グローバル・アピール2018 宣言式典 ~ハンセン病に対するスティグマ(社会的烙印)と差別をなくすために~
皆さま、第13回目のグローバル・アピール宣言式典にようこそお越しくださいました。2006年に、ここインドで最初の宣言を発信して以来、インドでは今回で4回目のグローバル・アピール宣言式典の開催となります。この意義深い機会をご参加の皆さまと世界の皆さまに共有するために、今年、再びこの地で開催できることを嬉しく思います。
私は、ハンセン病に対する社会の意識に変革をもたらすことを目指してグローバル・アピールをはじめました。この12年間、私は法律、医療、看護の専門家、経済界など様々な分野のパートナーと共に活動してきました。私たちの目的はいつも、ハンセン病患者、回復者に対するスティグマ(社会的烙印)や差別を撤廃することでした。
本日、障害者インターナショナル(Disabled Peoples’ International:DPI)と共にグローバル・アピールを発信することになりました。私たち、DPIと日本財団は、全ての人の権利が尊重され、社会参画できるインクルーシブな社会を目指すという共通のゴールに向けて一緒に活動することを約束しました。
ハンセン病は長い間、誤解されてきた病気です。社会に根付いた病気への誤解のため、多くのハンセン病患者、回復者、家族の方々は、今なお、差別にさらされています。
今なお、多くのハンセン病患者、回復者が、ハンセン病は業病であると信じ、希望を失いかけています。彼らは差別を受け入れ、差別に耐えながら生きることに慣れてしまっています。中には、誰もが持つ人間としての権利すら知らない人もいます。彼らは人間性も否定されているのです。
ある時、ハンセン病を患ったことで、住んでいた村から追い出され、一人離れて暮らしていた男性と話をしました。彼は孤独を当然のように受け入れていたようでした。私が彼にあなたは村から追い出されている状況を受け入れる理由はないのだということを話しても、彼は私の言っている意味がわからないという様子でした。この出来事はインドのある場所で私が実際に経験したことです。
私がDPIの代表を務めるアビディ氏にこのインドでの経験を話した時、彼は障害者運動の大部分において、ハンセン病に関することが見過ごされていたことに気付いた、と私に語ってくれました。さらに、障害者の権利を議論する際、彼らの懸念することが取り上げられてこなかったことについても認識されたようでした。そして彼は、私たちと共に活動すべきだと提案してくれました。
私は、アビディさんこそが障害者の権利を主唱するリーダーだと思います。私は、よりインクルーシブな社会の実現に向けた彼の献身的な姿勢に感銘を受けています。さらに、彼がハンセン病のスティグマと差別の撤廃を共に目指そうと力強く表明してくれていることに勇気付けられています。
ハンセン病回復者たちも、スティグマの撤廃に向けた闘いにおいて、力強く主唱するようになってきています。本日は、このあとスピーチをするナルサッパさんや世界各地で活動する回復者の方々に集まっていただいています。
冒頭で、私はハンセン病に対する社会の意識に変革をもたらすために、グローバル・アピールを始めたと申し上げました。これを機に、ハンセン病に対するスティグマと差別の撤廃に向けた私たちの責務を再確認しましょう。
最後に、このように双方にとって意義深い活動を共に取り組む機会をくださったDPIの皆さまに感謝を申し上げたいと思います。また、インド政府、世界保健機関(World Health Organization:WHO)、ササカワ・インド・ハンセン病財団(Sasakawa-India Leprosy Foundation:S-ILF)、このグローバル・アピールにご協力くださった全ての皆さまに深く御礼申し上げます。
そして、ハンセン病回復者協会(The Association of People Affected by Leprosy:APAL)の皆さま、ハンセン病患者、回復者の皆さまが、ハンセン病のスティグマと差別の撤廃に向けた活動の中心となってくださっていることに、心より感謝申し上げます。