中南米における農業リーダー育成のための奨学金事業

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ホンジュラスのサモラノ農業大学

日本財団は中南米における農業リーダーの育成を目的として、ホンジュラスのサモラノ農業大学に対し奨学金を提供しています。

農業が中南米における貧困緩和の一助となることを目指して

北アメリカと南アメリカをつなぐ中米に位置するホンジュラスでは、人口の50%が貧困状況に置かれています。同じく中米のエルサルバドルでは20%、ニカラグアで25%、そして南米のボリビアでは40%、パラグアイで20%、コロンビアは35%と、貧困は中南米地域全体に蔓延する問題です。(出典:The World Bank「Poverty headcount ratio at national poverty lines (% of population) 2020年」)
その中南米で重要な産業として農業が挙げられます。本事業では、農業を通じて中南米諸国の発展を担う未来のリーダーの育成を目的としています。

ホンジュラス周辺国の地図。国境が接しているのはグアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア。その他の近隣諸国はベリーズ、コスタリカ、パナマ、メキシコ、キューバ、ジャマイカ、コロンビア。

バリューチェーンの確立した農業大学

ホンジュラスにあるサモラノ農業大学は、実践的な教育に重きをおいた大学で、カリキュラムの半分はキャンパス内にある農場や生産・加工施設などにおける実習からなります。キャンパス内で農業バリューチェーンが確立しており、学内で生産した牛乳、卵、肉、野菜、フルーツなどは、食堂で学生や職員に消費される他、良質のブランド商品として、地元のスーパーやレストラン、ホテルでも提供されています。学内には、牛乳をチーズやアイスクリームに加工する乳製品製造施設や、牛や豚のと殺設備、ハムやベーコン、ソーセージなどへの加工施設も備わっており、大学として農業を経済活動に結びつけるのと同時に、学生がこれらの作業を自ら行いながら、知識とスキルを身につけることができる教育環境を提供しています。

これまでの支援活動

主要産業である農業の発展を担っていく人材が求められる中、日本財団は2002年~2012年まで、サモラノ農業大学への奨学金支給を行い、15カ国・158名の学部奨学生を支援しました。自国に戻り、民間企業や研究所、政府機関に就職したりした卒業生がいるほか、起業したり、国際機関などで活躍している人もいます。

さらなるリーダー育成を目指して

学部生への支援の実績をもとに、研究を通じてより高い専門性を持った人材を育成するために、2018年1月、日本財団の支援のもと、サモラノ農業大学は修士課程「Graduate Program for Sustainable Tropical Agriculture in Latin America」を設立しました。日本財団は本修士課程で学ぶ学生(1学年15名×2学年)に対して奨学金を支給することとし、2020年8月に第1期生(6カ国・13名)が卒業致しました。

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第1期生卒業写真

奨学金プログラムの概要

対象 中南米地域出身の優秀かつ低所得家庭出身の学生
期間 2年間
1人当たりの支援額 学費及び生活費全額(USD 36,000/年(1年目)、USD 38,000/年(2年目))
  • 奨学生の選考はサモラノ農業大学が行います。

サモラノ農業大学(Escuela Agrícola Panamericana Zamorano)とは

1942年にホンジュラスに設立された私立大学で、学士課程4学部、修士課程1専攻。学生数は約1,200名で、中南米諸国からの留学生が70%を占めています。実習と規律を重んじた教育方針を持ち、卒業生は農業省などの政府機関、民間企業や研究所への就職や、事業経営者として活躍しています。

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実習で農作業を行う学生

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