「TSURUMI こどもホスピス」4月1日開業日本初のコミュニティ型 難病の子ども向けホスピス〜大阪市鶴見区に開業

日本財団、および株式会社ユニクロの支援を受け、一般社団法人こどものホスピスプロジェクト(以下:CHP、※1)は、難病の子ども向けホスピス「TSURUMI こどもホスピス」(大阪市鶴見区花博記念公園緑地内)を4月1日(金)に開業します。 「TSURUMI こどもホスピス」は、英国の「ヘレン&ダグラスハウス」(※2)を参考に作られた、日本初のコミュニティ型子ども向けホスピスです。国内の成人向けホスピスが末期がん患者などの緩和ケアを主眼とした終末期医療のための施設であるのに対し、「TSURUMI こどもホスピス」は難病児自身の成長を持続的に支援する機能と、家族の看護負担を軽減し、リフレッシュしてもらう「レスパイト(小休止)ケア」の機能を併せ持っています。2,000平方メートルの敷地に建設する2階建て延床面積979.11平方メートルの施設内には、プレイルーム、リビングやキッチンに加え、宿泊部屋を備えるほか、運営は医療・教育・保育の専門家を中心とした地域ボランティアが主導し、安心・安全が保障された環境で、難病児たちとその家族が心から寛げる“第2の家”といえる空間を提供します。施設の運営費は企業や個人からの寄付金で支えられるため、誰でも無料で利用することができます。 「TSURUMI こどもホスピス」では、施設のことをハウス、施設を利用する難病児とその家族をメンバー、運営に携わるボランティアをキャストと呼び、メンバーに友人のように寄り添い、それぞれに合ったケアプランを立案します。このケアプランは、教育や遊び、社会体験をもとに多角的に考えられ、子どもたちの成長を促すよう計画されます。子どもが未知への興味を示し、新しい可能性を得ることは、本人のみならず家族を含めた周りの人たちにも幸せや希望をもたらします。また、施設の一部を「あそび創造広場」として広く市民に開放することで、難病児と一般の子どもが共に遊び、その家族が日常的に触れ合う地域交流の拠点として機能するとともに、地域全体で難病児とその家族を支える基盤になることを目指しています。 このような施設が必要とされる社会的背景には、小児がんなどの難病を患う15歳以下の子どもが約20万人いるという事実があります。医療の進歩にともなって多くの命が救われる一方、完治の難しい病気を抱えたまま生活する子どもの数は年々増加傾向にあり、これらの子どもたちが入院治療を終え退院した後の自宅看護における家族の負担の増大が課題となっています。 こうした子どもたちとその家族を支援する目的で日本版ヘレン&ダグラスハウスの設立を目指してきたCHPが、2012年にユニクロが世界中から子どもたちに夢や希望を与えるアイデアを募った「Clothes for Smiles」(※3)プロジェクトに応募。国内外から集まった700以上のアイデアの中から実行される8つのプロジェクトのひとつに選ばれたことを受け、かねてCHPの活動を支援してきた日本財団とユニクロが共同で建設費と運営費を捻出することに合意しました。2014年、大阪市が公募した鶴見緑地駅前エリア(第2期)整備・管理運営事業の土地活用事業(※4)にCHPのあそび創造広場が採択され、このたび開業の運びとなりました。

TSURUMI こどもホスピスのビジョン

私たちは、生命を脅かす病気と共に暮らす子どもとその家族に、友人のようにそばに寄り添いながらサポートを行う世界水準のこどもホスピスの実践を、地域に根ざした活動として取り組みます。

TSURUMI こどもホスピスのミッション

私たちは、生命を脅かす病気と共に暮らす子どもとその家族が、家庭的な環境の中で安らぎ、楽しみ、学び、慈愛を得ることができ、そして、つらいとき、悲しいとき、いつも支えが得られる場所であり、ひとであり続けます。

TSURUMI こどもホスピスの基本方針

  1. 病院ではなく家である(Home from Home)
  2. 友として関わる(Friendship, Tender loving, Care alongside)
  3. 子どもが大切にされる社会を醸成する(Children First)
  4. 困難に見合ったリソースの配分を行う(Fairness)
  5. 財源を寄付に頼った慈善活動である(Free standing)
  6. 活動の透明性を保証する(Transparency)

TSURUMI こどもホスピス 施設概要

運営 一般社団法人こどものホスピスプロジェクト
支援 日本財団、株式会社ユニクロ
住所 大阪市鶴見区浜1丁目1-77
敷地面積 2,000平方メートル
建設面積 636.07平方メートル
延床面積 979.11平方メートル(1F:589.94平方メートル、2F:389.17平方メートル)
構造 木造
階数 地上2階
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
施工 大成建設株式会社

