重機を使った支援活動。アスリートが希望の扉を、道とともに開く。
“HEROs Sportsmanship for the future”は、トップアスリートがもつ影響力を社会課題解決のために活用し、助け合いの輪を広げていくことを目的としたプロジェクトです。
様々な困難を乗り越えてきたトップアスリートならではの発想力や行動力、影響力が加わることで、社会課題の解決が加速することを目指しています。
日本財団HEROsでは、地震や豪雨災害などの大規模な災害に対し、被災地に必要な支援を届け、被災者を鼓舞し、復興のサポートに取り組むことを目的として、アスリートやスポーツチーム・リーグと災害支援活動を行う「HEROs災害支援チーム」を2023年12月に立ち上げました。本チームでは、能登半島地震への支援活動として、物資支援や学校訪問活動などを行っています。
アスリートが能登で重機ボランティア活動を実施
2024年3月17日、石川県・珠洲市において「HEROs災害支援チーム」のアスリート7名が小型重機を使った瓦礫撤去活動に取り組みました。
支援活動で珠洲市を訪れたのは、HEROsアンバサダーの中田英寿(サッカー)をはじめ、井上鷹(サーフィン)、笹原龍(テニス)、杉本一樹(空手)、杉山美紗(アーティスティック・スイミング)、瀬川真帆(フィールドホッケー)、廣澤沙綾(水上スキー)の7名。
家に戻りたいと願う希望の扉を、道とともに開く
今回、支援活動の現場の指揮を取るのは、DRT-JAPAN三重代表兼日本笑顔プロジェクトゼネラルアドバイザーの山本俊太氏。
アスリートへ告げられた今日の支援活動は「道を開けること」です。
山本俊太氏:「今日は津波の被害が大きかった鵜飼地区で道を開ける作業をしてもらいます。この地区では倒壊した家屋が道を塞いでしまっているので、まずは道を開通させる。
そうすると、電力会社の作業車が入ってきて電気を通電させることができます。次第に水道や工事の会社も入り、さらに復旧が進む。
自分たちが先陣を切って行うのは、住民の方々が家に戻りたいと願う希望の扉を、道とともに開いてあげること」
今回、主に活動するのは旅館として営業していた建物で、同地域の観光のハブであると同時に、地域住民もよく知る場所です。アスリートたちは、復興への思いを背負いながら、道を塞いでいる瓦礫の撤去に取り組みました。
アスリートたちが一歩踏み出すことで、周囲を巻き込み世相を変えていける
災害支援チームに所属するアスリートの有志たちは、もしもの時に備えて必要な知識と技術を身につけるための研修活動として、小型車両系建設機械の講習を受講し運転資格を取得しています。
資格取得後、被災地で実際に重機を使った活動を行ったことについて、HEROsアンバサダーの中田英寿氏はこう語ります。
中田英寿氏:「重機の圧倒的なパワーを感じました。人間一人の力で作業するのと重機を使うのでは作業効率が全然違います。
今回自分たちアスリートがこのような活動に一歩踏み出すことで、その結果、周囲を巻き込み世相を変えていくことができるのではないかと感じました。
まずはこの活動を通して発信された情報をキャッチした人が『自分も重機の資格をとってみようかな』という気持ちを後押しすることができるのではないでしょうか。
これまでも日本中でさまざまな災害があって、ずっと向き合っていかなければいけないと思います。今後も起こるであろう災害に対して、やるべきことを理解しておくことは重要。より精度の高い災害支援をするためには何が必要なのか。そのひとつが重機の資格を取るっていうことだったわけです。
重機の資格を取得したことはちゃんと次に繋がる。先を見据えて、次、またその次に繋がることを考えながら活動していくということは非常に重要かなと思います」
HEROs災害支援チームでは、引き続き、小型重機を用いた支援活動や学校訪問などを通した子どもたちの心の支援を実施します。トップアスリートが集うことによる「人を集め、発信する力」を活用した支援活動を行い、支援の輪を広げていきます。