「想定外」を想定した対策を感染者が急増した諸外国からの教訓

新型コロナ緊急支援対策チームの花岡です。日本財団は新型コロナウイルスに対する緊急策として、「船の科学館」など首都圏の2ヶ所(東京・お台場、つくば市)に計1万床の整備を発表いたしました。まずは、4月末に完成予定の東京・お台場の施設について、対策チームが全力で取り組んでいます。

さて、本稿では、株式会社三菱総合研究所(MRI)から発表された新型コロナウイルスに関する興味深いレポート(以下のリンク参照)をご紹介いたします。

レポートでは、諸外国における感染拡大後の死亡者数の推移を比較し、各国における死亡率の差異を分析しています。中でも、隣国のドイツとフランスは、感染者が急増した時期がほぼ同じであるにも関わらず、死亡率はフランスがドイツを大きく上回っている点に着目し、両国の政策を比較分析しています。

分析によれば、両国の通常時の病床数の差に加え、感染者急増前における医療提供体制の拡充施策の差が、死亡率の差につながっているとあります。このことから、我が国でも、早急な医療提供体制の拡充が求められます。日本財団としても、より一層スピード感をもって緊急策に取り組んでまいります。

先日の記者会見で会長の笹川が申し上げた通り、感染者が急増せず、この施設が結果的に使われずに終わることは歓迎すべきです。一方、レポートにあるように、「『想定外』は死亡者数の増加に直結する」ことから、「想定外」を想定した対策を先回りして行うことが必要ではないでしょうか。

そして、今回ご紹介したマクロな視点からの分析・提言が、ミクロな現場の行動と効果的に連動することこそ、人類が新型ウイルスに打ち勝つ秘訣だと考えています。今後も、現場の施策につながる調査研究を皆様にお届けしたいと思います。