ヤゲロニア大学におけるヤングリーダー奨学基金制度25周年記念式典

ポーランド共和国・クラクフ

ヤゲロニア大学が「笹川良一ヤングリーダー奨学金(The Ryoichi Sasakawa Young Leaders Fellowship Fund: Sylff)プログラム」を開始してから25周年を迎えられたことに心からお祝い申し上げます。

ヤゲロニア大学は、世界最古の大学の一つとして、長く、名高い歴史があります。何世紀にも亘って、ヤゲロニア大学は世界情勢の変化に対応しながら発展し、学問の世界での地位を確立してきました。

そして、皆さまは、時代の課題に対応した教育を開発し、提供し続けてきました。私は、この伝統がSylffプログラムにも息づき、発展していると思っています。そして、今日、私たち日本財団と東京財団は、ヤゲロニア大学と長きに亘り、強固なパートナーシップを組むことができていることを誇りに思います。

Sylffプログラムが創設されたのは、今から30年前のことです。当時は、東西冷戦が終わろうとしており、政治、経済構造が大きく変わろうとしていた時代でした。まさに、社会レベル、個人レベルの双方で価値観が変わろうとしている時でした。

このような変化に伴い、新しいリーダーが必要とされておりました。このような背景のもと、私たちはSylffプログラムを立ち上げました。そのリーダーとは、多様で共有された価値を理解し、社会の変化の中で現れる問題を明らかにするリーダーです。彼らは、幅広い視点で問題を見ることができ、複雑な問題を理解することができます。

プログラムの創設から30年の時が経ち、世界の状況は大きく変化しました。

ヨーロッパは統合し、東ヨーロッパでは経済が大きく発展しました。ポーランドはEU加盟国の中でも高い経済成長を遂げた国になりました。

近年は、国境を越えた民族や宗教紛争の勃発をはじめとする、多種多様な問題が、ヨーロッパに限らず世界各地で次々と顕在化しています。このような不確実な状況が広がっており、文化や人々の日常生活を混乱させています。

私は、Sylffフェローの皆さんには、分野横断的な視点からそれぞれの研究に没頭していただき、よりよい社会のために応用していただきたいと思います。

最後になりますが、ヤゲロニア大学は、このプログラムの創設初期から着実に、継続的に実施してくださっている大学で、私たちの哲学を体現するような活動的なリーダーをすでに数多く輩出してくださっています。

そして何より、本日は、フェローの皆さんにお会いできるのを心待ちにしておりました。後ほどお話できるのを楽しみにしております。