東南アジアにおける障害のある起業家支援事業

写真:カンボジアで開催された障害者を対象とする起業家支援イベントの集合写真

東南アジアにおける障害のある起業家支援事業とは

東南アジアにおいて、障害の有無にかかわらず起業家支援を受けられる環境を構築し、障害者の収入の向上や取り巻く様々な課題の改善を図り、障害者の社会参加を推進するプロジェクトです。

障害者の経済的自立と、東南アジアにおける起業家支援における課題

東南アジアの中所得国では、公的な障害者支援が十分に整っているとはいえず、障害のある人が安定した収入を得るための選択肢は限られています。法制度上は障害者の雇用促進や差別禁止が定められている国もありますが、企業による雇用は依然として限定的です。

一方で、東南アジアでは、インフォーマル就業や自営業は珍しい働き方ではありません。実際に、インドネシアでは、働いている障害者のうち約70%がインフォーマル就業に従事しており、非障害者の49%を上回っています。フィリピンでも、就業している障害者の約50%がインフォーマル就業に従事しています。

こうした状況を踏まえると、障害のある人にとって、企業への就職に加え、自ら事業を立ち上げることや家族経営の事業に関わることは、社会的・経済的に自立するための重要な手段の一つとなっています。起業や自営業は、特別な選択肢ではなく、現実的に収入を得るための有効な手段でもあります。

東南アジアの新興国では、経済成長を背景に、多くのスタートアップが生まれています。それに伴い、創業支援、事業拡大支援、投資家との接続、アクセラレーションプログラムなど、起業家を支援する体制も各国で広がりつつあります。

しかし、こうした起業家支援の多くは、障害のある人にとって十分に使いやすいものとはいえません。施設や会場の物理的なバリア、情報へのアクセスの難しさ、障害に対する無意識の偏見などにより、起業に関心や可能性を持つ障害者が、支援の機会から取り残されている現状があります。

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インドネシアの起業家支援施設の入り口に設置されたエレベーター

世界有数の起業家支援ネットワーク、Impact Hubとの連携

この課題に対応するため、日本財団は、世界有数の起業家支援ネットワークを持つImpact Hubと連携し、2025年より本事業を開始しました。Impact Hubは、世界65カ国以上に広がる起業家支援ネットワークを持ち、各地で社会課題の解決に取り組む起業家やイノベーターを支援してきました。
本事業では、Impact Hubが持つ世界的なネットワークと、現地に根ざした対面型の起業家支援の強みを活かし、障害のある人が起業家支援にアクセスし、自らの事業を立ち上げ、成長させていくための環境づくりを進めています。

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フィリピンで開催されたグループワークにて車いすの女性が話している写真

カンボジア、インドネシア、フィリピンでの事業実施

本事業は、カンボジア、インドネシア、フィリピンの3カ国で実施しています。これまで現地の起業家支援コミュニティと障害コミュニティの連携体制を構築することを重視し、起業家支援施設やオンライン教材のバリアフリー化、障害のある人を主な対象としたイベントの開催などを行ってきました。

今後は、これらの基盤を活かしながら、障害のある人への起業家支援をパイロット事業として進めていく予定です。アイデアの具体化、事業計画の作成、メンタリング(※)、ネットワークづくりなどを通じて、障害のある人が起業家としての可能性を広げることを目指しています。

  • メンタリングとは、経験豊富な先輩(メンター)が後輩(メンティ)の1対1の対話を通じて、自発的な成長やキャリア形成、メンタル面を支援する取り組みのこと。
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カンボジアで開催されたイベントにおいて、車いすの男性が聴衆の前で喋っている写真

障害者がイノベーションの担い手へ

本事業は、障害のある人に対する一時的な経済的支援を目的とするものではありません。目指しているのは、障害のある人自身が起業家となり、社会に存在するさまざまな障害に対して、テクノロジーやアイデア、事業の力を用いて新たな解決策を生み出していくことです。本事業を通じて、誰もが起業に挑戦できる、よりインクルーシブな起業家支援のあり方を東南アジアから広げていきます。

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日本財団 特定事業部 インクルージョン推進チーム

  • メールアドレス:100_inclusion_suishin@ps.nippon-foundation.or.jp