ヤングリーダー奨学基金運営代表者会議

日本・東京

Sylff代表者会議へご出席のため、世界各地からご参集くださった皆さまを心より歓迎いたします。日本財団と東京財団は、ヤングリーダー奨学基金(Sylff: The Ryoichi Sasakawa Young Leaders Fellowship Fund)プログラムに対する皆さまのたゆまないご尽力に心より感謝申し上げます。

Sylffプログラムが設立されてからおよそ30年が経ちました。当時、冷戦終焉後に世界の一極体制が進み、環境の悪化や民族紛争の増加、多くの途上国の民主化の加速、深刻な食糧不足による飢饉など、私たちがこれまでに経験したことがないような様々な問題に直面していました。

このように、世界がますます不安定になることが予見されていた時代に、私たちは、今後起こりうる様々な問題を解決できる能力を備えたリーダー育成の必要性を強く感じ、1987年にSylffプログラムを開始しました。Sylffプログラムは、人種、宗教、民族、国家や国境を越えて、文化や価値の多様性を尊重しつつ、人類共通の利益のために情熱と能力をもって取り組み、周囲の共感を得て社会に影響を及ぼすことができるリーダーの育成を目的としています。Sylffプログラムは、今や世界44カ国69大学に設置されており、これまでに15,000人以上の多様な価値観、異なる文化を背景にもつ多様性に富んだリーダーを世に送り出してきました。Sylffフェローの中には、ビジネス、政府、学術機関、非営利組織などの様々な分野において、地域やグローバルな問題に積極的に取り組んでいる方もいます。

Sylffプログラムの趣旨を深く理解し、時代のニーズに応えることができる素晴らしい方々をフェローとして選び、リーダーとして育成してくださっている各Sylff校の皆さまにあらためて御礼申し上げます。

ここ30年間で世界の変化のスピードがますます加速化しています。今日、私たちが住む世界は、戦争やテロ、経済格差、地球温暖化、天然資源の枯渇、感染症の蔓延など様々な問題に直面する不安定な状況にあります。問題は一層複雑になり、一国の問題であっても、瞬く間に国境を越えて、世界中に波及していきます。こうした問題に対応するためには、より多角的な取り組みと相互連携が必要とされることから、Sylffフェローのような世界を俯瞰しながら、不安定な状況においても力を発揮できるリーダーが、世界のいたるところで、ますます求められていくことでしょう。

ご存知の通り、Sylffプログラムは、長期的視野に立ったフェローの育成を目指し、新しいスキームを導入しました。しかし、フェローの選考や育成など各Sylff校に自主的にお願いしてきたことはこれからも変わることはありません。各Sylff校の皆さまには、課題解決に積極的に取り組み、将来にわたって各界のリーダーとなりうる資質を有する学生を、これからも継続的に発掘し、フェローとして選んでいただきたいと思います。各Sylff校が基金を運営するという従来のスキームも選択肢として残しますので、それぞれの事情に合わせて適切なスキームをご活用いただけます。アドミニストレーターの皆さまには、これまでと同様に重要な役割を果たしていただき、皆さまのアイデアと工夫により、より良いプログラムにしていただきたいと思います。

さて、本日は、Sylffフェローの皆さまが世界各地から駆けつけてくれました。ここにお集りのフェローの皆さまは、卒業後もSylffプログラムに心を寄せ続けてくださり、中には、母校のSylffプログラムを活性化させるために多大な貢献をしてくれた方もいらっしゃいます。私は、世界各地のSylff校を訪れ、フェローの皆さまとお会いできることを大変楽しみにしています。また、様々な国際プロジェクトの現場等で活躍するフェローの姿を拝見する機会も増えてきており、大変誇りに思っています。Sylffフェローの皆さまには、人類にとってより良い世界をつくるために、これからも継続して努力を重ねてくださることをお願いしたいと思います。

インターネットやSNSなど現代は世界が瞬時につながる世の中ではありますが、このようにわざわざお集まりいただいたのは、直にお互いの顔を見て交流していただくことが重要だと考えたからです。皆さまには、世界各国のSylff校が一同に会するこの機会に、ぜひ他校との交流を深め、互いの経験や意見を交換できる有意義な3日間をお過ごしいただきたいと思います。また、日本財団や東京財団などについてもより深く知っていただく機会となれば幸いです。

最後に、Sylffプログラムに対する皆さまの強いコミットメントに深く感謝申し上げます。