ベトナム少数民族への教育の質の向上

写真:少数民族の子どもたち

ベトナム少数民族への教育の質の向上とは

ベトナムでは50以上の少数民族の村がアクセスの悪い山間部等に点在しており、共通語であるベトナム語の習得が十分ではありません。
そのため、小学校での教育についていけない子どもが多数いることが社会的な問題になっています。
本プロジェクトでは、これらの子どもたちに、幼稚園児にあたる幼少の頃から、少数民族の言語および共通語であるベトナム語の両言語で教育を受けられるよう、教科書や教師の育成など総合的に教育環境を整備することを目指しています。
日本財団は、政府機関である「ベトナム教育訓練省」はもとより、「Global Partnership for Education(GPE)」との間で初めてとなる共同出資を行い、現地での実施団体である「セーブ・ザ・チルドレン・ベトナム」をはじめとしたさまざまな関係者と連携してプロジェクトを推進しています。

ベトナムの多様な言語環境とその重要性

ベトナムには54の民族が暮らし、およそ90の言語が使われています。
子どもにとって母語の能力は言語能力の発達に極めて重要であり、学習に使用される学習言語や他の言語を学ぶ上での基盤となります。
しかし、多くの少数民族言語は、人口減少、若い世代の使用減少、都市化による主要民族との混在などにより、消滅の危機に瀕しています。
このような背景から、少数民族にとっては、彼らの子どもたちが幼い頃から母語で学び、自分たちの文化や言語に誇りを持つことが不可欠になっています。

少数民族の言語・文化の保護と、教育における取り組み

各学校では、少数民族言語に対応できる教師が不足しており、少数民族の子どもたちは共通語であるベトナム語の習熟が不十分なまま、教科の学習を始めることを余儀なくされています。
本プロジェクトでは、就学前に母語に基づいたバイリンガル教育を行い、少数民族の子どもたちが就学後に言語の壁による困難を抱えることなく、学習できるよう支援していきます。
さらに、就学後も少数民族言語による支援ができるよう教師に対するトレーニングも行っていきます。

インクルーシブな教育環境の整備

ベトナムにおいては障害を持つ生徒に対応できるようトレーニングを受けたことのある教師が7人に1人しかおらず、障害を持つ子への学習支援が十分とはいえません。
本プロジェクトでは、障害を持つ子どもたちへの支援に関するガイドラインを整備し、教師が状況や環境に応じて適切にサポートできるよう研修を行っていきます。
日本財団は、子どもたちの可能性が、生まれた場所や環境で左右されることのないよう、全ての子どもたちに分け隔てのないインクルーシブな教育環境の実現を目指し、活動していきます。

お問い合わせ

日本財団 国際事業部 国際協力チーム

  • 担当:有川、沼田
  • メールアドレス:reply-ipteam@ps.nippon-foundation.or.jp