支え合う社会の実現を目指して

写真:研修の様子

地域における支援モデルを考える

2022年8月9日~10日に、日本財団主催、市町村アカデミー共催による、「ウクライナ避難民支援に係る実務者向けの研修兼ワークショップ」を実施いたしました。

本研修の対象者は、ウクライナ避難民支援を行う自治体(都道府県・市町村)職員、国際交流協会、日本財団や自治体の推薦を受けた活動NPOとし、具体的な支援方法を検討することを目的としています。

研修の開催により、参加者が互いの支援活動から避難民が直面する課題について話し合い、これまでの活動や知見をもとに「地域における支援モデル」ついて考えることができました。

写真:研修の様子

壁を乗り越えるために周りにいる人にできること

日本財団が実施したアンケート調査にもあるように、回答者の約65%の方々が、日本での中長期的滞在を考え始めています。しかし、日本で暮らしていくためには、言語、文化、就労など多くの壁が存在します。そのような壁を乗り越えていくために、周りの人や地域からのサポートが必要になります。

本研修のグループワークショップでは、避難民のペルソナを設定し、避難民が抱える問題をどのように解決できるか議論しました。たとえば、従来の就職活動ではなく、避難民のそれぞれの強みや可能性が広がる企業とのマッチングや、人と人の繋がりを強化するメンタルサポートなど、避難民が抱える問題の解決に繋がる支援のあり方について様々なアイディアが飛び交いました。

写真:研修の様子。たくさんのメモが張られているホワイトボード。

あるグループでは、避難民の像を「小学生になる子どもがいる女性」と設定し、「通訳以外の言語支援の形」について、意見を出し合います。

具体的なアイディアには、避難民の周りにいる学校関係者や生徒が「やさしい日本語」を学ぶことというものがありました。周りにいる人たちが「やさしい日本語」を使うことで、子ども同士がコミュニケーションを取りやすくなります。

また、配布物や掲示物なども「やさしい日本語」で対応することで、お母さんも学校からの情報を平等に得ることが出来るようになります。

また、言語だけでなく、子どもが日本の学校へ入学した経験のあるお母さんとの交流を設けることで、学校では相談しにくいことを気軽に相談できる環境を作ることができます。そうすることで、お母さんが一人で不安や悩みを抱えこむことが少なるのではないか、と話していました。

「多文化共生の実現は前から言われていたが、今回ウクライナの避難民の受入を機会とし、実現することが可能なのではないか」と、発表者は言います。

一人一人ができること

長期的に日本で暮らしていく上で、就労、言語、文化などの要素は避難民の方々にとって大きな壁となります。

その壁を越えていくには、周りにいる一人ひとり、そして社会からのサポートが必須となります。

日本財団では「みんながみんなを支える社会」の実現のため、ウクライナ避難民支援のための基金を立ち上げました。皆さまからの温かいご寄付をお待ちしております。

ドネーション事業部 綿引彩乃

日本で生きていくという選択肢を、ウクライナの人々へ。

日本財団では、ウクライナ避難民支援を行う各団体への助成プログラムのほか、これまで独自でウクライナ避難民支援も行い、合計1,428名(2022年10月26日時点)に渡航費・生活費・住環境整備費支援を行ってきました。

また、日本に避難してきたウクライナの人々へさらなる支援を行うため、ウクライナ避難民支援基金を開設しています。いただいたご寄付はウクライナ避難民の皆さんが安心して生活を送り、地域に溶け込むことができるように、日本語学習の支援、生活相談窓口、物資の配布(交通系ICカード等)、地域イベントでの交流などに使われる予定です。