2024年度 第2回交流会 1泊2日草津温泉で奨学生が交流 ハンセン病資料館の見学も実施2025年3月8日~9日 於 草津

『日本財団 夢の奨学金』では、奨学金を受けながら大学や専門学校で学んでいる奨学生同士の交流会を開催しています。今年度第2回となる交流会は、2025年3月8日~9日の2日間、草津温泉にて開催されました。バスの中でのゲームレクリエーションに始まり、夕食会、ボウリング、懇談のひととき、湯畑周辺の散策、そしてハンセン病資料館の見学と、充実したプログラムで奨学生同士の交流を温め、学びを深めました。

企画委員進行のバスレクリエーションで盛り上がる

春3月、『夢の奨学金』の卒業式でもある「活動報告会」が無事に終了し、午後からは草津温泉での交流会に向けて、日本財団よりバスに乗り込みました。参加したのは6期生から9期生の21人の奨学生。ソーシャルワーカーやスタッフも含めて、総勢36人を乗せたバスが出発しました。

今回の交流会の企画委員は6人。昨年度の認定式に出席した第9期生からは3人が企画委員を務めました。バスが出発してからは企画委員が進行役となり、自己紹介のマイクを回します。皆さん名前と出身地、学校で学んでいることや趣味などをそれぞれ紹介してくれました。「MBTIは○○です」など、流行の性格診断で紹介する人も。挨拶が一通り終わってから、企画委員が考えてくれたゲームレクリエーションがスタートしました。

最初はキーワードゲームということで、夢の奨学金の連絡に使用しているLINE WORKSの参加者グループにお題が書き込まれ、回答者以外の人はそれを観て、関連するワードや内容を順番に言っていき、回答者はそのお題が何か当てる、というもの。最初のお題は「ランドセル」。関連するワードで「小学生」「ショルダー」などが続いて、正解。お題が「大谷翔平」は、関連ワードは「二刀流」で、すぐに正解になりました。

続いてはクイズゲーム。チキンナゲットの「ナゲット」の意味は?シュークリームの「シュー」の意味は?などの知識クイズや「草津温泉の湯もみの起源は何世紀?」など、これから向かう草津関係の問題。そして、「お腹をすかせたパンダの手にできてしまうのは何?」など(答えは、ささくれ=笹くれ)など、とんち問題などで、皆さん笑ったり感心したりしながら、ゲームを楽しみました。

途中の休憩を挟み、バスは目的地の草津温泉へ。3月にも関わらず気温が下がったこの日、草津はまだまだ雪景色。バスの中のレクリエーションですっかり気持ちもほぐれた奨学生たちは、ホテルに到着すると、さっそく雪を触ってはしゃぐ姿も見られました。

夕食会やボウリングで交流、温泉でくつろぐ

夕食までの時間に、元気な奨学生たちはホテル内にあるレクリエーション施設でゲームをしたり、ボウリングをしたりと、思い思いに過ごしました。夕食会では、改めてそれぞれが自己紹介。今回卒業する奨学生で企画委員を務める8期生は「頼りないかんじだったかもしれませんが、やってみて楽しかったです。このような交流会ができること、改めて感謝を伝えたいです」と挨拶しました。

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夕食会での奨学生同士の交流の様子

同じく企画委員の8期生は「私は企画委員を前年度の沖縄旅行のときから務めています。今年度も一緒に企画を考えてくれる仲間がいてうれしいです。今の企画委員も2人が卒業になります。私は来年度まで居ますので、引き続き企画委員を続けます。新たに一緒にやってくれる人がいたらうれしいです」と呼びかけました。

先ほどのバスでのレクリエーションで上位の人には、景品としてチョコレートを贈呈。和食料理をいただきながら、語らいの時間が続きました。夕食会でもまたゲームを楽しみました。ワードウルフというゲームで、4人グループとなり「あるお題」について話し合う中、「みんなとは異なるお題」を与えられた1人(ワードウルフ)を探し出すゲーム。ワイワイと語らいながら、夕食を終えました。

