第29回世界保健機関(WHO)笹川健康賞授賞式

スイス・ジュネーブ

WHOが掲げる「すべての人に健康を」という大義に賛同して設立された笹川健康賞も今年で29回目を迎えます。

この賞は、プライマリ・ヘルスケアの分野において、ユニーク且つ革新的な活動を展開し、顕著な活動実績をあげ、人々の健康増進に大きく貢献している方々を顕彰することで、今後のさらなる活動の発展を奨励することを目的としています。

今回受賞されたパク・ノイェ教授は、看護師、公務員、研究者として50年以上にわたり公衆衛生分野、特に母子保健の分野でご活躍された方です。

1950年当時、韓国はまだ貧しく、医療設備も乏しく、医療スタッフも十分にいない状況で、衛生状態も良好とはいえない時代でした。そのような時代から、パク教授は、無医村で働く保健師を養成してきました。そして、保健師たちは、地域に密着し、人々の健康状態を熟知することで、適切な対応を行うことができるようになり、韓国における公衆衛生の状況は大きく向上しました。
今では、パク教授が育成した多くの保健師が韓国の至るところで活躍しています。韓国の人々にとって、パク教授はまさに「公衆衛生の母」と呼ばれているほどの大きな存在であり、人々から多大な尊敬を集めています。

また、パク教授は、それぞれの地域コミュニティで必要とされていることは何かを綿密に調査してニーズを汲み取り、実態に沿った医療計画の立案にも積極的に取り組みました。

現在、開発途上国において公衆衛生分野に携わっているスタッフの多くは、パク教授のもとで学ぶことを熱望しており、このことからもパク教授の卓越した実績と成果が評価されていることが分かります。

私は、パク教授の長年の経験が、公衆衛生システムが未発達の国々において、非常に有効なモデルとなり得ると期待しています。
パク教授ご自身も、今後一層、公衆衛生の充実・発展に貢献したいと表明されており、笹川健康賞の受賞がそのような崇高なる挑戦の後押しとなることを心より願っています。

最後に、笹川健康賞の趣旨を理解し、厳正・中立な選考をくださった選考委員の皆さまにあらためて感謝の意を表します。

本日、世界中から集まった医療界の第一人者の皆様と力を合わせ「すべての人に健康」を保障できる世界を築いきましょう。