ハンセン病ナショナル・フォーラム インド東部回復者会議

インド・コルカタ

Dr. Asim Dashgupta, Honorble Finance Minister、お忙しい時間を割いてご列席いただいたことに心からの謝意を表します。

本日、National Forumの東部会議に皆さんとともに参加できることを大変嬉しく思います。

ジャルカンド、オリッサ、アッサム、そして西ベンガル州からいらした皆さんを心から歓迎します。

私は40年以上に渡り、世界からハンセン病をなくすための活動に身を捧げてきました。特にインドは身近に感じており、この4年間で20回以上訪れました。私にとってインドは第二の故郷といってもいいほど親しみの持てる国です。

私の信念は世界は一家、人類は皆兄弟です。
皆さんのことを私は兄弟・姉妹と思っています。皆さんは私の家族なのです。

インド中、どこにいっても土地の皆さん、特にハンセン病の患者・回復者そしてその家族の皆さんが暖かく迎えてくださいます。

当初、インドではハンセン病の制圧は不可能だと考える専門家が多くいました。しかし、ここにお集まりの皆さんをはじめ関係者の努力は不可能を可能として、2005年にハンセン病の制圧に成功されました。ハンセン病患者数の割合が、人口1万人につき1人未満にまで減ったということです。州レベルでの達成もあと一歩のところまで来ています。

これは、行政担当者、医療従事者、そしてNGOなどボランティア団体の方々が連携し、たゆまない努力を続けられた汗と涙の成果であり、国際社会はこれを高く評価しております。これらの方々の献身的な努力に尊敬と感謝を表明いたします。

幸いなことに、1980年代以降、有効な治療薬としてのMDTが開発され、世界中で1600万人の人々が治癒しました。そのうちの1100万人がインド国内の方々です。

しかし、病気がなくなったわけではありません。インドでは昨年1年間で139,000人の方が新たにハンセン病にかかっています。したがって制圧は根絶へのマイルストーンと位置づけるべきで、闘いの手をゆるめることはできません。

ハンセン病は医療上の問題だけではありません。もうひとつの深刻な問題が、社会的な偏見に基づく差別の問題です。

はるか昔から、ハンセン病にかかったというだけで、人々は偏見の目で見られてきました。この偏見が、就学、就職、結婚、あらゆる場面での差別を生んできました。ここにいる方々の多くも、いわれのない差別によって、長い不幸な生活を経験されてきたと思います。

世界中のあらゆる国々で、ハンセン病に罹患したという理由だけで人々は偏見の目で見られ、社会から排除され、本来あるべき基本的人権を奪われてきました。

もう、その状況を変えなければいけません。必ず変えることができます。
このナショナルフォーラムはそのための大きな一歩です。

思い返すと、2005年に、ここにいらっしゃるゴパール博士および彼のチームの仲間と、ナショナルフォーラムの設立について話し合ったのが始まりでした。それまで、インドの中にどれだけコロニーがあるのか、そこにハンセン病患者や回復者の方々が何人暮らしていて、どのような生活を送っているのかという調査は行われていませんでした。

状況がわからなければ適切な対策をとることもできません。そのためにコロニーの調査を行い、それぞれのコロニーから代表の方に集まっていただいて開催したのが、第1回目のナショナルフォーラムです。2005年、デリーでのことでした。

私はいまでもその時の感動が忘れられません。全国から集まった回復者の皆さんが、社会に向けて自ら声をあげた歴史的な出来事が実現したのです。

ある参加されたお年寄りが終了後会場から出る私を呼び止め、「私は遅れてきたためにお土産の毛布も何ももらえなかったが、かわりに過去30年間手にいれることができなかった、人間としての尊厳を手にすることができました」と語ってくださいました。

それから毎年、インド国中で回復者の皆さんが手を携えて行動するためのネットワークづくりを目指して、2007年からは地域を巡回して、ナショナルフォーラムは発展してきました。

ナショナルフォーラムの発展は、ひとりでも多くの皆さんの参加と協力によって、さらに社会に対する影響力も高まっていくものと確信します。

あなた方が発信するメッセージや行動によってこそ、社会におけるハンセン病への偏見に基づく差別を消すことができるのです。

皆さん自信をもってください。明るい未来に向かって共に歩こうではありませんか。

皆さんが主役にならなければいけません。

皆さん自身が一歩を踏み出さなければ、社会を変えることはできません。
私は全力で今まで以上に皆さんをサポートすることを約束します。

ここで新しい国際的な動向について、ご報告します。

今年6月に、国連人権理事会において、ハンセン病回復者およびその家族に対する差別に関する決議が採択されました。この決議は私の要請に日本政府が応え、提案されたもので、47の理事国の全会一致で採択されています。各国政府の代表が集まる公式の場で、ハンセン病患者および回復者、家族に対して基本的人権が守られるべきであることが明確にされたのは、初めてのことであり、大変画期的なことです。

インド政府も人権理事会理事国47カ国のひとつとして、この決議を支持しています。これは、この国の政府が差別撤廃に向けた動きが必要だと公式に認めたということです。今まで以上に皆さんの活動が政府の協力が得られやすくなることを期待しています。

私の理想は、Leprosy Free Worldを実現することです。このLeprosy Free Worldとは、病気が根絶されるだけでなく、差別のない社会の実現のことです。皆さんは不可能と思われるかもしれないが、行動を起こさなければ何もはじまりません。

ナショナルフォーラムを結成された皆さん! 皆様の子ども達のためにも、連帯をふかめ、団結して、この不公正と戦い、人間としての尊厳を獲得しようではありませんか。

皆さんこそが、社会を変えていく主役です。
あなたがたはひとりではありません。私たちも、皆さんとともにあります。

Leprosy Free Worldの実現のために、新たな一歩をともに踏み出しましょう。

ありがとうございました。