TICAD7公式サイドイベント~アフリカの農業と未来― 若者の力と農業ビジネス ―

日本・横浜

アフリカ開発銀行アキンウミ・アデシナ総裁、皆さま。TICAD7(※)公式サイドイベントであるササカワ・アフリカ財団のシンポジウムに皆さまをお迎えできますこと大変嬉しく思います。まず、本日この場にご参加いただいたパートナーの皆さまには、これまでの多大なご協力に感謝申し上げます。この度、ササカワ・アフリカ財団(SAA)と日本財団による農業分野における能力開発事業の成果を皆さまに共有できることを嬉しく思います。

1986年、ササカワ・アフリカ財団は、ジミー・カーター元アメリカ大統領、ノーベル平和賞受賞者ノーマン・ボーローグ博士、そして私の父である日本財団の笹川良一によって設立されました。皆さまは、「なぜ、農業支援から始めたのか?」と疑問に思われるかもしれません。
30年前、多くの国際的な援助機関やアフリカ各国政府を含む多くの組織は、アフリカの工業化に注力していました。しかし、私たちは違いました。私たちは設立以来、一貫して農業のポテンシャルを信じ、小規模農家への農業技術普及に焦点をあて活動を行ってきました。アフリカでは、約7割の人口が農家です。国民の半数以上である農家が自ら食糧を作る技術を取得し成長すれば、食料問題を解決できるだけでなく、国民の生活水準の向上もできると考えました。これが私たちの原点です。農家による農業の発展によってアフリカは成長する、私たちはそう信じたのです。

では、私たち日本のNGOが彼らにリーチするために最も効果的な方法は何だったのでしょうか?私たちの答えは、各国の公務員等である農業普及員を活用することでした。なぜなら一度、普及員が訓練を受ければ、彼らが小規模農家に知識と技術を広めてくれるからです。このモデルによって、30年間で、私たちは適切な技術と農業の成功事例をアフリカ16カ国数百万人の小規模農家に示してきました。私たちは、アフリカ26大学において農業普及員用の大学カリキュラムを作り、6,500人以上の中堅農業普及員が農業専門の学位を取得しました。その後、彼らは畑を廻り、より高度な技術を農家に指導しています。私たちは農業普及員と共に数百万人規模の農家の生活を改善することができました。

時代と共にアフリカの農業をとりまく環境は大きく変わっています。私たちも食糧生産に加え、今では所得創出により大きな力をいれています。そのために、小規模農家が「食べるために作る」から「売るために作る」というマインドにシフトすることを指導できる農業普及員の育成に焦点をあてています。

この新たな時代の農業の主役になるのはアフリカの若い世代だと期待しています。私たちの活動現場においても、各地で若者が集まって、脱穀や精米のための農業機械を使ったサービスを提供しています。さらに、ソーシャルメディアは、多くの農家を結び付け、知識や成功事例を共有する場となっています。農業は、魅力的なキャリアの選択肢でビジネスチャンスに溢れていると捉えられなければなりません。アフリカの発展のために、より多くのチャンスが与えられるべきです。

最後になりますが、今朝、国際協力機構(JICA)とSAAは農業普及のためのパートナーシップ覚書を締結いたしました。JICAという高名な組織とのパートナーシップに見合うように、さらに精力的に活動したいと勇気付けられました。また、今回のシンポジウム開催にあたりご後援くださったアフリカ開発銀行の皆さまにも改めて心より御礼申し上げます。

アフリカの発展のために、本日お集まりの皆さまの引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

アフリカが農業を通して未来志向で夢と希望に満ちた大陸になることを確信しています。

ありがとうございました。

(※)TICAD7:第7回アフリカ開発会議