アール・ブリュット支援

アール・ブリュット支援事業は終了しました。

あらたに、「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」として展開しています。

日本財団アール・ブリュット支援事業について

パリで12万人を超える観客を動員したアール・ブリュット・ジャポネ展(会期:2010年2月〜2011年1月)では、日本の障害者などが創った作品(約800点)が紹介され、大きな反響を呼びました。一方、日本では、こういった作品を多くの美術館で展示・所蔵するまでには至っていないため、作品の保存や、美術作品として相応しい展示機会の拡充が望まれています。

日本財団は、パリで高い評価を得た日本のアール・ブリュット作品を所蔵し、適切に保存しながら、美術作品として相応しい展覧会への出展と、古民家・蔵を改修した美術館の整備・企画運営支援を通じた展示機会の拡充と鑑賞環境の整備を行い、より多くの人に作品の魅力を届けるアール・ブリュット支援事業を展開しています。

アール・ブリュット作品が繰り出す豊かな創造と多様な価値観が、私たちの心にある偏見や固定観念を拭い去り、互いの個性と人格を認め、支えあう社会の実現につながることを期待し、この事業に取り組んでいます。

事業内容

  1. 作品の適切な保存と管理
  2. 展覧会等を通じた国内・海外への日本のアール・ブリュット作品の普及
  3. 改修によるアール・ブリュット美術館の整備と企画・運営支援

事業計画

  1. 全国の公立美術館で巡回展を開催
    1. 美術館連絡協議会を通じて、129の加盟館を対象に随時実施する。
      • 2011年度
        埼玉県立近代美術館(4月9日〜5月15日)新潟市美術館(7月16日〜8月28日)
      • 2012年度
        高浜市やきものの里かわら美術館(4月7日〜6月3日)岩手県立美術館(6月12日〜9月2日)
      • 2013年度
        高知県立美術館(4月14日〜6月16日)福岡市美術館(10月1日〜11月24日)熊本市現代美術館(12月7日〜2月23日)
  2. 古民家や蔵を改修したアール・ブリュット美術館を整備し、展覧会を開催
    1. 古い町並みや伝統的な建物を活かし、全国に10カ所程度を整備する。
      • 2004年
        滋賀県(近江八幡市)
      • 2011年
        高知県(高知市)
      • 2012年
        広島県(福山市)、京都府(亀岡市)
    2. 学芸員育成の支援
      美術関係の企画・運営に関する講座受講ほか
      • 2012年、2013年
        「ART BRUT & MAD」開講 協力:NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ
    3. アール・ブリュット美術館ネットワークの構築
      • 各館の運営ノウハウや課題を共有し、今後につなげる検討会の開催
      • アール・ブリュット美術館ネットワーク共同企画展の開催ほか

アール・ブリュット美術館(AB)〜美術と福祉と建築が融合する賑わいの場所〜

アール・ブリュット支援事業の一環である鑑賞環境の整備として、町なかに残る古民家や蔵を改修し、作品の魅力を発信するアール・ブリュット美術館を全国に10カ所程度、開設します。

この美術館の整備は、障害者が働き、地域の人が憩い、賑わいを創出する芸術文化の発信拠点として、各地の福祉団体、美術や法律、建築の専門家にご意見をいただきながら要件を設定し、検討を進めてきました。福祉、美術、建築といった領域と、障害の有無を超え、才能豊かな創造と多様な価値観に出会うボーダレスなアート空間を目指しています。 

芸術文化の発信拠点として相応しい、地域のリソースを活かした建築にもこだわりました。設計は無有建築工房の竹原義二氏と新建築賞を受賞した乾久美子氏が手掛け、伝統的な雰囲気のなか、アール・ブリュットと匠の技術が光る建築を楽しめる場所として、流行に敏感な若い人が集まる観光スポットとしても、期待を寄せています。

ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市)

2004年6月オープン

滋賀県社会福祉事業団が運営する美術館。県の外郭団体として県立の老人ホームなどを受託管理している福祉事業団が、美術館を設立・運営すること自体が前例のない試みであるが、活動の核を障害者の表現活動に置いていることでもユニークなミュージアム。製作者の障害の有無ではなく、人間の持つ普遍的な表現力を発信しようという意欲が、館名の「ボーダレス・アート」に込められている。

外部サイトボーダレス・アートミュージアNO-MA

写真:ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの外観

藁工ミュージアム(高知県高知市)

2011年12月オープン

運営するのは、NPO法人ワークスみらい高知。生産性と自己実現の両立を図る障害者の就労支援で高い評価を得ている。物件となる藁工倉庫は、水切り瓦と土佐漆喰塗といった高知特有の建築技法が施された土蔵で、美術館として再生することで伝統文化を次代に継承する役割も担っている。

外部サイト藁工ミュージアム

写真:藁工ミュージアムの外観

鞆の津ミュージアム(広島県福山市)

2012年5月オープン

運営は(福)創樹会。パリ展出展作家2名が在籍する福山六方学園がある。瀬戸内国際芸術祭が行われている瀬戸内との関連性を強め、新たな観光ネットワークを考えている。

外部サイト鞆の津ミュージアム

写真:鞆の津ミュージアムの外観

みずのき美術館(京都府亀岡市)

2012年10月オープン

1964年、日本画家で教育者の故・西垣籌一氏が開設した絵画教室を発端とするアトリエ「みずのき」がある(福)松花苑が運営。
アール・ブリュットやアウトサイダー・アートという言葉や概念がない時代から、アート活動に取り組む草分けとして、国内外の注目を集めている。

外部サイトみずのき美術館

写真:みずのき美術館の外観
©乾久美子建築設計事務所

アール・ブリュットとは

「生(き)の芸術」というフランス語。正規の芸術教育を受けていない人による、技巧や流行に囚われない自由で無垢な表現を讃えて、1945年にフランス人画家のジャン・デュビュッフェが創り出した言葉。「アウトサイダー・アート」と英訳され、世界各地へ広まった。
現代では、作家の心のあり方に本質を置き、魂の叫びや無意識から生まれる多種多様な表現を含んで、アール・ブリュットと捉えられている。

アール・ブリュット支援事業は終了しました。

あらたに、「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」として展開しています。