第3回西アジア・北アフリカ・フォーラム

ヨルダン・アンマン

尊敬するハッサン王子、ご来賓の皆様。

ご承知のとおり、2か月前、日本は大震災に見舞われました。壮絶な破壊状況と被災者への心理的圧迫は、筆舌に尽くしがたいものがありました。今回の大震災は、われわれに人間が自然の力の前にいかに弱い存在であるかを知らしめました。そして、福島の原子力発電所被害に見られるように私たちが信頼してきた科学技術も、万能ではなく、この自然の大きな力には太刀打ちできませんでした。

しかし、われわれは、大震災が起きて直ちに世界中から寄せられた大きな支援、善意、援助に支えられてまいりました。

同時に、この2か月の間、被災地の人々が示してきた忍耐力と強い決意に、われわれ多くの日本人が勇気づけられました。これらの被災地の人々は早くも復興への道を歩み始めています。

今回の震災は、被災した東北の人々だけでなく日本人が共通してもつ強さの再確認にもつながりました。忍耐力、思いやり、自制心。そして、分かち合う気持ち。

この困難に対して、若い人たちは立ち上がり、遠い被災地の問題としてではなく、自分自身の課題として考え、よりよい社会の構築に貢献するという強い意思を示してくれました。

そしてわれわれは世界の人々に支えられており、われわれ自身も、国際社会の一員としての責任を自覚することの重要性を改めて認識しました。

日本国民は、できるだけ早い復興を実現することへの強い決意と粘り強さをもっております。国際社会からの温かい支援。そして、社会に貢献するという決意とエネルギーに満ちた優秀な若者。これらをもってすれば、必ずや被災地は予想より短期間で復興し、日本はまた、より力強く、より活気にあふれ、より国際社会に貢献できる国となることでしょう。

ご来賓のみなさん、西アジア・北アフリカ(West Asia North Africa:WANA)地域もまた大きな変革期を迎えています。

WANA地域が直面する課題のいくつかは、日本が今日直面している問題と共通する点が多いと感じています。WANA地域は自らの強み、価値、可能性を再評価し、再発見できるでしょうか?同時に、WANA地域の諸国は、前向きで継続的な変化を起こすために、地域内外の諸国と共同して取り組むことができるのでしょうか? WANA地域は、若者に、それぞれの社会で彼らの可能性を実現する場を提供できるでしょうか?

WANA地域に現在起こりつつある変革を今年のWANAフォーラムの中心テーマとするのは、大変重要で勇気ある決断だったと思います。このフォーラムは、様々な分野を代表する人々が個人の資格で、自由に地域の将来について議論できる中立的な場であります。WANA地域で最近起こりつつあることは、今まで以上にWANAフォーラムのようなイニシャチブが求められているのだと示すこととなりました。

そして、そのイニシャチブはすでにここにあるのです。WANA地域にとってより良い未来を作るという共通の目標に向けて、我々はすでに歩みを進めてきたのです。ここで改めて私は、WANAフォーラムをここまで導かれたハッサン王子のビジョンと先見性に対して深い感銘と感謝を申し上げます。同時に、WANAのビジョンを具現化するために素晴らしい知恵や経験を惜しみなく共有してくださっているご参加の皆様に感謝申し上げます。この2日間の会議が実りあるものであることを願っております。

最後に、WANAフォーラムがハッサン王子のイニシャチブの下に、さらに実りあるフォーラムとしてこの地域に欠くべからざる対話のプラットフォームになることを確信し、このフォーラムの継続に私どもの惜しみない支援をお約束いたします。