笹川日本研究奨学金プログラム・レセプション

英国・ロンドン

はじめに、温かい歓迎のお言葉をくださった林大使に感謝申し上げます。
今夜、皆さまにお目にかかれることができ大変光栄です。そして、笹川日本研究奨学金プログラム(Sasakawa Japanese Studies Postgraduate Studentship Programme)の奨学生の皆さまに歓迎の意を表したいと思います。

歴史を振り返ると、多くの国々と日本は幅広い分野で親密な協力関係を築いてきました。そのような関係を育み支えてきたのは、互いの国に精通した専門家たちでした。そして、このことが今日に至っても学界における原動力になっていることを大変嬉しく思います。

しかし、ここ10~15年ほどの間、英国における日本研究は、政府による補助金の削減やアジア各国との競争激化という困難な問題に直面してきました。結果として、多くの大学における日本研究の部門が縮小され、閉鎖に追い込まれてきました。私は、こうした深刻な状況を知り、このままでは、日本研究を志す若手専門家たちのキャリアが閉ざされてしまうのではないかという懸念を抱くようになりました。

そこで、日本財団とグレイトブリテン・ササカワ財団は、ササカワ・レクチャーシップ・プログラム(Sasakawa Lectureship Programme)を立ち上げ、優れた英国の大学に13の教職・研究職のポストを5年間設置しました。このプログラムを大きな成功に導いてくださった各大学の皆さまに心より感謝申し上げます。そして、このレクチャーシップ・プログラムがさらに発展し、現在の笹川日本研究奨学金プログラムへとつながっています。昨年、今年と情熱ある日本研究者が多数、本プログラムに応募をいただいていることを非常に喜ばしく思っています。

本プログラムのフェローのリストを拝見したところ、欧州からアフリカ、アジア、中央アジアと様々な国からフェローが集まり、またリサーチ・トピックも多様性に富んでおり、私はこのプログラムに大きな期待を持っております。今夜ご来場の皆さまにリサーチ・トピックのリストを全て読んで差し上げたいところですが、それでは時間がいくらあっても足りませんね。しかし、私は、皆さまの研究が日本を再発見する機会を与えてくれるものだと確信しています。

未来の日本研究者のために、学際的な環境の整備にご尽力いただいた英国の学術機関の皆さまにも感謝を申し上げます。最後に、本プログラムを成功に導き、より効果的なものにするために、ご尽力くださっているグレイトブリテン・ササカワ財団の関係者の皆さまに御礼申し上げます。

奨学生の皆さまには、ご自身が次世代を担う日本研究者であるということを常に心に留めながら、研究期間を過ごしていただきたいと思います。本プログラムの創設者として、私たち日本財団とグレイトブリテン・ササカワ財団は、皆さまが日本と諸外国の強力な関係を一層強化するための重要な役割を担ってくださることを期待しています。