中央アジア地域におけるファンドレイザー育成

中央アジア地域におけるファンドレイザー(※)育成事業とは
中央アジア資金調達人材育成事業とは、キルギス共和国を起点に、非営利組織が自立的に資金を確保できる体制を構築する取り組みです。地域の文化や法制度を踏まえた教材開発と大学連携による体系的な研修を通じて、持続可能な人材育成モデルを確立しています。将来的に、中央アジアおよびアジア地域への展開を目指すプロジェクトです。
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ファンドレイザーとは、NPOの活動資源となる寄付や助成金などを集める専門職のこと。
アジア地域における社会課題の複雑化と民間の役割
アジア地域では経済成長と市場化が進み、資本主義を基盤とした社会構造が深まっています。経済発展は生活水準の向上をもたらす一方で、所得格差や地域間格差、教育・医療アクセスの不均衡など、新たな社会課題も生まれています。
今後もこうした社会体制が続く限り、課題が自然に解消されることは期待できず、国家のみで対応するには限界があります。そのため、民間による社会的関与、とりわけ非営利組織の役割はますます重要になっています。
国際支援に依存してきた資金構造
しかし、アジアの多くの国では、これまで社会課題解決の資金を海外援助や国際機関が担ってきました。近年ではドナー縮小や規制強化が進み、その前提は大きく揺らいでいます。地域内で資金を循環させる仕組みづくりと、それを担う専門人材の育成は、アジア全体で共通する課題となっています。
中央アジアの歴史的背景と依存構造
本事業は、こうした広域的なニーズを背景に構想されたものですが、まずはキルギス共和国を起点として取り組みを進めています。キルギス共和国をはじめとする中央アジア諸国は、旧ソ連時代には政府主導の計画経済体制のもとにありましたが、独立後は市場経済へと移行しました。その過程で、国家が担ってきた社会サービスを補完する存在として非営利組織の役割が広がってきました。
しかし、社会課題解決のための資金の多くを国際援助が担ってきた歴史的経緯から、国内の寄付文化や民間による資金循環の仕組みは十分に育ってきませんでした。その結果、外部資金への依存度が高い構造が固定化されてきました。
ドナー縮小がもたらす資金基盤の危機
こうした構造のもと、近年キルギス共和国では国際財団の撤退や援助停止が相次ぎ、外部資金に依存してきた非営利組織の活動基盤が急速に揺らいでいます。歴史的に形成された資金依存構造と現在進行するドナー縮小が重なり、多くの団体が将来の資金確保に強い不安を抱える状況にあります。
今まさに、持続可能な資金基盤を自ら構築する段階に入っています。課題構造の明確さに加え、大学との連携基盤も整っていることから、モデル形成の第一歩としてキルギス共和国が最適であると判断しました。
1年目:地域に根ざした教科書の開発
初年度には、中央アジア地域でファンドレイジングを体系的に学べる教材が存在していなかったことを踏まえ、国の文化や法制度を加味したファンドレイジングの教科書を新たに制作しました。本教材は、中央アジアの非営利組織専門家と、アメリカ合衆国の著名大学でファンドレイジングを教える教員の協力のもと共同開発され、地域の実情と国際的な知見を統合した内容となっています。
単なる翻訳や輸入ではなく、中央アジアの制度・文化・寄付環境を前提とした実践的教材として整備された点が、本事業の基盤となっています。
2年目以降:大学連携による人材育成と展開
2年目は、この教科書を基盤にカリキュラムを設計し、Ala-Too International University(アラ・トー国際大学/キルギス共和国)と協力して12セッションのトレーニングコースを提供する予定です。参加者は資金調達の理論と実践を体系的に学び、自団体の計画を具体化しながら実装へとつなげていきます。さらに研修修了後には、参加者同士の横のつながりを強化するため、地域でネットワーク構築イベントを計画しています。個々の団体の能力向上にとどまらず、中央アジア全体で知見を共有し合う専門家ネットワークの形成を目指します。
本事業は、キルギス共和国で確立したモデルを基盤として、今後はカザフスタン共和国をはじめとする中央アジア、さらには東南アジア地域への展開も見据えています。まずはキルギス共和国で実践と検証を重ね、再現性のある仕組みとして磨き上げることで、アジア各国において自立的に社会課題解決を支える資金基盤の確立を目指します。
お問い合わせ
日本財団 特定事業部 障害インクルージョンチーム
- 担当:中村
- メールアドレス:100_shougai_inclusion@ps.nippon-foundation.or.jp