HEROsアンバサダー村田諒太選手が八街少年院を訪問「人生において自分とのリマッチに打ち勝て」
日本財団HEROsへのご寄付は、少年院に在院する子どもたちの更正支援活動にも活用させていただいています。ボクシング現WBA世界ミドル級王者でHEROsアンバサダーの村田選手は、「HEROs更正支援プロジェクト」の一環として、9月19日(木)に千葉県八街市にある八街少年院を訪問しました。本プロジェクトは、アスリートがスポーツの力を活用して在院者の更正を支援することを目的としています。
村田選手は、60名ほどの少年たちに自身の競技生活を通して得た、大切な気付きを伝えました。高校で2度ボクシングから逃げたこと、高校・大学のデビュー戦とラストマッチで負けを経験したこと。そこからチャンピオンになれたのは、「エリートではないけど、ボクシングを辞めなかったからです。それを誇りに思います」と話しました。負けたまま終わらないこと、挑戦し諦めない大切さを熱く伝えました。
また、村田選手は自分の弱さと向き合う重要性を話しました。村田選手は、自身の負け試合をきちんと見られるようになるまでに時間がかかったそうです。しかし、自分のダサいところ、情けないところから目を背けず自分の弱さと向き合うようになったことで、軌道修正ができたと話しました。「ダメなところを直すのは反対のことをすればいいだけのことだから簡単だ、時間はかかるけど絶対に必要な作業だ」と少年たちに自分の弱さと向き合う大切さを熱く語りました。
ボクシングで上手くいっていない時ほど私生活で悪さをする等自身の経験を話す中、多くの少年たちは頷いたり笑ったりと共感を示していました。上手くいっていない時に悪さをする理由は、「自分の存在感を見出せずにいて、自分が特別であると信じたいから。自分が弱いから上手くいっていないことと向き合えず悪さに逃げる」と話しました。「悪さをする人はごまんといる。悪さをすることは何も特別ではなく、そこで存在意義を見出しても何もならない。」と自身の経験を通して得た気付きを伝えました。
村田選手には、WBA世界ミドル級チャンピオンのベルトを一度奪われ、リベンジマッチで取り返した経験があります。「ボクシングもリマッチができるが、選手生命は長くはない。一方、人生は続くものであり、自分次第でいくらでもリマッチができる」と話し、自分とのリマッチに打ち勝てと鼓舞しました。「負けに始まっても、リマッチに勝てば、勝ちに変えられる。そのためには我慢が必要だが、その成功体験をして欲しい」と少年たちの更生を促しました。
村田選手がボクシングを始めたきっかけは学校の先生の勧めでしたが、途中でボクシングの楽しさに気付き、「ボクシングの道を進む」と自分で選択したことが人生の大きなターニングポイントだったと振り返りました。その経験から「人が選択した道を歩むと逃げ出すことが簡単にできるが、自分が選択した道を諦めるのは簡単なことではない。人生において選択をしなければならない時、みんなには良い選択をして欲しい」と伝え、自分との約束に責任を持つ大切さを話しました。
講演後の質疑応答では、たくさんの手が上がり、個人的な悩みを打ち明けアドバイスをもらったり、村田選手の目標について質問したりと、積極的な少年たちが多く見受けられました。全ての質問に対して村田選手は、的確にまた真剣にアドバイスをしました。スポーツ交流では、4名の少年たちが村田選手とミット打ちを行いました。その姿を見て拍手や笑い声が飛び交いました。村田選手は、ボクシングのキツさも味わって欲しいと笑いながら10連打をさせるなど、終始盛り上がりました。
八街少年院には、現在約70名の少年たちが在院しています。本少年院では、粘り強く、困難に立ち向かう力、健全な心身を培うために、剣道やサッカー、水泳のトレーニングが実施されています。スポーツの力、そしてアスリートの力で少年たちが更生の道を歩むことを願っています。今後もHEROsアンバサダー、HEROs AWARD受賞者を中心に、本活動を継続していきます。