第17回国際義肢装具協会世界大会
国際義肢装具協会フリードバード・コーラー会長、国際義肢装具協会日本支部陳隆明会長、第17回国際義肢装具協会世界大会プログラム委員会ディック・プレッテンバーグ委員長、ご列席の皆さま。
2020年東京パラリンピックを目前に控え、このような会議が日本で開催されることは非常に時宜を得ています。義肢装具を使うパラリンピアンの活躍は、人々に驚きと感動を与えると私は確信しています。そして、障害者の無限の可能性を解き放ち、素晴らしい啓発の機会となることでしょう。こうしたパラリンピアンの活躍を支えているのは、ここにお集まりの皆さまです。
ライッサ・ローレルさんという若い女性のお話をご紹介しましょう。彼女は、弁護士を夢見て勉強に励む快活な大学生でした。しかし、司法試験受験の当日に爆弾テロ事件により両足とも膝下から失いました。事件直後、彼女が述べた「私は決して夢を諦めません。私はこれくらいのことでは屈しません」という強い言葉は、私はもとよりフィリピンの人々に勇気と希望を与えました。私は病院に彼女を見舞い、義足をプレゼントすることを約束しました。彼女は、夢と希望をもって障害者の先頭に立ちます、とはじける笑顔で御礼を述べてくれました。一年後の彼女の誕生日には、義足をつけて人生への再挑戦の決意の手紙とボクシングの練習をしている写真を送ってくれました。彼女は国連でも発言の機会を得て、今も積極的に活動を続けています。
日本財団は、50年以上にわたり障害のある方への支援をしてきました。1990年代初頭からは、特に東南アジアの内戦で使用された地雷によって犠牲になった多くの方々へ支援を広げてまいりました。私たちは彼らに再び手足を取り戻し、同時に、彼らの人生を取り戻したいと考えました。私たちはこのような想いから、まずベトナムで10万人以上の人々に簡易義足を配布することから始めました。
しかし、現地における義肢装具士養成の必要性を強く感じ、カンボジア、タイ、スリランカ、インドネシア、フィリピン、ミャンマーの6カ国で義肢装具士養成学校の設立を支援しました。また、私たちは、義肢装具士の地位を向上させ、各国の医療制度に組み込むために政府に働きかけました。政府との連携は必要不可欠でした。私たちは10年をかけて、段階的に学校の運営を保健省に引き継いでいきました。私たちの支援が終了した後も、義肢装具士養成学校は、現地で独自に運営され続けています。
これまでに、50万人を超える人たちへ義肢装具を提供しました。私は各国が自らこの問題に取り組むための土台作りに貢献できたことを大変嬉しく思います。
日本財団はこれからも障害のある方々の社会参加のために共に歩んでまいります。
ありがとうございました。