令和6年能登半島地震・大雨 災害支援活動中間報告2024年12月現在
「令和6年能登半島地震・大雨」における支援について
フェーズごとに最適なアクションを実施する。これが日本財団の災害対策事業です。1995年の阪神淡路大震災以降、約30年間培ったNPOとのネットワークや知見をもって、1月2日より職員を現地に派遣し、①珠洲市蛸島地区に拠点を設置②断水エリアの避難所にポータブルシャワーと手洗い器を設置③被災地支援NPOへの活動費助成等を実施。同年9月の豪雨後も生活支援やボランティア派遣、地域コミュニティ再生の支援をしています。
2024年1月~12月までの支援概要
コーディネートしたボランティア数
4,000人以上
財団からの支援総額
- 32億11万185円(うち助成:金額 10億1,629万2,396円/327団体/440事業)
寄せられた寄付金
- 314,032件/8億6,068万4,495円
提供物資
- シャワー100台/手洗い器200台 ほか
災害発生から復旧・復興フェーズへの流れ
発災~緊急対応フェーズ
孤立解消のための道路啓開や物資提供などの命をつなぐ支援、公募によるNPO等への活動助成
- 海水淡水化装置など 造水器 5台:輪島市、珠洲市へ
- 給水タンク 17個:七尾市、能登町、珠洲市へ
- 段ボールベッド 1,200台:珠洲市の避難所へ
- 燃料・発電機 海上輸送&設置 軽油 5,000L
- 現地活動拠点の運営
- 地震被害を受けた珠洲市蛸島
- 豪雨被害を受けた輪島市町野
- 非常用簡易トイレ 4,500個
- 入浴支援 延べ 5,651人
- 炊き出し
- 道路啓開
復旧・復興フェーズ
住居や生活道路の仮修復等による生活環境改善支援、民間ボランティアセンター運営や憩いの場づくり等のコミュニティの維持/形成
- HEROsによる避難所・学校訪問 149カ所 延べ 10,000人強
- 「憩いの場」の設置・運営 2件 272,954,350円
- 地域密着多機能型拠点(民間ボランティアセンターの運営) 5件
- 救助技術研修会 4回 延べ 120人
- 子どもの教育・福祉関連施設の環境整備
- 伝統を守り新しい能登を創る
- 生活道路修復
能登支援ハイライト
被災地への道路が寸断され、物資の輸送やボランティアの派遣が難しい状況に直面。海路を利用した迅速な緊急支援物資の輸送を行いました。また、地震や水害に遭った子どもたちへの心のケアにも取り組んでいます。災害にはさまざまな形があり、状況は常に異なるため、日本財団では変化するニーズに柔軟に対応し、困難な状況にある方々をサポートしています。今後も持続可能な地域コミュニティの維持と再生を意識しながら支援活動を行っていきます。
必要な物資をどう届けるか?
RORO船による生活支援物資
トラックを直接積み込めるRORO船を活用し、金沢港から輪島港や珠洲市の飯田港へ生活に直接優先すべき灯油、軽油、発電機、ポータブルシャワー、ポータブル手洗い器を海上輸送しました。陸路が甚大な被害を受けた中でもこの方法により、物資を積んだトラックがそのまま避難所や福祉施設へ直行でき、迅速な支援が可能となりました。
POINT:RORO船とは
貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま船に積み込み、運搬する船舶。
支援活動を行うにあたり、陸路が寸断されてしまったため、RORO船を活用しました。
長期的かつ継続的な支援
拠点の設置とNPOコーディネート
長期滞在した日本財団職員の声
能登の復旧スピードは他の災害と比べて確かに遅く、半年が経ってもなお避難所や被災して水が出ない自宅で避難生活を送る方が多くいました。混乱する現場だからこそ、どんな支援が必要か都度見極め、寄ってたかって支援するしかありません。日本財団では、行政や社会福祉協議会、NPO、住民を繋ぎ、技術支援やボランティアのコーディネートなど長期的なサポートを行なっています。
POINT
多様なステークホルダーとの連携はもちろん、被災地の外へ実情を発信することや、今後の災害に向けた課題を把握すること、それらは現地にいるからこそできることです。
子どもたちへ心の支援活動を
HEROsアスリートが10,000人の子どもたちと交流
延べ352名のアスリートが能登半島6市町と内灘町の延べ127カ所の保育幼稚園、小中高等学校を訪問し、約10,000人の子どもたちと交流しました。発災以降、体育館が避難所や物資置き場となり、ほとんど体を動かせていなかった子どもたちのためにアスリート自身がアクティビティを考え、子どもたちの心の支援をしました。
POINT:HEROsとは
トップアスリートがもつ影響力を、社会のため、子どもの未来のために活用するプロジェクト。
約250名のトップアスリートが参加して様々な支援活動をしています。
日本財団が支援するNPO紹介
災害時のノウハウを持つNPOや地域に根差した支援団体など、被災者に寄り添ったきめ細かな支援活動を展開する団体に対し日本財団では活動費助成を行なっています。
見守り:30回を超える支援経験を活かし超高齢化地域にきめ細やかな支援
住民のうち65歳以上が50%を超える超高齢化地域の石川県穴水町。発災から約1年、避難所が閉鎖された地域もあります。阪神・淡路大震災以降30回を超える支援ノウハウをもとに避難所の生活環境改善、山間部へは食糧配送・見守りのための個別訪問を続けています。伝統の「足湯サロン」も癒し・語りの場として好評を得ています。
- 助成先:認定NPO法人レスキューストックヤード
- 助成金額:8,327,300円
心のケア:人と暮らしに寄り添った支援で支え合いの再建を後押し
石川県七尾市で、延べ数千人規模のボランティアを巻き込む支援を計画。公費解体前の被災家屋の家財搬出、仮設住宅への引っ越し支援のほか、生活再建に向けた相談も実施しています。住民の交流カフェ整備や稲刈りサポートなど、地域に根差した活動を展開中。顔の見える関係を築きながら、「誰も取り残さない支援」を目指しています。
- 助成先:sien sien west
- 助成金額:8,278,000円
障害:自力での避難やSOSを出すことが難しい聴覚障害者への支援
コミュニケーション方法が異なるろう者・難聴者は、有事の際に必要な情報が提供されにくいのが課題となっています。今回被災した聴覚障害者のほとんどが高齢者で、IT技術を使った遠隔手話通訳に不慣れ。安心して生活再建を進められるよう、手話通訳者や専門家らによる対面・手話での相談支援を石川県内全域で実施しています。
- 助成先:一般財団法人 全日本ろうあ連盟
- 助成金額:2,540,000円
文化:能登瓦を守れ 原風景を取り戻す建築技術者集団
能登半島の伝統家屋に特有の能登瓦。土地の文化を次世代に継承すべく、建築家・坂茂氏が技術者・ボランティアとともに、倒壊家屋などから瓦を回収するプロジェクトが立ち上がっています。石川県輪島市・珠洲市で50戸・50,000枚を目標に収集・保存を進めており、能登の原風景を取り戻すべく再利用の仕組み構築に取り組んでいます。
- 助成先:NPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク
- 助成金額:5,000,000円
本資料の詳しい内容については、PDFもご用意しております。