AI認識による手話学習ゲーム「手話タウン」を授業に活用府中市立若松小学校 4年生向け授業実施レポート

日本財団は、ICTを活用してより身近に、より気軽に手話の学習を始められる教材として、香港中文大学と共同開発を進め、Googleおよび関西学院大学の協力のもと「手話タウン」(※)を2021年5月にリリースしました。「手話タウン」は、誰もが簡単に手話に触れられる「入口」を提供する手話学習ゲームです。ICTやAIによる手話認識技術を搭載し、一般的なカメラでも、体の動きや表情、うなずき、口形等の特徴を含めた立体的な手話の動きを識別できる認識モデルを開発しました。

今回は、10月29日(金)の府中市立若松小学校の授業内にて、4年生約110人に手話タウンを実際に体験してもらいました。手話を学び、手話で伝えることを通して子どもたちが多様性を受け入れ、互いを思いやる心を育むことが、この授業の目的です。
日本財団では、「手話タウン」をきっかけに、手話で簡単な会話ができる人や、将来的に手話通訳として活躍する人が増えることで、ろう者の幅広い活躍を後押しする土壌を整えたいと考えています。

写真
授業の様子
写真
手話の「拍手」を教える川俣

開催概要

日時 2021年10月29日(金)13:30~15:05
場所 府中市立若松小学校(府中市若松町3-11)
対象者 同小学校4年生約110人
内容
  • 日本財団職員 川俣より手話タウン制作の思いや聴覚障害や「ろう者」に関する説明
  • グループに分かれての手話タウン体験授業

「手話タウンの紹介と聴覚障害について」

まず、5時間目の授業では、日本財団職員で自身も手話を第一言語とする、ろう者である川俣より手話タウンの紹介や、聴覚障害に関する説明を行いました。「全世界での聴覚障害者の割合は、何人に一人か」という川俣の問いかけに対し、小学生は次々に手を挙げ「50人?」や「1,000人!」と回答。正解の「20人に1人」という割合には、「そんなに多いの?」と驚きの声が多く上がっていました。聴覚障害を持つ人の中でも、手話を話すろう者の割合は100人に1人であることから、今回の手話タウンが普及することで、より多くの人にとって手話が身近なものとなるよう願っている、という川俣の思いを小学生たちも真剣に聞いている様子でした。質問の時間には多くの生徒が手を挙げ、「どれくらい勉強すれば、手話を話せるようになりますか?」といった質問の他にも、「なぜ手話をするときに口も一緒に動かすの?」という難しい質問も。川俣も、悩みながらも真剣に子どもたちと向き合い、回答していました。休み時間中も、多くの生徒が川俣のもとにやってきて質問をしており、子どもたちの手話に対する興味関心の高さを感じることが出来ました。

写真
川俣からの質問に手を上げる生徒たち
写真
休み時間中にも質問をする熱心な生徒

「手話タウンを体験しよう!」

6時間目の授業では、数人のグループに分かれて実際に手話タウンを体験してみました。手話タウンでは、手話が公用語の架空の町を舞台に、カメラに向かって実際に手話でアイテムを指示しながら、旅行に備えて荷物をまとめたり、宿泊するホテルを探したり、カフェで食べるものを注文したりと、様々なシチュエーションに沿った手話をゲーム感覚で学ぶことができます。初めは、少し恥ずかしそうにしていた生徒たちもゲームが進むにつれ笑顔が増えていきました。一生懸命にお手本を見ながら練習した手話に正解判定が出ると、声をあげて喜ぶ生徒も。中には、香港手話にチャレンジする生徒もおり、思い思いの方法で手話タウンによる手話学習を楽しんでいる様子が見られました。授業の最後の感想を聞くシーンでは、「ゲーム感覚で手話を学ぶことができて楽しかった」、「もっと色々な手話を知りたい!」という嬉しい声が多く上がりました。川俣は、「生徒の皆さんが楽しそうに手話を学んでいる姿を見られて、本当にうれしかったです。手話タウンを使うときは、カメラの高さと目線をしっかり合わせて、指だけでなく表情や体の動きもしっかり意識することがポイントです」と、コメントをしました。

写真
手話タウンを実際に体験する生徒たち
写真
AIに自分の手話を判定してもらうシーン

まとめ

授業を終えた小学生からは、「家に帰ってお母さんにも教えてあげたい」や、「『いだだきます』の手話を家でやってみる」等、楽しみながら手話を継続的に学習できるツールとしての手話タウンの可能性を感じることのできたイベントでした。今回授業において手話タウンの使用を決めた、若松小学校長の小林先生は、「手話学習における最大の課題は、生徒たち個々の進捗や意欲に合った学びのツールがないこと。この手話タウンを使えば、生徒が自分にあったスピードや興味のあるシーンに合わせて手話を学ぶことができ、手話に対する興味関心を途切れさせずに育てることが出来ると感じた。」と、手話タウンへの期待を述べてくれました。
日本財団では長らく、才能豊かな障害者の方々が世界で活躍できるよう、障害者の社会参画のために幅広い活動を続けてきました。今後も、手話の更なる普及を目指して、手話タウンを始めとする様々な取り組みを続けてまいります。
「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、2015年に採択されたSDGsの取り組みの一環として、手話タウンを学校教育において活用したい、手話タウンの今後の展開について知りたい、等のご要望やその他お問い合わせについては、日本財団(pr@ps.nippon-foundation.or.jp)までご連絡を頂けますと幸いです。

関連リンク

お問い合わせ

日本財団 経営企画広報部 広報チーム

  • 電話:03-6229-5131
  • FAX:03-6229-5130
  • メールアドレス:pr@ps.nippon-foundation.or.jp