インパール平和資料館開所式典
戦没者の尊い犠牲の上にかけがえのない今の平和があることを心に留め、私たちの平和な社会を守成していく義務があります。これが、私がインパール平和資料館建設を支援した時に込めた衷心からの想いです。本日お集まりの皆さまと本資料館の開所をお祝いできるのは大きな喜びです。そして先月インパール戦争戦没者共同墓地を訪れた際、先の戦いで亡くなった御霊の前で、この決然たる想いをお伝えしました。
私自身も、紅蓮の炎に包まれた東京大空襲を奇跡的に生き延びた者としての戦争経験があります。その時以来、私は戦争の記憶をしっかりと心に留め、誰もが平和で安心して暮らせる世の中を実現したいと切に願ってまいりました。
時を同じくして、インパールの戦いにおいては、ここマニプール州のカングラトンビ、コヒマ、そしてレッドヒルで凄惨な戦闘が繰り広げられました。
突然戦禍に巻き込まれ亡くなった罪のない市井の人々。
愛しい人達を祖国に残し戦陣に散った人々。
飢えや病気に苦しみ命を落とした多くの人々。
その一人ひとりに家族があり、人生があり、未来がありました。
この事実に思いを馳せる時、胸が締めつけられます。
インパール平和資料館は、この悲しい戦争の記憶を深く心に留めると同時に、平和な世の中を次世代に繋いでいくための懸け橋となるでしょう。資料館には、インパールで戦い、生き延びた方々から寄贈いただいた手記や写真など当時を伺い知る貴重な資料などが展示されています。
そして、この額に納められた「平和」の書は、未来の平和に対する揺るぎない希望です。これは、積極的平和主義を強く掲げられている安倍晋三首相が揮毫下さいました。
幾万の方の想いが込められたこのインパール平和資料館が、過去と未来を繋ぎ永久の平和へと続いていく懸け橋であり続けることを心から期待しております。