4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」。これは、日本財団が2016年にWHO世界自殺予防デーにあわせて行った「日本財団自殺意識調査2016」の結果からわかったことです。日本では、2015年に2万4,025人が自殺で亡くなっています。
日本財団は、2016年の自殺対策基本法の改正を受けて、「日本財団いのち支える自殺対策プロジェクト」をスタートさせました。プロジェクトで実施した「日本財団自殺意識調査2016」の調査結果をもとに、生きることの包括的な支援としての自殺対策を推進しています。
2020年からは、調査によりリスクが高いと判明した若年層を支援するための対策に特化し、「日本財団 子どもの生きていく力サポートプロジェクト」と名称を変更しスタートしています。
日本における自殺の現状
日本の自殺率は先進7カ国で突出して高く、若者の死因第1位が自殺であるのは日本だけです(※)。自殺は個人的な問題と捉えられがちですが、その多くは、失業・生活苦・多重債務・過労等の社会的な問題が背景に潜む「追い込まれた末の死」です。社会的な対策により「避けられる死」だと言われています。2016年4月には、大きく改正された自殺対策基本法が施行され、すべての都道府県および市区町村に「自殺対策の計画づくり」が義務付けられました。国民がどの自治体で暮らしていても、自殺対策にかかわる支援、すなわち、生きるための包括的な支援を受けられる、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現が目的です。
1.「日本財団子どもの生きていく力サポートプロジェクト」(2020年度~)
(1)自治体との自殺対策「実践モデル」の構築
「日本財団自殺意識調査2016」の結果から、若年層(20~39歳)の自殺念慮や自殺未遂を経験した割合が他の世代よりも高いことが明らかになりました。
また、日本では、10代から30代までの死亡原因一位が「自殺」であり、特に近年は児童生徒の自殺が非常に深刻化している。一方で、児童生徒を含む未成年の自殺対策は遅れており、効果的な対策の立案・推進が急務となっています。
そこで本プロジェクトでは、未成年の自殺率が最も深刻な長野県において、行政や様々な専門家等と連携して児童生徒等の自殺対策を推進し、全国に発信・展開するためのモデル化をめざします。
協定締結自治体 | 長野県 |
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協定期間 | 2019年10月1日~2023年3月31日 |
協働パートナー | NPO法人自殺対策支援センターライフリンク |
内容 |
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協定締結自治体 | 長野県 |
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協定期間 | 2019年10月1日~2023年3月31日 |
協働パートナー | NPO法人 OVA |
内容 | 子どもゲートキーパー養成講座の実施・相談支援モデル構築事業 |
(2)自殺に関する調査・啓発
日本における自殺に関する実態を解明し、適切な対策につなげるために世論へのはたらきかけを行います。2021年度版では、若年層の実態を明らかにするため、対象年齢を13歳に引き下げ調査しました。
内容 | 自殺対策の促進につながる調査事業の実施 「第4回日本財団自殺意識調査」(2021)(13歳以上全国2万人を対象とした自殺念慮・自殺未遂の経験に関する調査) 「第5回日本財団自殺意識調査」(2022)(18歳~29歳の若年層、約1.4万人を対象とした自殺念慮・自殺未遂の実態把握のための調査) |
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2.「日本財団いのち支える自殺対策プロジェクト」(2016年度~2019年度)
(1)自治体との自殺対策「実践モデル」の構築
自殺対策基本法の施行から10年目の節目となる2016年、自殺対策基本法の大改正が行われました。改正の最大の柱は、すべての都道府県と市区町村に「自殺対策の計画づくり」が義務付けられた点にあります。本プロジェクトでは、全国の自治体に先駆けて、長野県および東京都江戸川区をモデルとして、各自治体が活用できる都道府県版および市区町村版のそれぞれの実情を踏まえた自殺対策計画を策定しました。
協定締結自治体 | 長野県、東京都江戸川区 |
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協定期間 | 長野県:2016年9月14日~2020年3月31日 東京都江戸川区:2016年7月8日~2020年3月31日 |
