ASEAN-日本障害学生サミット

日本・東京

本日は「ASEAN-日本障害学生サミット」に参加できることを嬉しく思います。

本日は、この場にASEAN諸国から50人を超える日本財団奨学生、卒業生、研究者および日本からの学生、研究者にお越しいただきました。私は本サミットは大変貴重な機会だと考えております。次世代の若きリーダーの皆さまが「テクノロジーによって障害を乗り越える」というテーマを議論するために集結されたからです。

私が一緒に活動している仲間には、障害の有無に関わらず、積極的に社会に貢献しているリーダーが多くいます。車椅子のエクアドル大統領、ろう者のEU議員、タイの盲人上院議員など政治的なリーダーシップを発揮している人。車椅子の日本人実業家や脳性麻痺のカナダ人投資コンサルタントなどビジネス界のリーダーもいます。彼らは、近い将来の皆さまの姿だと考えています。

彼らのような人たちが増えて、当たり前になっている社会。これが日本財団が目指すインクルーシブな社会です。

50年以上にわたり私たちが優先的に取り組んできたのは、ASEAN地域での聴覚、視覚、肢体障害者の能力開発です。

私たちは事業を通じて、できる限り多くの障害者が社会に参加できるようになることを目指しています。

聴覚障害者支援では、バイリンガルろう教育や手話言語学の推進を実施してきました。

視覚障害者支援では、教育と就労の機会拡大を目指し、ASEAN諸国でネットワークを構築してきました。

肢体障害者支援では、約30年にわたり義肢装具士を養成してきました。

長年にわたる障害者の能力開発を支援する中で、私たちは、テクノロジーが障害者の生活を変えるということを実感してきました。

例えば、ASEAN地域で支援した現地語の点訳ソフトや読み上げソフトなどの機器は、視覚障害者の教育機会を拡大しました。そして今、急速なテクノロジーの進化によって障害者の社会参加に更なる可能性がもたらされています。

しかし、この障害分野におけるテクノロジーの可能性をさらに活かすためには、皆さまのリーダーシップが何よりも重要だと私は考えます。持続可能で効果のあるテクノロジーの活用方法を新たに生み出し、施策に反映させ世の中を変えていく。それが皆さまがリーダーとして期待されている役割です。

そのために、私たちは各国の障害者の活躍を支える当事者のリーダーを育成してきました。奨学生の数は、7カ国37人にのぼります。もちろん、その中には本日お集まりの皆さまも含まれています。

学際的なマインドと、情熱を持って行動する勇気のあるリーダー。皆さまには、ぜひ、そうしたリーダーの1人になっていただきたいと思っています。

この2日間、ASEAN地域と日本からの参加者の協力と協働によって、インクルーシブな社会を実現するためのイノベーティブでクリエイティブな新しいプロジェクトが提案されることを期待しています。そして本日のサミットで得た気付きを、皆さまの国の発展に活かしていただけることを心より期待しております。日本財団は、いつも皆さまを応援しています。

最後になりますが、AUN-DPP Network、マラヤ大学、東京大学、日本マイクロソフト株式会社の皆さま、そして本日お集まりの若いリーダーの皆さまに御礼申し上げます。

ありがとうございました。