その後は自由時間となりましたが、ボウリングをしたい人が集まり、ボウリング大会さながらの盛り上がりに。ストライクはなかなか出ませんでしたが、よいショットが出るとチームでハイタッチをして喜び合いました。夜は露天風呂もある草津の湯で今日の疲れを癒しました。

2日目午前は草津のシンボル「湯畑」周辺を散策

翌朝、バイキングの朝食を終えて、草津温泉のシンボルである「湯畑」へ。まずは湯畑の前にある大正ロマン風の建物「熱乃湯」で開催される「湯もみと踊りショー」をみんなで鑑賞しました。キャストの女性が湯畑の見どころなどを案内してくれた後、民謡と踊り、湯もみ詩「チョイナチョイナ」の掛け声ともに約180cmの木の板でお湯をかきまぜる伝統のショーです。

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草津温泉「湯もみショー」の様子

湯もみは江戸時代からの歴史があります。草津の源泉は50℃以上と高いのですが、熱い源泉を冷ますために、水を加えて効能を薄めてはいけないということで、明治の頃に始まった風習だそう。湯もみによって、お湯の温度をほどよく冷やしていきます。ショーのラストには、湯のしぶきが天井近くにまで上がるダイナミックな「大もみ」が見られました。

その後はゆっくりと自由時間を満喫。湯畑周辺のお土産物屋さんを覗いたり、裏草津と呼ばれる草津の地蔵地区まで散策したり、情緒あふれる温泉街の雰囲気を楽しみました。所々にある足湯スペースで奨学生同士が語り合う姿も見られました。集合時間までに温泉でひと風呂浴びてきたという奨学生も!湯畑のフォトスポットで思い出に残る集合写真も撮れました。

ハンセン病の「重監房資料館」を見学

今回は交流を目的とした楽しいレクリエーションの他に、学びの時間も過ごしました。草津町のハンセン病の療養施設「国立療養所栗生楽泉園(くりうらくせんえん)」の敷地内にある「重監房資料館」の見学です。ここはハンセン病の負の歴史を後世に語り継ぐための資料館で、日本財団の関連団体である笹川保健財団が国から運営委託されている施設でもあります。

「重監房」とは、この地にかつてあったハンセン病患者を対象とした懲罰用の建物です。正式名称を「特別病室」といいますが、病室とは名ばかりで、刑務所のような場所でした。多くの患者が理不尽な理由で強制的に入所させられたという事実が明らかになっています。若い世代である多くの奨学生が訪れたことで、資料館の担当者が館内を丁寧に案内していただけました。資料館には実物大で再現された重監房の展示があり、狭くて昼間でも光の当たらない部屋に順番で入りました。リアルな体験に奨学生の皆さんも神妙な表情でした。資料展示室は2024年が開館10周年ということで、充実した企画展の資料があり、担当者に解説いただきながら、見学しました。

「重監房を再現された建物はとても怖かった。信じられないような理由で長期間入所させられた人のことを思うといたたまれない」「暗い歴史の話でしたが、人権の大切さを考えさせられました」などの感想が聞かれました。

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重監房資料館での説明に聞き入る奨学生

特別に資料館を案内・解説してくださった担当者にお礼を述べて、資料館を後にしました。楽しいひと時、そして貴重な学びの時間も共に過ごした交流会は終わりに近づきました。帰りのバスのなかでは、ソーシャルワーカーを代表して、大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部の藤川澄代部長から「2日間の交流会、無事に楽しく過ごせて良かったです。このようなイベントに改めて感謝して、今日の資料館で見学したことも、これからさらにご自分でも学んでいってください」との言葉が。奨学生もソーシャルワーカーもスタッフもお互いに楽しく貴重な交流を図ることができました。

今回の交流会に参加できなかった奨学生は、ぜひ次回またお会いできるのを楽しみにしています!