第31回世界保健機関(WHO)笹川健康賞授賞式

スイス・ジュネーブ

はじめに、第31回笹川健康賞を受賞されたChildbirth with Dignity Foundationの皆さま、誠におめでとうございます。

そして、笹川健康賞の趣旨を理解し、厳正・中立な選考をくださった選考委員の皆さまに心より感謝申し上げます。

笹川健康賞が創設されたのは1984年です。この賞が創設された当時、世界保健機関(World Health Organization:WHO)はアルマ・アタ宣言のもと“Health for All Initiative”という目標を達成しようとイニシアティブをとっていた時期でした。そこで、私たち日本財団は、世界の人々の健康増進のためのプログラムやプライマリ・ヘルス・ケアにおいて顕著な貢献をした個人や団体を称え、且つ、その活動を発展させてほしいという想いから、本賞を創設しました。

今回受賞されたChildbirth with Dignity Foundation は、妊産婦を対象に、WHOが掲げる“better health”を達成するための重要な要素に合致したグラスルーツでの活動を実践しています。たとえば、妊産婦が自ら意思決定できるようにするための病院情報等の提供。医療機関が妊産婦に対するサービスを向上させるための支援。妊産婦の権利を守るための法律的なアドバイス。さらに、妊産婦の人権を尊重することに対して、注意喚起するための病院や職場における周知啓発などの活動です。

後ほど、Childbirth with Dignity Foundationの方から詳しいお話があると思いますが、当団体は妊産婦の環境を改善するだけではなく、彼女たちが抱える問題を自ら解決できるようにエンパワメントを行っています。日本財団は、30年にわたり、こうしたグラスルーツでの取り組みの重要性を認識し、そのような活動を行っている方々を表彰してきたことを大変誇りに思っています。

さて、WHOはマーガレット・チャン事務局長の強いリーダシップのもと、多くのステークホルダーを巻き込み、協力を得ながら、グローバルヘルスの課題に取り組んでいます。

グローバルな取り組みを行うための重要なステークホルダーとして、コミュニティの“better health”を達成するために、日々、グラスルーツで活動している人々が挙げられます。私はWHOハンセン病制圧大使として、スラムや僻地に暮らすハンセン病患者や家族のために、地域に根付いた活動を行っているNGOがもたらした前向きな変化を目の当たりにしてきました。私はこのようにグラスルーツで活動する人々を支援することにより、“better health for all”という目標の達成を加速させることができると強く信じています。

各国の保健省を代表してここにお集まりの皆さまには、それぞれの地域でプライマリ・ヘルス・ケアのために活動する様々な個人や団体を見つけ出し、彼らの活動を応援していただきたいと思います。

私たち日本財団は、今後も地道な活動を続けている英雄たちと彼らの素晴らしい業績を称える場を持ち続ける所存です。彼らを称賛することによって、世界中にインスピレーションを与え、彼らを見習い、行動を起こす人々が増えることを期待しています

最後に、Childbirth with Dignity Foundation の今後ますますのご活躍を心より期待しております。