ゼロエミッション船の実証実験にかかる技術開発助成プログラム 申請ガイド

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1. 本プログラムの趣旨

近年、気候変動や海洋汚染問題が世界的に進行しており、豊かな地球環境を保全する取り組みが求められています。2015年パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約締約国会議)ではパリ協定が採択され、その協定目標では産業革命から今世紀までの気温上昇を2℃未満、もしくは1.5℃以下に抑える目標が合意されました。また、我が国においても、菅義偉首相は2020年10月26日の所信表明演説にて、成長戦略の柱として「経済と環境の好循環」を掲げており、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現)を目指すと発表しています。

海上物流分野においても、運航時に温室効果ガスを排出しない船舶に関する方策の検討が、欧州を中心に進行しています。例えば、2015年にノルウェーにおいて、完全バッテリー推進のカーフェリー就航を皮切りに、2021年2月現在では世界中で327隻のバッテリー推進船が就航しています。また、水素燃料においては、小型の燃料電池船の開発・運航が進んでおり、今後、より規模の大きい数千トン規模の燃料電池の開発が予定されています。アンモニア船についても、欧州では2023年以降に大型船の開発と市場投入が予定されています。

一方、我が国においては、国土交通省は2020年3月に国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップを作成し、国際海運の脱炭素化に向け、将来の船が目指すべき方向性やその実現の方策をまとめています。また、民間企業や大学、研究機関によって、船舶による温室効果ガス排出の削減に向けた技術開発が進められています。さらに、日本財団が2020年5月に発表した「次世代燃料の適用による環境負荷低減船の推進における戦略策定にかかる調査」では、2050年の国内海上輸送における次世代燃料船の普及シナリオを提示し、将来的には利用時に水しか排出しない究極的にグリーン燃料である水素利用の拡大が予想されることを発表しました。また、水素に限らず次世代燃料船が2050年に広く普及した際の経済効果は日本全体でおよそ2兆3,000億円となる試算も行いました。

このように、世界的な脱炭素化を背景として、ゼロエミッション船の開発推進の流れは存在するものの、実際に普及するには技術面やバンカリング等の供給インフラ、制度面など様々なハードルが存在します。また、現在開発されている次世代燃料の多くは、運航時に温室効果ガスを完全に抑えるものではなく、究極なクリーン燃料である水素直接燃焼エンジンを活用した、ゼロエミッション船の開発が求められています。
そこで、本助成制度は、世界に先駆けて水素直接燃焼エンジンを利用したゼロエミッション船の開発とその実証実験、水素燃料を動力とする洋上風力作業船の実証、そして水素エネルギーと自動化船による先進船舶の実証によって、本分野の技術開発への更なる機運を醸成し、その結果2050年カーボンニュートラルを更に推進させるべく、当該技術開発を支援するものです。

2. 対象となる団体

  • 自社の技術の強みを水素エネルギーによるゼロエミッション船分野に活かしたいと考えている日本法人の企業
  • これまでのゼロエミッション船分野の経験、企業規模は問いません。新規参入を目指す他分野・ベンチャー企業からの提案も歓迎します。

3. 対象となるプロジェクトの内容

本プログラムの趣旨に沿った、内航船におけるゼロエミッション船の実証実験に係る研究開発を対象とします。

  1. 水素直接燃焼エンジンの開発及びその搭載船による実証
  2. 水素燃料を動力とする洋上風車作業船の実証
  3. 水素燃料を動力とする自動化船の実証
    1. 実証実験内容:試設計から試運転、実証実験までを対象とします。
      • 本事業は実証実験の実施を対象としていることから、事業の実現可能性を評価するフィージビリティスタディー事業や、一部の要素技術試験のみを実施する事業は対象外となります。
    2. 航路:新規航路、既存航路両方を対象とします。
    3. 技術開発内容:新技術は日本製、海外製は問いません。多分野の技術も支援対象です。一方で、既に実用化/商品化されている技術や、他の補助事業で実証中の技術は対象となりません。
    4. 内航船の対象範囲:船の種類、旅客/貨物の別は不問です。本邦港間を周航する近海船(近海区域を周航する外航船)も含みます。

4. 本プロジェクトの枠組み

  • コンソーシアム組成とプロジェクトごとの申請について

本実証実験の規模とそれにかかる技術開発は、単独企業や団体での実施は困難なことから、事業推進においてコンソーシアム(共同実施体)を組成いただいた上で、ご申請いただくこととなります。コンソーシアムの体制には、研究開発を実施する事業会社や、各プロジェクトの取り纏めの事業社など事業推進に必要な団体で構成されるものです。スタートアップ企業や中小企業等、異分野の企業も含めて組成ください。
また、申請は研究開発のプロジェクトごとにご申請ください。各コンソーシアム内に複数の技術開発プロジェクトが存在することが予想されます。その場合は個別にご申請いただき、事業名にコンソーシアムごとにわかるようにご記載ください。

