「女性と平和と持続可能な開発に関する国際シンポジウム」開会挨拶

イラン・テヘラン

モラヴェルディ女性・家庭環境担当副大統領、エブテカール副大統領兼環境庁長官、安倍昭恵社会貢献支援財団会長、ご列席の皆さま。本日はようこそおいでくださいました。イランと日本両国から多くの方々にご出席いただき嬉しく思っております。

私たち日本人にとって、イランは古い友人です。シルクロードの終点であり8世紀に日本の都だった奈良を訪れれば、皆さまは多くの古代ペルシャの芸術品に出会うことでしょう。これらの芸術品は千年以上前に日本にもたらされたと言われており、そのいくつかは国宝に指定されています。このことからも、遥か昔から日本ではイランの文化が高く評価されており、その影響は、今なお、日本の文化や芸術の中に垣間見ることができます。

今回、私は40年ぶりにイランを訪れました。当時と今では状況が大きく変わっていると思いますので、その変化をこの目で見ることを楽しみにしています。

さて、私が会長を務める日本財団は50年以上前に設立されました。より良い社会を目指して幅広い活動を行っている民間団体です。またこのシンポジウムの共催者である姉妹財団の笹川平和財団は、世界の平和と安全、そして様々な問題解決を目指して活動しており、イランと日本二国間における相互の信頼と理解を促進するための事業もいくつか行っています。

具体的には、イラン外務省附属のイラン国際問題研究所と協力し、外交問題を議論する「日本-イラン会議」や国際関係学院の研修生を日本に招へいする交流事業があります。

「日本-イラン会議」は2010年からほぼ毎年、東京とテヘランで交互に開催してきました。この会議は政府関係者、研究者や学者などが国際的に重要な問題を議論する場です。2014年にエブテカール副大統領が来日された際には特別講演をお願いし、副大統領の平和や環境問題に対する考察をお話しいただきました。本日の特別講演でもさらにお話が聞けるのを楽しみにしております。

本日のシンポジウムは、笹川平和財団が新たに企画している様々な事業の一つで、イラン大統領府女性局、イラン国際問題研究所、そして笹川平和財団の三団体の共催で行われます。テーマは「女性と平和と持続可能な開発」です。平和と持続可能な開発とは、社会を構成するそれぞれの人たちが支持することで初めて実現されるものであるため、このテーマは非常に適切だと思います。本日は、特に女性の視点や役割に焦点を当てて議論が行われます。

近年、世界各国は女性が能力を発揮できるような環境の整備に取り組んでおり、このことが、持続可能な成長や発展の実現に貢献することになるでしょう。女性は既に多岐にわたる分野で活躍しており、家庭、保健、教育、ビジネス、政治など、社会の様々な分野で、重要な役割を果たしています。

日本においても、今まで以上に女性が果たす役割はますます重要になってきており、政策の大きな柱として位置づけています。イランでも同様に、社会における女性の活躍について大きな関心が寄せられています。国によって文化や状況は異なりますが、私たちはそれぞれの事情に合わせた対策を検討しているところです。

ところで本日はご多忙の中、この会議の重要性をご理解され、安倍昭恵さんがご出席くださいました。安倍さんは社会貢献支援財団という日本のNPOの会長を務められています。彼女は世界中、特にアジア各国を訪問して、グラスルーツでより良い社会を作るために活動をしている方たちを積極的に発掘して顕彰する活動をされています。社会貢献支援財団では、その活動を通じて社会貢献の意識を高めようとされています。

今日の会議では、安倍さんに加え、様々な分野からスピーカーやパネリストをお迎えしています。社会における女性の役割についての実り多い議論を期待しています。

最後に、笹川平和財団は、長期的な視野に立ってイランとの二国間の交流を継続してまいります。

ここでの私たちの議論や今後展開する事業が、平和と持続可能な発展に資する対話をもたらすことでしょう。