北海道胆振東部地震の被災地で弔慰金をお渡ししています

写真:土砂崩れの跡
厚真町では広範囲に及ぶ土砂崩れで多くの方が犠牲になりました

2018年9月6日、北海道胆振地方中東部を震源とした北海道胆振東部地震が発生しました。最大震度は震度階級で最も高い震度7を記録し、広範囲に渡って土砂崩れが発生したこともあり、大きな被害がもたらされました。
消防庁の集計によると、この地震による人的被害は死者41人、負傷者691人であり、住家被害は全壊394棟、半壊1,016棟、一部破損7,555棟(10月5日時点)にも及びます。

写真:弔慰金の申請書類
日本財団は災害でご家族を失われた遺族の方に弔慰金をお渡ししております

日本財団はこの被害を受けて、ご家族を失われた遺族の方に、今後の生活の支えとなる弔慰金をお渡しするため、被災各地をご訪問しております。10月5日には、震度7を記録して36人が犠牲になった厚真町にて、日本財団の笹川順平がご遺族の方に弔慰金をお渡しに上がりました。

被災者の方が少しでも安心して明日を迎えるために

「心よりお悔やみ申し上げます」日本財団の笹川が弔慰金を手渡すと、地震により旦那様とお子様を亡くされた被災者の女性の方が「お世話になりました、ありがとうございます」と弔慰金を受け取りました。

北海道胆振東部地震でお亡くなりになった方41人のうち36人が厚真町に集中しており、そのうちの32人の関係者の方が厚真町役場に弔慰金を受け取りに来られました。災害により配偶者を亡くされた方、お子様を亡くされた方、兄弟を亡くされた方。弔慰金を受け取りに来られた遺族の方には、様々な方がおられました。

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地震でご家族を亡くされた遺族の方に弔慰金をお渡しする笹川

「夜寝ている間に急に地震が発生して、自宅に土砂が押し寄せてきました。1階が土砂で埋まり、2階は家から分離して90度傾いたような状態になりました。私は2階の窓枠によじのぼり何とか夜が明けるのを待ちました」弔慰金を受け取りに来られたご遺族の方が、発災直後の状況を説明してくれました。厚真町では土砂崩れにより自宅を飲み込むように土砂が流れ込んできており、特に吉野地区では地区全域で大きな被害がもたらされました。家に入り込んでいる土砂は浅くて3m〜4m、深くて10m近くあるとも言われており、被災各地で復旧・復興が進められています。

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32人の関係者の方が厚真町役場に弔慰金を受け取りに来られました

厚真町役場で弔慰金をお渡している最中にも震度5弱の余震が発生し、警戒のアナウンスが鳴り響きました。未だに被災地は予断を許さない状況であり、被災者の方も落ち着くことができない様子でした。そのような状況下で、災害でご家族を亡くされた遺族の方に弔慰金を現金でお渡しすることを通し、被災直後の生活面で少しでも安心を感じていただければと考えております。

弔慰金を配る意義について

「災害でご自宅を失った方は、親戚など身近な人の家に身を寄せていたり、公営住宅に入っていたりしております。仮設住宅の建設も進めています。ただし、住む場所が確保されていても部屋の中には何も無いので、今回の弔慰金を活用して生活用品や家具を揃える被災者の方も多いと思います」厚真町副町長の近藤泰行さんが被災地における弔慰金の意義について説明してくれました。

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被災地における弔慰金の意義について説明する近藤さん

被災地には、災害により家族と自宅を失くし、今後の生活がどうなるのかも分からない被災者の方が多くいらっしゃいます。発災後すぐに現金で弔慰金をお配りすることで、そのような被災者の方の不安が少しでも解決すればと考えております。

「日本財団は寄付金を全国から集めており、被災地で活動するNPOやボランティア団体に支援金を交付することで、これからも継続的な支援を行っていきます」笹川が今後も厚真町の被災地に継続的な支援を行う旨をお伝えしました。

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今後も継続的な支援を行う旨を伝える笹川

日本財団は弔慰金の給付以外にも、重機を活用して土砂を取り除く作業、断水でも使用できるトイレの設置、被災地で活動するNPO・ボランティア団体への支援など、被災地を支援するために様々な活動を行っております。過去の被災地支援で培ってきたノウハウや人脈を今回の被災地支援でも活用しており、被災地の一刻も早い復旧・復興のために多角的に取り組んでいます。

「まだ地震も続いていて住民の方も安心できない状況ですが、なんとか私たちも少しでも早い復旧のために取り組んでいきます」近藤さんが今後の復旧について語ってくれました。

取材・文:井上 徹太郎(株式会社サイエンスクラフト) 写真:和田 剛