第13回日本財団アジアフェローシップ リージョナル・ワークショップ
第13期日本財団アジアフェローシップ(Asia Public Intellectuals:API)のフェローの皆さま、APIの国際選考委員、地域代表パートナー機関(CI:Coordinating Institution、PI:Partner Institution)の責任者の皆さまをここ広島でのAPI リージョナル・ワークショップにお迎えすることができ、大変嬉しく思います。
APIプログラムは、2000年にマレーシアで産声をあげました。クアラルンプールで行われた開始式には、ここにおいでのPI(地域パートナー機関)代表者のほとんどの方々がご出席くださいました。APIプログラムは、14年以上にわたり、学者、研究者、アーティスト、ジャーナリストやNGOのリーダーなど多様な分野からパブリック・インテレクチュアルを発掘し、彼らが地域の様々な問題のへの理解を深め、問題の本質を捉えて、創造的な解決策を見出すために活動するための機会を提供してきました。
APIプログラムは、過去14年間で340人以上のフェローを世に生み出してきました。こうしたフェローたちが、個人のレベルで果たした社会的役割には非常に優れたものがあります。フェローたちは、彼らの活動による発見や成果を出版、報告、会議、アートワークなどで社会に還元、伝達しており、社会的インパクトという面では非常に大きな成果を出しています。私たちはこのような彼らの活躍を心から嬉しく思っています。
そして、多角的かつ多様な分野のフェロー同士の交流と協働がさまざまなフォローアッププログラムを通じて、国境を越えて行われたということもこのプログラムのユニークな点であります。
過去14年間で、ASEAN諸国を中心に、アジアは大きな変革を遂げました。アジアは飛躍的な経済成長を遂げ、現在も発展し続けています。このようなアジアでの急速な発展に伴い、人口の増加、環境破壊と資源枯渇の問題などを含む新たな課題が生まれました。また、貧富の差の拡大、国境を越えた人の移動、人権侵害、自然災害など、あらゆる地域が共通して抱える問題も減少する傾向は見えておりません。
このような深刻な問題は地域の持続可能な成長だけではなく、人々の健やかな生活をも脅かしています。私たちが必要としているのは、地域及び世界規模の課題を解決するために、新しく、革新的なアイデアに満ちている人、人類が向かうべき方向について、深遠かつ総合的な見解をもっている人、より良い社会のために人々を鼓舞する能力をもっている人です。
このような資質を持つのは、ここにいらっしゃるフェローと過去12期の300人のフェローの皆さま、つまり、アジアのパブリック・インテレクチュアルを代表するAPIコミュニティに他ならないでしょう。
今回のAPIリージョナル・ワークショップをもってCIとPIの代表者の皆さまが一堂に会するのは最後の機会になるかと存じます。皆さまのAPIプログラムに対する深い愛情と14年間に及ぶこれまでの献身的なご努力に深く感謝申し上げます。