箱モノ支援で終わらせない。ミャンマーの人々の意識変革につながったスクールプロジェクト
2020年度にご報告したTOOTH FAIRYによるスクールプロジェクト。現地への渡航がなかなか難しい時期が続いていましたが、2023年4月24日~29日、ミャンマーのイラワジ地域で建設を支援していた学校の落成式に出席してまいりました。みなさまからのご支援が形を変え子どもたちに届けられる様子をお届けします。
本プロジェクトでは、ミャンマー国内にて合計56校もの学校を建設することができました。加えて歯科医師の先生方によるご協力のもと、現地に赴き、歯科ボランティアも実施。金銭面だけではなく技術面での支援も行っています。
暑さも吹き飛ばす、賑やかで明るい落成式に
今回訪問したのは、ヤンゴンから車で4~5時間の山岳地域になるイラワジ地域。山岳地域で交通の便も悪く、決して豊かとはいえない地域ですが、どこに行っても村の皆様に温かく迎えていただきました。現地はちょうど雨季の前の、一番暑い時期。毎日気温は38℃を超えていました。そんな中でも、小さな子どもから地域の教育長の方まで参加する落成式は、とても賑やかで明るい式となりました。
また、今回は株式会社LION様からのご協力もあり、現地の子どもたちへ歯ブラシをお届けすることができました。村の中では歯ブラシなどを売っている店舗は見当たらず、歯ブラシも定期的に取り替えられない、家族で共通で使っている状況の中で、子どもたちへ一本一本渡すことができました。
悪路の先には、遊具で遊ぶ子どもたちの笑顔が
2日目に訪問したカンユア小学校は、車両が入らない道を通る必要があるため、途中からバイクに乗り換えての訪問となりました。交通の便が悪いため、学校建設にも通常の3倍もの費用がかかったそうです。しかしながら、村の方々は本当に学校を建設したいという想いをもち、資金を集め、今回の建設に繋がりました。
また、今回開校した学校には遊具が設置されています。この遊具もTOOTH FAIRYで支援したものです。ブランコ、滑り台やシーソーなど遊具があることで、子どもたちの遊びの場となり、学校に行きたいと思ってもらえるきっかけとなるそうです。日本でよく見かけるようなカラフルな遊具の周りでは、春休みにもかかわらず、多くの子どもたちが楽しそうに遊んでいました。
学校で、図書館で自ら学ぶ。子どもたちの想い
今回の訪問では、落成式に加え、TOOTH FAIRYで支援した図書館の視察も行いました。そこでは、日本で中学生にあたる子どもたちと意見交換をする機会もありました。この図書館にある本を読み、読書感想文を書き、優秀な成績を残している子どもたちです。
子どもたちからは、「本を読むことで知識が増えた。」「いろいろな種類の伝記をもっと読みたい。」という言葉もありました。学校が建設されたことで、学校に通い、本を読むことで積極的に勉強に取り組むことができています。
色々と話を聞く中で、言葉に詰まり涙を浮かべて話してくれる子もいました。「本当は学校に通いたいけれど、生活が苦しく、親の仕事を手伝わないといけなくて、通ってこられない子もいる。結局ドロップアウトしてしまい、学校に来なくなってしまって、悪循環になっている。」と自分たちの置かれた現状を涙ながらに伝えてくれました。
このような辛い現実にも直面しながらも、懸命に勉強をしている子どもたち。率直で想いのこもった意見に胸がいっぱいになると同時に、このような強い意志をもつ子どもたちを支える教員や学校は、TOOTH FAIRYの支援によって成り立っています。不要となった歯科撤去金属が、しっかりとミャンマーの子どもの未来に、笑顔につながっています。
ミャンマーから、寄付者の皆さまへ
ミャンマースクールプロジェクトを現地で推進していた平野さんからTOOTH FAIRYを支えていただいた皆さまへコメントをいただきました。
「2014年以来9年間、イラワジ管区の学校建設並びに遊具や図書館の設置、更には教師の人事育成研修にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございました。「継続は力なり」という言葉がありますが、長年に亘りご協力いただいたことにより、最初は学校建設という箱モノの支援で始まったものが、徐々に人々の意識の変革という開発協力の本来の姿に至りました。今年11月でプロジェクトは終了いたしますが、研修を受けた教師や地域のリーダー達にその意志は引き継がれ新しいミャンマーの創造に向かって進んでいくことを祈っています。」(認定NPO法人れんげ国際ボランティア会 平野喜幸さん)
TOOTH FAIRYでは今後、国外における新たな事業を検討していきます。引き続き、子どもたちの笑顔につながる事業を実施してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。