TSURUMI こどもホスピス 完成予想図

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TSURUMI こどもホスピス外観イメージ
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TSURUMI こどもホスピス内観イメージ

参考資料

※1:こどものホスピスプロジェクトについて

「一般社団法人こどものホスピスプロジェクト」は、英国のこどもホスピス「ヘレン&ダグラスハウス」との交流を経て、日本における 「こどもホスピス」の活動を推進しています。主に、教育支援、訪問支援、小旅行支援、遺族支援を中心に、病院や在宅機関と連携しながら、家庭的なかかわりの中で、切れ目のない小児緩和ケアを目指しています。日本では、こどもホスピスの活動は始まったばかりです。私達は英国のこどもホスピスのモデルを日本で先駆けて推進し、こどもホスピスが地域に当たり前にある社会を目指しています。

※2:世界水準の子どもホスピス

「TSURUMI こどもホスピス」は、英国の「ヘレン&ダグラスハウス」を参考に建設されました。「ヘレン&ダグラスハウス」は1982年、英国オックスフォードに開設された世界初の小児ホスピスです。LTC(life threatening children)の子ども、きょうだい、保護者、それぞれを主人公に、教育や音楽、芸術などを通して成長を支えています。医療・福祉・教育の現場で活躍するスペシャリストを中心に構成されたボランティアが、友として寄り添い、サービスを提供。施設の運営費は地域の企業や個人からの寄付金で支えられているため、誰でも無料で利用することができます。

※3:ユニクロのClothes for Smiles(クローズ・フォア・スマイル)について

2012年10月に、ユニクロとユニクロのグローバルアンバサダーであるプロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手との共同発案で発足した、世界中の子どもたちに夢と希望を提供するためのプロジェクト。10億円のファンドを設立し、その原資はユニクロの同年秋冬のヒートテックとウルトラライトダウンの売り上げから拠出されています。主な活動は、世界中から子どもたちの未来を拓くアイデアを募り、実行していくことと、ユニセフ(国際連合児童基金)とグローバルアライアンスを結び、世界中の子どもたちの教育環境の改善を支援していくことの2つで、それぞれ5億円が割り当てられています。世界46カ国から寄せられた739件のアイデアから8つが選ばれ、これまでにセルビア難民センターの子どもたちにお気に入りの服を買う社会体験をプレゼントするプロジェクトなど7件のプロジェクトが実行されています。

※4:鶴見緑地駅前エリア(第2期)整備・管理運営事業の土地活用事業

鶴見緑地駅前エリア(第2期)整備・管理運営事業の土地活用事業において、CHPの「あそび創造広場」が採用されました。「あそび創造広場」は、「子どもたちの創造性と協働性を育む遊びの場」をコンセプトにしており、原っぱエリアが2300㎡、建物エリアが2000㎡、全体で4300㎡の敷地があり、全体を総称して「あそび創造広場」と呼んでいます。原っぱエリアは、営業時間であれば、どなたでも自由に利用できます。難病をもった子どもと一般の子どもが共に遊び、その家族が日常的に触れ合う地域交流の拠点として機能するとともに、地域全体で難病の子どもとその家族を支える基盤になることを目指しています。また、建物エリア(TSURUMI こどもホスピス)は連携する各団体が指定した方法に準じて使用できます。

日本財団の難病の子ども支援について

日本財団は、難病の子どもと家族が孤立しない支えあいの社会を目指し、NPOや医療・福祉・教育従事者、関係省庁、地方自治体等と協働し、2011年からハード(全国11カ所の建物整備)、ソフト(事業運営、人材育成、調査、啓発)両面での取り組みを行っています。病院生活を余儀なくされる子どもに対する遊びや学びを届ける活動、退院後の子どもと家族の在宅生活を支える活動、病状が厳しい状態の子どもの夢を叶える活動等を支援するとともに、支援団体の実務者ネットワーク構築を構築。これまで23団体に対し、55件の事業を支援しています(総額約16億円)。そのうち、「一般社団法人こどものホスピスプロジェクト」に対しては、2011年から訪問型レスパイトサービスや難病児に対する学びや遊びの提供、難病児とその家族の小旅行支援、医師・看護師を中心とした勉強会等の取り組みを支援しています。 ※数字は全て2016年4月1日現在のものです。

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日本財団 コミュニケーション部
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