長崎県雲仙市初の第三の居場所。地域の子どもたちを地域で支える
桜のほころび始めた2023年3月21日、春分の日。長崎県南部の島原半島に位置する雲仙市千々石町(ちぢわちょう)にて、「メットライフ財団支援 らたん」の開所式が執り行われました。
日本財団はメットライフ財団から約4億円の寄付を受け、「高齢者・子どもの豊かな居場所プログラム」に取り組んでいます。2022年12月に同プログラムにより開設された山梨県大月市の高齢者ホスピスに続き、子ども第三の居場所としては第1号の開所となりました。
当日は生憎の雨となりましたが、式には関係者40名以上にご参加いただきました。雲仙市初の開設となる子ども第三の居場所への関心の高さがうかがわれます。
同拠点は一般社団法人ひとり親家庭福祉会ながさきの運営により、4月に利用を開始します。子ども達の自己肯定感や社会と関わる力を育てるため、週5日の手厚い支援を行う「常設ケアモデル」として、自治体、学校、ソーシャルワーカー、関係機関などと密に連携していきます。
理事長の福地照子さんから、4月からの利用開始に向けて、決意の言葉をいただきました。
「ひとり親家庭福祉会ながさきは、戦後のひとり親家庭を支援するために出来た団体で、70年以上ひとり親家庭の生活全般の支援を行ってきました。その中で、子ども食堂や「つなぐBANK」などの食料支援とアウトリーチ支援を行う中で様々な家庭と出会い、新しい居場所が必要だと感じていました。「雲仙市新・子育て応援パッケージ」や見守り強化事業、「つなぐBankうんぜん」など、子育て世帯への支援強化を行っている雲仙市で、さらに子どもたちが安心して過ごせる居場所をつくっていきたいです。」(福地さん)
また同拠点は、メットライフ生命から同社社員による金融教育プログラムなどのボランティア活動を通じた、子ども達の自立支援のサポートも予定されています。
「メットライフ生命は、お客さまに安心と信頼を約束するだけでなく、地域社会の皆さまに寄り添いながら、長期的に価値を創造し提供し続けていくことが使命だと考えています。長崎は当社にとって非常に重要な拠点の一つであり、地域に根差したさまざまな取り組みを行ってきました。「メットライフ財団支援らたん」様においても、今後、当社の社員が子ども達の自立に向けてお手伝いをさせていただきます。この先の50年、100年と、地域の皆さまとともに、よりたしかな未来に向けて、ともに歩んでいけるように、地域貢献に取り組んでいきたいと考えます。」(ポール・マイルズさん)
事務局長の山本さんからは、同拠点で行う子どもたちへの支援内容の説明がありました。
「らたんでは生け花教室やサッカー教室などを行う予定です。その理由としては、家に花を飾る余裕がないご家庭の子どもも多いのが現状です。またそれぞれの教室に通う余裕もありません。このような経験を通じて、子ども自身が、自分も夢を見ていいんだと思ってもらいたいです。」
また、同拠点では入学や進学で必要な文房具や習字道具、上履きなどの提供も、相談に応じてくれるとのこと。あわせて、歯科医師・婦人科・弁護士との連携を図る予定で、子どもだけではなく、親からの相談窓口としての機能も担う予定です。
日本財団子ども第三の居場所としては、この「メットライフ財団支援 らたん」は150拠点目になりました。経済的・家庭的などなんらかの困難に直面する子どもの割合は、延べ34.3%(参考:2022年日本財団 子どもの居場所の全国展開に向けた提言書)にのぼります。
日本財団は全ての地域で子ども達が安心して過ごしながら、生活習慣を身に付け、学習支援を受けることのできる、家でも学校でもない第三の居場所が必要であると考えています。
「らたん」が、地域に密着し、地域に誇れる場所を作りたいという思いで行っている『高齢者・子どもの豊かな居場所プログラム』でメットライフ財団からの支援をうけ開所できたことは、子どもたちだけではなく、地域に大きな活力となるでしょう。この拠点がハブとなって、困難に直面している子どもたちも、安心して生活のできる地域となることを期待しています。