会長メッセージ
戦後80年続いた国際秩序が崩壊
不確実性が増す中、サステナブルな組織に
世界が激しく揺れ、戦後80年かけて築き上げられた国際社会の秩序が崩壊しつつあります。国内も政治の不安定化に急速な少子化、温暖化に伴う災害の激甚化も加わり、社会を取り巻く環境は、これまでになく不確実性を増しています。「明日が見通せない時代」の到来と言えるかもしれません。
国の将来を「良くなる」と見る日本の若者が各国に比べ極端に少ない各種世論調査結果を前に、若者の内向き志向を懸念する声も増えています。次代を担う若者が夢を持てないようでは、社会の発展・安定は望めません。
しかし、日本財団が最近行った18歳意識調査で深刻化する温暖化対策をどの世代が担っていくべきか尋ねたところ、過半数の53%が「現在の若者(自分たちの世代)」と答えています。将来に明るい展望は持てなくとも、直面する困難には自ら責任を持って立ち向かう意志の表れと思います。
最近増えている、新たな起業にチャレンジする若者の姿にも、社会に何らかの貢献をしたいという強い思いを感じます。
財政の悪化もあって、政治に大胆な政策を期待するには難しいかもしれません。ならば日本財団のような民間団体が様々なアイデアを出し、政府や自治体、あるいは民間企業がそれを有効と判断すれば引き継いでいく―。社会を活性化していく上でそんな試みこそ必要で、日本財団の役割もさらに大きくなると考えています。
日本財団はサステナブル(持続可能)な組織である必要があります。そのためにも、悪いものを「作らない」、「後世に残さない」姿勢が必要です。そのためにも常に高いアンテナを張りめぐらし、社会の変化に敏感に反応する組織でありたいと考えています。
日本財団
会長 尾形武寿