第26回TAFISAワールドコングレス2019東京

日本・東京

TAFISAジューホー・チャン会長、オリンピック開催都市連合グレゴワール・ジュノー会長、国際オリンピック委員会フェリシテ・ルエマリカ スポーツアンドアクティブソサイエティ委員、伊藤雅俊 TAFISA-JAPAN会長、ご列席の皆さま、ようこそ日本にお越しくださいました。TAFISA理事メンバーや本日お集まりの皆さまの日頃のご尽力に、心より御礼申し上げます。

日本は今、いわゆる「ゴールデン・スポーツ・イヤーズ」を迎えています。この3年間、私たちは、2019年ラグビーW杯、2020年東京オリンピック・パラリンピック、2021年ワールドマスターズゲームズ関西を開催します。アスリートやスポーツファンのみならず、多くの日本国民がかつてないほどに熱狂し、盛り上がりを見せています。

私はこの競技スポーツの盛り上がりが、一般の人の運動意識を高めることを期待しています。同時に、スポーツ・フォー・オール(生涯スポーツ)の素晴らしい啓発の機会となることでしょう。この「ゴールデン・スポーツ・イヤーズ」初年に、本学会が日本で開催されることは非常に時宜を得ています。

さて、私の日々の取り組みをご紹介させていただきます。私は80歳の青年です。私は毎日の日課として朝起きると40分のストレッチ、150回の腹筋と腕立て伏せをしています。年の3分の1以上、世界を飛び回っている私が、大きく体調を崩すことなく仕事ができるのも、こうした日頃の継続した運動があってこそと考えております。運動が健康に良いことは誰でも知っていますが、如何に毎日続けられるかが課題です。

さて、皆さまご承知の通り、日本では高齢化が大きな社会課題となっております。本学会でも高齢化が重要な課題の一つとして議論されることを心強く思います。

日本は、高齢化に伴う労働人口の減少や医療費の財政圧迫といった深刻な危機に直面しています。そこで大切なのは、私たち一人ひとりが健康意識を高め、健康寿命を延ばしていくことではないでしょうか。日本では寿命と健康年齢の差が約10年あるといわれています。この差を縮めることで、高齢者が生き甲斐を持つと共に、長期的な医療費の削減につながるでしょう。

つまり、スポーツ・フォー・オールの振興には、高齢化の問題を解決し、社会を革新的に変える可能性があるのです。

私たち、日本財団は、約30年前からその可能性を見据え、パートナー機関である笹川スポーツ財団を通じてスポーツ・フォー・オールの推進に取り組んでまいりました。笹川スポーツ財団では、1993年よりワールドチャレンジデーをはじめとしたスポーツ活動の推進を行っております。さらに、スポーツ・フォー・オール振興のための研究調査や政策提言などの取り組みを実施しています。今や日本におけるワールドチャレンジデーは、毎年300万人が参加する国内最大規模のイベントの一つとなりました。

ともすれば、日本では、高齢者の孤独な生活が問題になっています。しかし、ワールドチャレンジデーのように自治体をあげて取り組むスポーツ・フォー・オールのための活動は、健康維持はもとより地域社会の人々との交流が深まり、参加者の人生を豊かにするのではないでしょうか。つまり、スポーツ・フォー・オールはヘルス・フォー・オールにつながると私は確信しています。

私は、日本におけるスポーツ・フォー・オールの土壌作りに貢献できたことを大変嬉しく思います。

さらに、日本財団は、インクルーシブな社会の実現を目指しています。その中でも、パラリンピックの開催の支援にも力を注いでいます。これまで、日本においてはパラスポーツ(障害スポーツ)への理解が十分にある状況ではありませんでした。しかし、パラリンピアンの活躍は、人々に驚きと感動を与えると私は確信しています。そして、障害者の無限の可能性を解き放ち、素晴らしい啓発の機会となることでしょう。2020年はスポーツ業界において、真にインクルーシブな社会を実現する大変重要な契機となると確信しています。

私はこれからも、誰もがスポーツの楽しみを享受できる社会をつくるサポートを継続、拡大してまいります。

ありがとうございました。