世界海上保安機関長官級会合「開会式」

日本・東京

日本財団会長として、世界の海上保安機関のトップが一堂に会する本会合を海上保安庁と共催できることを大変光栄に思います。

世界の海は実に寛大な存在でした。海は私たちに豊かな資源をもたらし、文明化という私たちの発展を支えてきました。一方で、人類のとどまることを知らない発展と繁栄の欲求は、私たちの海に大きな負荷をかけ続けてきました。何も対策を取らずに、これ以上の負荷を海にかけ続ければ、いずれ人類の生存そのものが脅かされることになるでしょう。

こうした深刻な課題に対して、長年、世界に声をあげてきた組織として、私たち日本財団は世界の海を数万年先まで、持続可能な形で未来の人類に残していくというミッションを追求してきました。

その取り組みの一例が、アジア海上保安機関長官級会合です。この会合には、アジア地域から多くの国が参加して、マラッカ・シンガポール海峡の海賊やテロ対策、大規模災害への対応策などが協議されました。私たちは海上保安庁と共同で、2004年から10年間、本会合を開催しました。この年に1回の会議は、海賊や災害に対する地域の連携につながりました。今回の世界海上保安機関長官級会合は、このアジアでの成功をもとに、世界規模で発生している様々な海の危機に対処するべく開催いたします。

世界的な海の課題について言えば、今年6月ニューヨークでは、国連が初めてとなる海洋に関する会議を開催しました。深刻な海洋汚染、漁場の枯渇、沿岸生息地の減少など様々な分野で、この世界的な危機に立ち向かうための行動計画を策定すべく、加盟国やNGOが集結しました。

かつてないほどに、国際社会の関心が高まっている今日、世界の海上保安機関の役割は大きくなってきています。海の安全を最前線で守るというこれまでの役割が重要性を増しているだけではありません。世界が直面している多種多様な課題を乗りこえていくためには、皆さまが対話や協力体制を強化し、共に努力することが必要不可欠です。

私たち日本財団は、海上保安庁と協力して、今後もこの会合を開催していきたいと考えています。

よりグローバルな協力体制の構築に向けて、皆さまが実り多い議論をされることを願っております。