義肢装具士は、人工の手足である義手・義足を患者一人ひとりに合わせて製作、調整するほか、リハビリ等を支援する医療専門職です。日本財団は1990年代初頭から、戦争や内戦により地雷被害者が多く発生した東南アジア地域を中心に、義手や義足を無償で提供し、肢体障害者を直接支援してきました。さらにアジア域内の人材によって義手・義足の提供を継続していけるよう、義肢装具士養成のための学校への支援も行っています。これまでアジア6カ国(カンボジア、タイ、スリランカ、インドネシア、フィリピン、ミャンマー)で600人以上の義肢装具士を育成し、約50万人の患者に義手や義足を提供してきました。支援総額は100億円近くに上ります。
各国保健省との連携、アジア域内における人材の共有
養成学校の設立と運営は、基本的に各国の保健省と協力して行い、これまで職人とされてきた義肢装具士の地位を国の医療制度の中に準医療職として確立するよう働きかけました。10年間を支援の区切りとし、その間に人員面・資金面ともに自立して運営できる体制を整えた上で各国に引き渡しています。既にカンボジア、タイ、スリランカ、インドネシアの4ヵ国は現地に譲渡し、自立的かつ持続的な運営がなされています。各国間で知識や技術、人材を共有し、支え合う仕組みを確立しています。
ISPOから「アジア地域に比類ない規模の成果をもたらした事業」と評価
日本財団が行ってきた義肢装具士養成事業の成果について、国際義肢装具協会(ISPO)に委託し、報告書を作成しました。調査および執筆は、メルボルン大学ノサール世界保健研究所のチームが行いました。調査チームが各国を訪問し、患者、卒業生、職員、関係者など100名以上にインタビューを実施。調査報告書は以下URLからダウンロード可能です。