第4回 自殺意識全国調査報告書を公開

  • 自殺念慮、自殺未遂ともに15歳~20代のリスクが高い
  • 30代以下の若い年代は自殺に関する報道の影響を受けやすい傾向
  • 1年以内に自殺念慮があった層のストレス要因
    精神的健康問題の症状悪化、同居する家族から感情的な暴言を吐かれる、経済的に苦しく、家賃や光熱水費、食費などの生活費が工面できない など

日本財団は、全国の13~79歳の男女2万人に対して、自殺意識に関する調査を実施しました。過去に日本財団では自殺意識に関する調査を計3回、対象年齢を18歳以上で行ってきましたが、子どもの自殺が増加傾向にあるという社会情勢を踏まえ、今回は対象年齢を13歳まで引き下げ調査を実施しました。
調査結果から、10のファクトが明らかになりました。特に15歳~20代においては、自殺念慮・自殺未遂ともに他世代に比べリスクが高く、さらにその傾向は男性より女性の方が強いことが分かりました。また、30代以下の若い年代は自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向があることが明らかになりました。2020年は10年間減少を続けていた自殺者数が増加に転じましたが、今回の調査結果では1年以内に自殺念慮があった層のコロナ禍におけるストレスを具体的に明らかにすることができました。
本調査結果を受け、日本財団は今後、社会の機運を醸成し、当財団をはじめ、自殺対策を実施する自治体や他の民間団体の施策や事業をより促進してまいります。また今回明らかとなった若年層や若年女性の結果に着目し、必要な支援を検討します。

画像:10のファクトのピクトグラム。①4人に1人が「本気で自殺したいと考えたことがある」。②自殺未遂経験者は6.2%。③自殺念慮、自殺未遂ともに15~20代のリスクが高い。④自殺念慮・自殺未遂のリスクが高い層は、在職(休職中)、無職(求職中)。周囲で自殺で亡くなった方がいる。持病、心の病気。家族等に助けや助言を求める相手がいない。疎外感や孤立感を感じている。⑤1年以内に自殺念慮があった層のコロナ禍におけるストレスは、精神的健康問題(うつ病など)の症状悪化。同居する家族から感情的な暴言を吐かれること。経済的に苦しく、家賃や光熱水費、食費などの生活費が工面できないこと。就職転職活動が困難であること。睡眠が十分にとれていないこと。⑥4人に1人が周りの人を自殺で亡くした経験がある。⑦7割が自殺を考えたときに誰にも相談していない。⑧自殺念慮や自殺未遂経験がある層は、家族に助言を求める割合が低い。⑨自殺を思いとどまる理由は「家族は恋人が悲しむことを考えて」「我慢して」。⑩若い年代は自殺に関する報道に影響を受けやすい傾向。
10のファクト

調査背景

日本では、1998年に自殺者数が急増し、年間3万人を超え続けていましたが、自殺対策基本法の制定等、取り組みが強化されたことにより、2010年以降、自殺者数は連続して減少してきていました。しかし、依然として日本の自殺率は先進7カ国(G7)で突出して高く、とりわけ若年世代(15~39歳)の死因第1位が自殺であるのは日本だけ※1です。また、2020年は10年間減少を続けていた自殺者数が増加に転じました。警察庁・厚生労働省は、増加の要因はコロナ禍による生活環境の変化に加え、著名人の自殺報道による影響など、幅広い要因が考えられるとしています※2。日本財団では、こうした中で、改めて若年層の自殺意識、コロナ禍における自殺意識について把握するため、今回自殺意識調査を実施しました。

  • 1:WHO Mortality Database
  • 2:厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年中における自殺の状況」

今後の予定

日本財団は2016年より、自治体やNPO法人等と連携しながら、自殺対策支援を実施してきました。支援を実施する中で昨今感じていた変化は、若者の自殺者数が増加しているということ、それは残念ながら、今回の調査結果からも、その傾向が明らかとなりました。
私たちはこの問題を深刻にとらえ、今後も自治体、関連団体と連携しながら自殺対策支援を行うとともに、さらに若者・若年女性に対する支援も拡充していく予定です。

調査概要

調査目的
  1. 若年層の自殺意識の把握
  2. コロナ禍における自殺意識の把握
調査手法 インターネット調査
調査対象者 全都道府県15歳~79歳の男女+一都三県13~14歳の男女 2万人
  • 13~14歳については:機縁法リクルート網により回収
集計・分析方法 全国的傾向を把握する目的で『平成27年国勢調査』に基づく人口構成比に合わせてウェイトバック集計を行った
調査期間 2021年4月9日(金)~2021年4月13日(火)

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