フィリピン義肢装具士養成学校引渡式典
レニー・ロブレド・フィリピン副大統領、ジョイ・ベルモンテ・ケソン市長、ヘミリオ・アリグイ・イースト大学ラモンマグサイサイ記念医療センター教務副会長、カーソン・ハート・Exceed最高経営責任者、お集りの皆さま。本日、フィリピン義肢装具士養成学校(PSPO)をイースト大学に引き渡すことができることを大変嬉しく思います。
日本財団は「One World One Family」の理念のもと、政治・思想・宗教・人種・国境を越えて、人の痛みや苦しみを共にし、みんながみんなを支える社会の実現を目指すというもので、世界のいたるところに残る偏見や差別を解消する活動を中心に世界的な人道支援活動を行っています。特に、障害者が自信をもって社会に復帰し仕事が出来るようなインクルーシブ社会の実現に向け、障害者の高等教育支援や大企業による障害者雇用促進支援など、様々な活動を実施しております。Exceedが運営してきたPSPOも日本財団にとってその中核を担う大変重要な活動であり、長きに亘り学校の充実と発展に尽力下さったカーソン氏には深く敬意を表します。
PSPOの開設が決まった11年前のエピソードをご紹介いたします。ライッサ・ローレルさんは、当時法曹家を目指す学生でした。手製爆弾の爆発により不幸にも両脚膝下切断の重傷を負い病院に入院していました。彼女の「足がなくても学校に戻りたい。これも神様から与えられたことだ」という発言は多くのフィリピン国民に感動を与え、また私も強い感銘を受けた一人でした。私は彼女に義足をプレゼントすることを約束し、その製作をカーソン・ハート氏に依頼しました。この義足製作がPSPOの初めての仕事の1つとなりました。その後、ライッサさんからは、PSPOの義足と共に、ボクシングの練習をし、国連「障害と開発に関するハイレベル会合」で障害者の代表として演説をした、といった嬉しい報告を受けています。
こうした活動から始まったPSPOは、フィリピンで初めて国際義肢装具協会の基準を満たした養成教育機関となり、今日までに約100名の義肢装具士が育成されました。義肢装具製作を通じ、障害者が勇気と誇りを取り戻し社会に参画できるよう支援するPSPOの活動は、私の夢でもあるインクルーシブ社会実現のための礎となりうるものです。 これからも、誰もが活躍できるような柔軟でインクルーシブな社会をここフィリピンに実現できるよう共に協力して参りましょう。私もコロナ禍が収束した暁には、最初の海外出張としてこのPSPOを訪問したいと思います。改めてPSPOをイースト大学に引き渡すことができることを嬉しく思うと共に、引き続きPSPOが多くの人達に希望を与え続けてくれることを期待しております。ありがとうございました。
※本ビデオメッセージは、日本財団YouTube(外部リンク)にて視聴できます。