【現地レポート】福島県郡山市、氾濫した阿武隈川近隣へ

大手日系企業の工場が多く立ち並ぶ福島県郡山市の中央工業団地。阿武隈川に隣接するこの地域は、今回の台風19号で大きな被害を受けました。人口30万人都市として栄える郡山市ですが、11月29日、現場入りした被害を受けた後の中央工業団地にはかつての活気は見受けられませんでした。

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穏やかな陽気となった11月29日の阿武隈川

この近くに、完成して間もないグループホーム楽もありますが、被災してしまい、利用する障害者の方々は全員避難を余儀なくされました。

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被災したグループホーム楽の玄関ガラスは全て割れていました
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当時、人の背丈を超える高さまで水が迫っていたことが伺えます

これまでの住まいに戻れず、避難を余儀なくされた障害者の住居の手配や、物資の支援を行っているNPO法人しんせい(外部サイト)のメンバーであり、基幹相談支援センターふたばの相談支援専門員でもある宇田さんにお話を伺いました。

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グループホームから避難することになった利用者のために急いで手配した避難先の一軒家

「もともとNPO法人しんせいでは、東日本大震災の地震・津波・原発事故によって多大な被害を被った障害者が安心して福島で暮らせるよう支援しています。私は、今もなおふたば地域から避難し、元いた場所に戻れずにいる方々の支援を相談員として行っています。」

そんな中での今回の台風被害。

「支援している障害者の方々は、普段から他人とのコミュニケーションが苦手だったり、どこかに自分で計画を立てておでかけすることが苦手な方々が多いです。一生懸命働いて貯めたお金で購入したテレビや本といったものが、彼らにとっては大切なリフレッシュする手段になっているのですが、これから寒くなるのに必要な暖房機器といった物品はもちろんのこと、そういったものも今回の被害でダメになってしまっていて、心配です。」

宇田さんが支援している人の多くは、料理も自分で順序立てて調理したり、バランスの良いものを準備したりということが難しいそう。そんな彼らのために、グループホームの形はとらず、住居と食事を提供する下宿を営んでいる「福豆荘」も訪問しました。

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全室に障害者が暮らす「福豆荘」の大家、田中さん

「1階まで水がきて、生活に必要なもの、特に家電類は全てダメになりました。今日も住人のご家族がいらして、使えなくなったものと必要なものを出し入れしています。」

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まだまだ片付けは終わらない様子

ここで暮らす住人の方に話を聞くと、「職場は復旧したそうので、来週からまた仕事に行きます。」と教えてくれました。少しずつですが、日常を取り戻しつつあるようでした。

日本財団では、引き続き被災地における多様な支援活動をサポートしていきます。

日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋弓子