障害と公共政策サイバー大学院(IDPP)の開設と運営(アメリカン大学)

ASEAN地域内では、約6千万人の障害者が暮らしていると推定されていますが、障害者のための適切な政策が、十分に実施されている国が限られているため、これまで雇用、教育、社会参加の機会を妨げられてきた障害者が少なくありません。また、ASEAN地域内で、障害学生が学ぶためのサポートをそなえた大学は非常に少なく、障害当事者が大学や大学院に進学することが難しいという状況があります。

写真:障害と公共政策サイバー大学院の職員たち

このような現状を踏まえて、日本財団はこれまで障害者支援の分野においてパートナー関係を構築してきた障害者当事者団体や障害者支援団体と協力し、障害と公共政策サイバー大学院を開設するための準備を進めてきました。将来、障害と公共政策の分野における高度専門知識を身につけた障害当事者リーダーが政府機関などに登用され、自ら法の立案や改善に関与できるようになることを目的としています。

障害と公共政策サイバー大学院はアメリカン大学国際関係学部を中心に8大学3専門機関のネットワークによって運営されています。授業はインターネット上で配信され、障害学や公共政策の他、マネージメントやリーダー養成など多岐にわたるコースが提供されています。合計39単位を1年間または2年間で履修して修士号を取得することができます。

障害当事者は手話通訳や音声読み上げソフトなどを利用して勉強することが可能です。日本財団はASEAN地域内に居住している条件を満たした聴覚障害者、視覚障害者、肢体障害者には奨学金を提供しており、現在、第1期生10名の奨学生が同プログラムで学んでいます。