2024年度『夢の奨学金 第9期生』認定証授与式 東京・日本財団にて開催

9期生集合写真

20人の第9期生に認定証が手渡される

「日本財団夢の奨学金」の奨学生として新たに加わる2024年度第9期生認定証授与式が、3月8日(金)に日本財団ビル(東京都赤坂)にて開催されました。新年度は20人もの若者が奨学生として認定され、遠方からの奨学生も含めて全員が日本財団に集まりました。これからの学生生活を支えるソーシャルワーカー、日本財団の担当職員らが見守る中、日本財団理事長の尾形より認定証が授与されました。

認定証授与式開会の様子

認定証授与式開会のあいさつの後、まず第9期の奨学生一人ひとりに日本財団理事長の尾形より認定証が手渡されました。奨学生は名前を読み上げられると「はい」と返事をして前に進みます。

認定証授与の様子

「あなたは日本財団の奨学金の奨学生であることを認定します。奨学生としての誇りと自覚を持って、夢に向かって勉強や活動に励み、他の模範として自己の目標を実現されることを期待します」との言葉とともに、認定証を受け取りました。会場では一人ひとりにソーシャルワーカーや職員から「おめでとう」の声と拍手が起こりました。

笑顔で自己紹介!進学先と将来の夢を表明

認定証の授与に続いて、奨学生が一人ひとり自己紹介を行いました。進学先の学校、そこで何を学ぶのか、奨学生としての抱負、達成したいこと、そして将来の夢など、改めて決意表明をしていただきました。

式典中の様子

看護専門学校に進学する学生は「実習が多いので、レポート作成も含めてがんばりたいです。将来は総合病院で看護師として活躍したい」と胸を張ります。他にも医療関係では高度救命救急センターでの活動を目指す奨学生が「救命救急の実習をがんばりたい」と抱負を語りました。医療科学部臨床工学科で学ぶ奨学生は「先進国の医療技術を発展途上国に届けることで世界の医療技術の発展に貢献したい」と壮大な夢を語ってくれました。

教育関係では、幼児教育科で保育士、教育学部で小学校教員や中学校教員などを目指し、「教育を通して子どもたちの未来を作りたい」と目を輝かせていました。福祉を学ぶ学生は、児童養護施設や貧困家庭の子どもたちが大学進学するためのサポートをする仕事に就きたいと語りました。コミュニティ政策学科に在籍する奨学生は、すでに学習支援のボランティアに携わり、NPO設立まで果たしているとのこと。自分自身が学びながら、次世代への支援も果たしていこうとする意欲に溢れていました。

また、新しい分野ではeスポーツと環境に関する勉強に取り組む奨学生もおり、在学中から実際にeスポーツに触れたいと意欲的でした。芸術学部文芸学科で小説家を目指す奨学生は、「在学中から新人賞に応募したい」と、芸術大学で油絵を学ぶ奨学生も「在学中に個展を開きたい」と意気込みます。調理師専門学校で学ぶ奨学生は、「多くの資格を修得したい、最も難しいフグの調理師免許も取りたい」と具体的な目標を掲げて精進していこうとする姿がありました。

自己紹介の様子

理系の分野では、理工学部の電子システム、遺伝子工学、人工知能について学ぶなど、最先端の科学技術を学ぶ奨学生も多くいました。物質工学を専攻して化学メーカーの研究職を目指す、バイオ科学で素材の研究をおこない新しい材料で人々の生活向上に貢献を目指すなど、世に貢献しようという思いを語ってくれました。また、海洋建築という分野で一級建築士を目指したい、建築学科に進み「日本の古き良き建物や風景を保存したい」という環境やまちづくりに関する勉強に挑む奨学生もいました。

それぞれ魅力あふれる学問分野に果敢に挑戦しようという姿に、拍手が送られました。

「皆さんの夢に頼もしさを感じました」

第9期生の意欲溢れる自己紹介を終えて、改めて理事長の尾形より励ましの言葉を贈りました。

理事長の尾形との懇親の様子

「本日は誠におめでとうございます。皆さんの抱負をお聞きしていて、ほんとうに頼もしいいと感じました。ご自分の意見をしっかりもち、目標を見据えています。それを貫き通していただければと思います。

もちろん、学校で学び始めてから、方向性が変わることもあるでしょう。何らかの理由で方向転換するときは、簡単には決めずに、周囲に相談してご自分を客観的に見るようにしてみてください。日本財団のスタッフやソーシャルワーカーにもどうぞ積極的に相談してください。

これからの学びの期間に、生活の心配をしないで勉強や活動ができることは、自分自身の心の栄養になります。時間があったらぜひ本を読むようにしてください。教科書や学校の専門領域以外の本をたくさん読むことをおすすめします。

今の時代、若い方々はスマートフォンからの情報収集が習慣になっていると思います。小説もスマホで読む時代かもしれません。でも、年長者としてアドバイスするなら、活字の本を読むことはとても大事です。活字を追いながら読むことは、自分なりに考えたり、想像したり、とても頭を使います。読むことで思考力や想像力が鍛えられ、さまざまなことを吸収できるのです。それは物事を理解する力を育てます。

近年は漫画作品も素晴らしいものはあると思いますが、やはり活字の本を読むことを心がけることが大事です。普段読み慣れていないという人は、難しい本でなくてもいいです。読みやすい小説、雑学系の本、面白い歴史の本などから入ってみてはいかがでしょうか。ご自分の将来を形づくるこの学生時代だからこそ、ぜひ本を読む習慣をつけて、多くのことを吸収してほしいと思います。

理事長の尾形との懇親の様子

また、学生時代は過ぎ去れば短いですが、その渦中にいれば、停滞するときもあるかもしれません。やろうと思っていてもなかなか取りかかれないとか、難しい課題から逃避してしまうとか、中だるみもあるでしょう。

論語に「学びて思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し。思ひて学ばざれば則(すなわ)ち罔(くら)し」という言葉があります。教わるばかりで、自分で考えることがないと力はつかない、自分で思ってばかりで学ばないようだと危険だという意味で、私も教訓にしている言葉です。教えてもらっただけで、自分で考えないことはいけません。また、「やらなくちゃ、やらなくちゃ」と思っているだけでやらないのは、危ないのです。やはり決めたことは、何がなんでもやる、そんな気持ちで勉強に取り組んでください。奨学生の皆さんのこれからに期待しています。がんばってください。今日は本当におめでとうございました」

授与式は無事に終了。集合したときは緊張の面持ちであった奨学生でしたが、初めて会った仲間たちと笑い合う場面も見られました。最後は参加者全員で記念写真を撮影し、閉会となりました。

9期生集合写真
終了後、奨学生とスタッフ全員で記念撮影