第2回西アジア・北アフリカフォーラム

ヨルダン・アンマン

ハッサン・ビン・タラル殿下、ご出席の皆様、今年も再び西アジア・北アフリカ(West Asia North Africa:WANA)フォーラムに参加し、このような素晴らしい皆様を前に挨拶をする機会を与えていただいたことを大変光栄に存じます。

まず、本日のフォーラム開催のためにご尽力くださいましたハッサン殿下に対し、心からの称賛と感謝の意を表します。また、WANAフォーラムのビジョンを策定するために、その英知と経験を惜しみなく分かち合ってくださった国際諮問委員会のメンバーの皆様に感謝申し上げます。

さらに、本日ご出席いただいたすべての参加者の皆さまを心より歓迎いたします。このようにWANA地域に住む人々のより良い未来を築くという共通の目的のもとで、地域内外から人々が集うことは本当に心強いことです。

ハッサン殿下との長年にわたる交流の中で、私は幾度となく、その知性に感銘を受け、そのビジョンに触発され、その揺らぐことのない志に希望を与えられてきました。

殿下と私は、生まれ育った環境もこれまで歩んできた人生も大きく異なります。しかし、私は殿下と知り合って間もない頃から、私たちの間には何か大きな共通点があると感じていました。私たちは同じ価値観を共有し、同じ問題意識を持ち、同じ希望や使命感を抱いていたのです。ですから、このWANAフォーラムをお手伝いさせていただくことは、私にとって、ごく自然なことであります。

世界のあらゆる地域同様、WANA地域は数多くの問題に直面しています。

教育、医療、経済、環境、安全保障の問題をはじめ、無視できない多くの問題が存在しています。

そして、相互依存社会の中で複雑に絡み合った多くの問題は、決して、一国家や一つの組織、一個人だけでは効果的に対処することはできません。

これらの問題に対処するためには、長期的かつ統一的なビジョンを育む必要があります。

そのためにはまず、忌憚なく、異なる意見を活発に交わす場が必要です。

言うまでもなく、単純に人々が集まるだけでは十分ではありません。

参加者一人一人が、国家や地域、個人的な利益にとらわれることなく、WANA地域の未来のためという大きな共通の目標を見出すことが求められています。

必要なのは、WANA地域における統一的なビジョンです。

このフォーラムを通じて、最も重要な問題は何かを認識し、効果的な解決策を導き出さなければなりません。

一見、容易なことのように聞こえるかもしれませんが、実際は、それほど単純ではありません。特に、参加者が特定の国家や集団、民族、組織を代表している場合はなおさらです。

私は、ハッサン殿下と同じく、人々が肩書きや所属にとらわれず、一個人として参加することが必要であると強く信じています。

また、先ほど述べたように、教育、医療、経済、環境などの問題に人道的な視点をもって取り組むことが重要だと考えます。

私たちは経済格差、環境の悪化、質の高い教育や医療へのアクセス不足といった問題に真摯に取り組まなくてはなりません。

ただし、その時に忘れてはいけない視点があります。

経済格差について話し合う時は、家族を養うことの出来ない父親や母親たちがいることを忘れてはならないのです。

教育や医療について話し合う時は、勉強をしたくても学校に通えない、病気になっても必要な医療を受けられない子供たちがいることを忘れてはならないのです。

環境問題について話し合う時は、安全な飲み水や快適な生活を送るためのエネルギーを失ってしまうかもしれない未来の子供たちがいることを忘れてはならないのです。

私は、人道的な視点、つまり、日常に潜む問題の本質を見逃さないことこそ、WANAフォーラムのユニークさであると考えています。

私たちは、人々が日々の生活の中で直面するあらゆる問題に取り組むためにここに集まりました。

このフォーラムの参加者である皆様方が、様々なワーキング・グループを通じて、これらの問題に一致団結して取り組んでいる姿に、私は非常に勇気づけられました。

私はこのフォーラムが、WANA地域に住む人々によって、自らの未来を第一に見据えた政策の策定及び実施に多大な影響を与えるものになるであろうと確信しています。

WANAフォーラムの一員であることを心から誇りに思うとともに、同じ志をもった人々の集いであるこのフォーラムが、今後、さらに発展していくことを祈念いたします。

最後に、ハッサン・ビン・タラル殿下、WANA地域のより良い未来のために知恵を出し合い、その実現に向けて、各国からヨルダンに集まった参加者の皆様に心から感謝申し上げます。

ありがとうございました。