5. 対象となる研究期間

  • 開始日:2022年1月1日以降
  • 終了日:2022年12月30日(予定)
  • 研究期間は最長5年間となります。
  • 助成契約は、年度ごとに専門家による第三者委員会による進捗確認を経た上での契約となります。

6. 助成金の補助率

事業費総額に対する助成金の補助率は、原則として80%とします。ただし、財団が特に必要と認める場合にはその限りではありません。審査の結果、申請助成金額から減額して採択される場合があります。

7. 対象となる経費

対象となる経費は、技術開発の実施に必要な経費とします。

  • 費目は各法人の会計規則などにあわせてご記入ください。

経費は以下の例を参考にしてください。

費目(例) 内容
施設費 実験施設借り上げなど
機械装置費 実験設備の購入など
工具器具備品費 研究に直接必要な備品等の購入費
材料費 研究に直接必要な材料等の購入費
使用料 データ使用料など
プログラム取得費 ソフトウェアの取得など
直接人件費 技術者や研究者の人件費のうち、研究に直接従事した割合を按分したもの
業務委託費 調査研究、翻訳作業など事業の一部を他に委託する費用(委託先は原則として国内に限る)
旅費交通費 研究に直接必要な移動に係る経費
雑費 少額かつ上記経費項目に含めることができない諸経費
  • 本助成プログラムでは、実証試験時の燃料代や、プロジェクト推進を担うコーディネーター等の人件費も補助対象となります。詳細に関してはお問い合わせください。

8. 申請手続き

申請受付期間

  • 2021年9月8日(水)11:00〜2021年10月29日(金)17:00まで

申請後、1時間前後経過しても受付確認メールが届かない場合はご連絡ください。

申請説明会

  • 2021年9月17(金) 13:00〜14:30 に申請説明会を開催いたします。参加登録はこちらのフォームからお申込み下さい。

申請の方法

専用申請フォームを使用した申請手続きとなります。以下内容を、今一度ご確認をお願いします。

  1. STEP1. 申請の準備
    申請補助資料(下記の「11. リンク一覧」よりダウンロードできます)をご準備ください。
    ※フォーム入力中に一時保存ができませんのでご注意ください。フォーム入力前に補助資料の作成を推奨いたします。
  2. STEP2. 申請フォーム入力・申請補助資料提出
    申請フォーム画面から質問事項を入力し、補助資料を添付にてご提出ください。
  3. STEP3. 申請※インターネットによる申請のみ
    2021年9月8日(水)11:00~2021年10月29日(金)17:00まで
    (注意:10月29日(金)17:00までに送信ボタンを押し、「申請受付メール」を受け取った事業が対象となります)

9. 結果の通知

審査の結果は、2021年12月中旬以降にお知らせの予定です。
それ以前の採否のお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。

10. 条件および留意事項

助成事業を実施する際には、いくつかの条件及び留意事項があります。
申請の時点でご確認いただきたい事項は下記の通りです。

(1)助成契約の遵守について

助成事業として決定した際には、まず日本財団との間で「助成契約」を締結します。締結した「助成契約」に反する行為があった場合は、助成金の返還請求等を行うこともありますので、契約を遵守してください。
また、助成事業終了後5年間は、事業関連の書類や取得物保管等の善管義務が発生しますのでご注意ください。

(2)助成表示について

日本財団が別途定めた助成表示を成果物等に表示していただく必要があります。

(3)完了報告書の提出について

助成事業の完了後は、完了後15日以内に事業完了報告書(収支計算書を含む)をご提出いただきます。

(4)監査及び事業評価について

助成事業の完了後、研究内容と研究費を監査します。また、今後の事業のより良い実施を目指し、事業評価を行うことがあります。監査及び事業評価の結果は、ウェブサイトなどで公表します。

(5)個人情報の取り扱いについて

日本財団が助成申請に際して収集した個人情報は、日本財団の個人情報保護方針に基づき、助成事業に関する事務手続き、助成金の募集案内、日本財団に関連するイベント案内、アンケートの実施、各種お知らせのみの目的に利用します。

(6)研究結果の公表

成果報告書を作成の上、日本財団図書館(外部リンク)に掲載いたします。詳細についてはお問い合わせください。

(7)知財関係

研究終了後、5年間は、知財の譲渡売却、知財化などについて、事前に財団へ報告を行っていただきます。

(8)人材育成関係

本技術開発事業は、オーシャンイノベーションコンソーシアムの活動の一環のため、同コンソーシアム会員メンバーへの加入をお願いしています。日本財団オーシャンイノベーションコンソーシアム会員メンバーへの加入は特別会員(500万円)、正会員(300万円)、準会員(150万円)より選択することとなります。

11. リンク一覧

申請時にご参照いただけるリンクの一覧です。

当財団の情報に関するもの

申請の手順に関するもの

日本財団助成事業の流れ(PDF / 162KB)
当財団の助成事業の流れについて、段階ごとに記載しています。

12. お問い合わせ先

日本財団 海洋事業部 海洋開発人材育成推進室

  • 電話:03-6229-2611(平日9:00~17:00)
  • メールアドレス:ocean_innovator@ps.nippon-foundation.or.jp