の相互理解と友好関係の強化を目的に、文化・教育・研究分野への助成を実施。
3.2 大学等に設置した基金・寄付講座
- UCLA(日本語研修フェローシップ)
設立:1983年/拠出額:100万米ドル
大学院生の日本語研修(IUC等)を支援するフェローシップ。 - オックスフォード大学(奨学基金)
設立:1986年/拠出額:2億円
学生・研究者の相互交流や日本研究に関する会議・出版等を支援。 - ジョンズホプキンズ大学(SAIS・日本研究講座)
設立:1987年/拠出額:100万米ドル
国際関係分野における日本研究の教育・研究基盤を支える寄付講座。 - ジョージタウン大学(日本語・日本文化講座)
設立:1992年/拠出額:200万米ドル
日本語・日本文化分野の恒久講座を設置し、日本語教育と人材育成を支援。 - 全米州立大学連合(AASCU)
設立:1992年/拠出額:100万米ドル
米国の学部教育に日本研究を導入・拡充するための教員向け研修プログラムを支援。 - 延世大学(日韓共同研究基金)
設立:1993年/拠出額:5,000万円
国際学術交流・共同研究を通じた日韓相互理解の促進を目的とする基金。
4. 関連団体による文化交流・発信
4.1 公益財団法人東京財団 READ JAPAN PROJECT
世界の図書館や研究機関に対し、日本に関する英文図書の寄贈を行っています。政治・経済から文学・芸術まで多岐にわたる分野の図書354タイトルを厳選し、寄贈先機関の要望に応じて提供しています。これまでに150の国・地域、1,600を超える機関へ寄贈を実施し、日本に関する知見を研究者から一般市民まで幅広く届けてきました。本プロジェクトは2008年に日本財団が開始し、2022年より公益財団法人東京財団が実施しています。

4.2 公益財団法人日本科学協会
日本科学協会は、若手研究者の研究支援を目的とする笹川科学研究助成を始め、多様な科学知識普及事業を実施しています。さらに、日中相互理解と友好交流の促進を通じた国際人材育成を目的として、中国の大学への図書寄贈、中国の大学生を対象とした日本知識大会、日本研究論文コンクール、日中双方の若者を対象とした作文コンクールの他、上記日中交流事業の各成績優秀者や担当者等を対象とした日本招聘や中国訪問プログラム等を実施しています。

4.3 日本吟剣詩舞振興会
「吟剣詩舞」は、日本の詩を歌う「吟詠」と、その歌に合わせて舞う「剣詩舞」を合わせた伝統芸能です。吟詠は、古事記の時代まで遡る歴史を持ち、詩に込められた情景や感情を魂込めて歌い上げます。舞踊には、刀を使い武士の力強さを表現する「剣舞」と、扇を使い優雅に舞う「詩舞」の2つがあります。日本人の精神性と伝統美を一度に体感できる、ダイナミックな舞台芸術であり、日本の精神や美意識を今に伝えています。

4.4 公益財団法人日本太鼓財団
日本太鼓の普及と相互の親睦を目的として1979年に全日本太鼓連盟(笹川良一会長)を結成しました。1997年、日本船舶振興会(現日本財団)のご支援を得て財団法人日本太鼓連盟を設立し、2012年には公益財団法人日本太鼓財団へと移行しました。これまでに培ってきた経験と実績を生かし、日本太鼓の伝統伝承と普及、振興を図りながら、太鼓文化の発展のため、各種イベントの開催や講習会事業を実施しています。

お問い合わせ
日本財団 特定事業部 グローバル・イシューチーム
- メールアドレス:cc@ps.nippon-foundation.or.jp