協働パートナー | NPO法人自殺対策支援センターライフリンク |
内容 |
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(2)若者自殺対策
「日本財団自殺意識調査2016」では、若年層(20~39歳)の自殺念慮や自殺未遂を経験した割合が他の世代よりも高いことが明らかになりました。自殺念慮を持った若者が孤立することのないよう、抱えた問題を解決できるしくみをつくりました。
1.「支え手」支援によるうつ病・自殺予防事業
協働パートナー | NPO法人 Light Ring |
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内容 | 悩んでいる友人・恋人・家族の支え方を学び、身近な人が身近な人を支えるしくみづくりを行います。20、30代の若者が支え方を相談し、他の支え手とつながり、支えられる人や支える人自身のうつ病や自殺を予防します。 |
2.インターネットを活用した危機介入モデルづくり事業
協働パートナー | NPO法人 OVA |
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内容 | 自殺念慮がある(「死にたい」等の自殺に関する言葉を検索した)人を、検索連動広告を利用して特定し、チャットや電話を通して相談支援を行い、必要に応じて対面での相談に対応するほか、地域の支援機関と連携して介入を行います。 なお、OVAの代表理事は、「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016」でソーシャルイノベーターに選出された伊藤次郎氏。 |
(3)自殺に関する調査・啓発
日本における自殺に関する実態を解明し、適切な対策につなげるために世論へのはたらきかけを行います。
内容 | 自殺対策の促進につながる調査事業の実施 「日本財団自殺意識調査2016」(20歳以上全国4万人を対象とした自殺念慮・自殺未遂の経験に関する調査) 「第2回日本財団自殺意識調査(2017)」(第1回回答者の追跡調査) 「第3回日本財団自殺意識調査(2018)」(第1回回答者の追跡調査) |
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調査結果データ
- 第1回自殺意識調査(全国編)(PDF / 2.9MB)
- 第1回自殺意識調査(結果概要)(PDF / 976KB)
- 第1回自殺意識調査(都道府県別資料編)(PDF / 8.66MB)
- 第1回自殺意識調査(質問項目一覧)(PDF / 318KB)
- 第2回自殺意識調査(要約版)(PDF / 1.45MB)
- 第2回自殺意識調査(報告書)(PDF / 6.63MB)
- 第3回自殺意識調査(要約版)(PDF / 990KB)
- 第3回自殺意識調査(報告書)(PDF / 5MB)
- 第3回自殺意識調査(報告書)正誤表(PDF / 88KB)
- 第4回自殺意識調査(要約版)(PDF / 2MB)
- 第4回自殺意識調査(報告書)全文(PDF / 7MB)
- 第5回自殺意識調査(要約版)(PDF / 1MB)
- 第5回自殺意識調査(報告書)全文(PDF / 1MB)
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ニュース
第5回自殺意識全国調査 調査結果
日本財団は全国の男女約 1万4千人を対象に5回目となる自殺意識調査を行いました。対象を前回調査の15歳~79歳から、18歳~29歳の若年層中心に変更しており、死にたいと願い自殺を考える「希死念慮」を経験
第4回 自殺意識全国調査報告書を公開
自殺念慮、自殺未遂ともに15歳~20代のリスクが高い30代以下の若い年代は自殺に関する報道の影響を受けやすい傾向1年以内に自殺念慮があった層のストレス要因精神的健康問題の症状悪化、同居する家族から感情的
第3回自殺意識調査結果 新たに若年層(18~22歳)の調査も実施
日本財団は、2016年から実施している大規模な自殺意識調査の3年目として昨年の回答者に対する継続調査(回答数15,362人)と、新たに若年層に絞った補充調査(回答数3,126人)を2018年11~12月
プロジェクトに関するお問い合わせ
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム
- 担当:榎村、齊藤
- 電話:03-6229-5111(代表)
- メールアドレス:cc@ps.nippon-foundation.or.jp
- 当財団では、個人を対象とする専門家による電話相談は行っておりませんのでご了承ください。