第8回国連障害者権利条約締約国会議サイドイベント「国際的な意思決定プロセスへの障害者参加拡大を」

米国・ニューヨーク

日本財団は、インクルーシブな社会の実現を目指す非営利組織です。これまで、国内外において、障害者の若手リーダー育成を目指した奨学金の設置や当事者団体の活動強化など、幅広い障害者支援を実施してきました。

ご存知の通り、2011年3月11日、巨大地震と津波が日本を襲いました。震災後の調査では、障害者の死亡率は全体の人口の2倍から4倍であったことが指摘されました。こうした残念な結果は、地域、国、そして国際レベルで、これまで防災計画の策定および実施に障害者が参加していなかったことが原因であることが明らかになりました。

そこで、日本財団は2012年以降、様々な団体と協力して「障害と防災」をテーマに世界各地で国際会議を開催し、国際社会に対して障害者インクルーシブな防災の重要性を訴えてきました。

その実績を踏まえ、日本政府、国連国際防災戦略事務局(The United Nations Office for Disaster Risk Reduction:UNISDR)、障害者団体と連携し、第3回国連防災世界会議を障害者にとってアクセシブルでインクルーシブな会議として開催しました。その結果、障害者参加型の実り多き議論が展開され、新たに採択された防災枠組みには、障害者が防災における重要な役割を担うグループとして位置づけられました。

第3回国連防災世界会議がこのような成功を収めることができたのは、関係者の皆さまの強いリーダーシップとコミットメントがあったからであると痛感しています。しかし、このような好ましい条件が揃っていたこの会議でさえ、公式な参加プロセスに障害者を含めようとした際には、国連の定めるメジャーグループという既存の枠組みが障壁になりました。

世界の障害者は全人口の15%を占めているといわれています。障害者が国際社会における貧困や健康などに関する重要な議論の場から除外されている限り、グローバルな課題についてのサステナブルな解決はできないと考えています。

このような理由から、2016年は障害者のインクルージョンを前進させていくうえで重要な年になります。ポスト2015年開発アジェンダに言及されている障害者に関する目標が確実に実践されるためには、開発アジェンダの実施過程に必ず障害者を含めていかなければなりません。

本日この会場には、ポスト2015年開発アジェンダを達成するために鋭意努力されている様々な関係者の方々が集まっています。

国連機関及び加盟国代表の皆さま、第3回国連防災世界会議に倣い、今後開催する全ての会議とそれに伴う意思決定の過程が障害者にとって、インクルーシブでアクセスしやすいものになるよう、また、皆さまの計画や政策に「障害」と「インクルーシブな開発」を横断的なテーマとして取り入れていけるよう、互いに協力していきましょう。

障害者問題に取り組む市民社会を代表する皆さま、障害者のプレゼンスを国連の主要な会議、ひいては国連システム全体において高めていけるよう、引き続き、共に手を携えて取り組んでいきましょう。