問題解決の第一歩は、現実を直視すること実際の感染者数と、感染終息までに必要な時間

新型コロナウイルス緊急支援対策チームの花岡です。

さて、本稿では、前回に引き続き、株式会社三菱総合研究所(MRI)から発表された新型コロナウイルスに関する興味深いレポート(以下のリンク参照)をご紹介いたします。

前回は、感染者が急増した各国の死亡者の推移を比較した上で、隣国のフランスとドイツにおける死亡率の大きな差が、医療提供体制の拡充施策に起因する可能性があるというレポートを紹介しました。日本でも、重症患者に医療資源を集中させるため、軽症~中等症患者が療養できる場所として、東京都は都内ホテル、千葉県は幕張メッセ、神奈川県は湘南国際村センターといった施設を活用する計画等が相次いで発表されています。

さて、今回のレポートは、2つの点において私たちに現実を直視する重要性を教えてくれています。

1つ目は、「実際」(≠公表)の感染者数です。このレポートによれば、日本は、現状、イタリアやスペインと異なり医療崩壊は起きていないものの、人口規模が大きくかつ感染者が一定数発生しているため、PCR検査の実施対象を限定せざるをえず、結果として無症状の感染者を把握できていないと指摘しています。MRIは、医療提供体制が十分な場合における新型コロナウイルスの致死率が1%程度だとした場合、日本の実際の感染者数は公表された感染者数の6倍にものぼると試算しています。厚労省によると、検査数に対する陽性者数の割合は東京で約40%となっており、検査数の増加・検査の効率化は急務となっています。また、陽性判定を受けていない無症状・軽症の方が無意識に人に感染させることのないよう、我々はStay Homeを続けることが大事です。

では、いつまでこのCOVID-19との戦いが続くのでしょうか。それこそが現実を直視する2つ目となります。レポートでは、感染者数(累計感染者数から回復・死亡者数を除いた数)が減少に転じているドイツとアイスランドについて、今後の感染者数をシミュレーションしています。それによれば、両国ともに3~4か月すれば感染者数は大きく減少する結果となっています。一方、シンガポールのように一度減少に転じても再び増加する場合があることから、感染者数の推移を注視しながら施策を緩めたり厳しくしたりする必要がありそうです。仮に5月6日に緊急事態宣言が解除されても、元の生活にすべて戻ることはありません。感染終息には年単位の年月を要することを直視し、それに備えて個々人が行動することが重要です。